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今回は黄道12星座・星座別解説の第8弾として、蠍座の世界を解説させていただきます!
すべての星座別・徹底解説のページは、「太陽星座」のみの解説ではありません。
今回も占星術のシステムにおける、蠍座の世界観や、星座に関する深い知識を解説していきます。
それでは、蠍座の世界にご招待いたします!
蠍座の季節
蠍座の時空間である季節は、10月24日~11月22日の間です。
季節は静かに、秋から冬へと移り変わろうとしている頃、星座は内面に意識を向け始めます。
これまでの物語には、様々な変化と成長の体験がありました。
身体の成長から始まり、知性、感情、他者への意識、全体性への意識etc、赤ちゃんだった頃に比べると、星座の精神は本当に成熟しました。
ところが蠍座は、自身が本当に成熟しているのか、ということに疑問を持ちます。
それはまるで、「私は何者なのか」というような、哲学的で本質的な命を懸けた問いです。
蠍座の時空間には、『奥行き』と『深さ』があり、心には限られた出入口しかありません。
天秤座の内面の世界は、風通しが良かったのですが、蠍座は『換気は終わった』とばかりに、扉や窓の数を減らし、鍵をかけます。
蠍座は自分という存在と、広い世界の関係性を熟考するために、出来る限り外部からの刺激をシャットアウトし、自分で選べるようにするのです。
これは冬が到来し、冷たさや寂しさに耐えるための予行演習であり、「内省」という大きく長く続く作業のための準備と言えるでしょう。
蠍座とは、物事を深く追求し、感情や情緒を味わい尽くすことで、自分の中で「真理」を獲得しようとする星座です。
蠍座の季節は、無性に追い立てられ、自ら望んで引きこもるような流れを感じさせます。
そして蠍座はこの流れに乗り、また深く潜ることで、一心不乱に闇を泳ぎ続け、最後には「自己変容」というゴールを掴み取ろうと奮闘するのです。
蠍座の世界
蠍座の世界は、『真剣さ』と『切実さ』に満ちていて、その空気感は張りつめていることが多いです。
どちらの言葉も、感情に結びついており、それは自分自身でしか解決できないことであると、蠍座は確信しながら、自身の人生を見つめています。
人生は波の連続で、蠍座の生き方や動き方は、海底を蹴り上げ、海面に上昇しようとする流れに似ています。
息を吸いたい、空気が必要である時は、当然真剣にならざるを得ません。
傍からは見えませんが、蠍座の内面では、このような『潜水』が行われているのです。
蠍座を浮上させるモノとは、一体何だと思いますか?
それは誤魔化しや調子の良い言葉、表面的な慰めなどではなく、『真実』や『真理』を感じさせる感情です。
蠍座は自分自身に対しても、他者に対しても、『本物』を求めます。
蠍座は日常生活の至るところで、また他人の言葉の端々に、哲学的に考える機会を見つけてしまいます。
世界には沢山の秘密や謎があり、それらは手招きをし、蠍座に真理探究や心理の深掘りをさせるのです。
蠍座にとって、「生」と「死」には距離がありません。
私たちは毎日を当たり前のように生きていますが、いつその『最期の瞬間』が訪れるかは誰にも分かりません。
ですが蠍座は、『生死』を連想させるものに敏感で、今日生きていること、生かされていることの意味について、自問自答を繰り返します。
また、蠍座は他者が持っている死生観や、人生における軸、生き甲斐など、その人の芯になる事柄に対して興味津々です。
そういった事柄は、個人的な体験に基づきますから、蠍座は過去に何があって、現在にどのような影響を与えているのかが気になって仕方がありません。
もしそのような個人的な秘密を打ち明けてくれたら、蠍座も歩み寄ります。
ところが蠍座は、自分の秘密は段階的にしか見せようとしません。
それは素直になれないということよりも、相手を困惑させてしまわないか、タイミングを見計らってしまうからなのです。
蠍座の世界は、真剣そのものですから、お遊戯感覚で遊べる時空間ではありません。
そして蠍座が内的世界に招く時は、ある種『認めた相手』として関係性が許された相手だけ。
蠍座に流れる感情という血は、愛であれば救済になり、偽りであれば毒になるという極端さを持っているのです。
蠍座のキーワード
蠍座に与えられた役割は、「生きるために死を感じる」ことであり、それは私たちが毎日「死」に向かっていることを思い出させます。
そのような大げさな表現でなくても、蠍座は、いかに『最善の人生』を送るために、「変容」できるか、ということを人生の旗として掲げています。
それは単なる思いつきなどではなく、本能的、且つ、使命的な『世界との約束』のようなもの。
そのため蠍座は、あらゆる出来事に対して真剣に向き合います。
かといって蠍座は、自身の働きに対して、直接的な対価を求めません。
なぜなら蠍座にとって対価は、間接的であり、それは感情的な繋がりによって成就するからです。
蠍座のキーワードは、「I Desire 」=「私は欲する」
有名な言葉で「思考は現実化する」というものがありますが、蠍座にしてみれば、まだ付けたしたい表現があります。
「私利私欲を超えた思考は、実現化し、世界のためになる」というような表現になるでしょうか。
『世界のためになる』というところがミソで、蠍座は自分と他者・世界が一体化する瞬間を欲しています。
『相手が幸せだと、私も幸せ』ということを、蠍座は幻想や夢物語にはしません。
自分自身の内側から湧き出る欲求で、単なる欲望や我欲は削ぎ落し、世界のためになるものを選び取っては、実現させようと、蠍座は奮闘します。
そのため地に足がついていない物事は、蠍座は一蹴しますし、そのようなことを吹聴する人も近づけません。
「私が欲する世界」とは、「世界が欲する私」によって創られる。
それが蠍座の信念であり、生き方そのもの、また使命と言えるでしょう。
そのため蠍座は、もの凄い集中力と行動力によって、聖なる欲求を実現化させようとします。
その生き様は、少しミステリアスで、また危険な香りもするかもしれません。
だからと言って、蠍座が浮世離れしているということでもなく、表情や仕草、言葉に「鋭さ」という毒気を醸し出しているだけなのです。
その毒気とは、自身を鍛えるためであり、他者を導くため。
その根本には、「何を欲し、何を世界に与えられるか」という哲学的で、献身的な切実さが根づいています。
蠍座の支配星
蠍座の支配星 (ルーラー) は、冥王星で、副支配星は火星です。
冥王星が発見される1930年より前までは、火星が蠍座の支配星 (ルーラー) でした。
インド占星術では、土星以降に発見された天王星・海王星・冥王星、またその他の小惑星は扱われません。
ですが現代は科学が発達し、天体と事象の関連性が研究されることで、火星だけではカバーし切れなかった象意や象徴を、冥王星に見出しました。
冥王星という天体は、太陽系の1番外側を運行し、その他の9天体に大きな影響力を及ぼします。
もちろん太陽系の中で、太陽が王様なのですが、冥王星は『影の実力者』とも呼べる存在で、「死」や「根源的な変化」を司ります。
それは蠍座が人生を通して感じ、周りに見せる生き様であり、葛藤や困難をシンプルに現すキーワードと言えます。
また副支配星としての火星は、「攻撃性」や「衝動性」、「性」、「情熱」を司る天体です。
「0か100か ( All or Nothing) 」という極端さを表すフレーズは、蠍座のためにあると言っても過言ではありません。
蠍座がいつもどちらかを迫るのか、と言えばそうではないのですが、内々では真剣さが熱気を出していることは確かです。
これは蠍座の中に、いざという時のための攻撃性があり、殺傷力が高い一撃ができるということでもあります。
蠍座はあらゆる関係性に真剣に向き合い、相手にもそれを求めてしまうという性 (さが) があり、この性が暴走すると、収拾がつかなくなります。
ですから蠍座には、火星の熱気や行動力と、冥王星の真理や根源にまつわる意識が合わさり、膨大な力が備わっているのです。
ちなみに火星も冥王星も、共通して「性」に関わる象意を持ち、蠍座の生死にまつわる感性や意識を刺激します。
火星は身体的・個人的な体験としての性を表し、冥王星は生命の根源的な働きとしての性を表しています。
蠍座にとって、「性」とは「生」であり、また「死」に直結しているばかりでなく、性を探求することもまた、蠍座のテーマなのです。
蠍座とハウス
蠍座が対応するハウスは、第8ハウス (室) です。
言い換えるなら、第8ハウス (室) が蠍座の『ナチュラルサイン』。
ハウスについては、後の個別のページ深く解説させていただくとしても、蠍座と第8ハウス (室) の関係性だけはピックアップしていきます!
第8ハウスのテーマは、以下の通りです。
- 相続
- 遺言
- 死人の意志
- 税金
- 他人のお金
- 隠されたこと
- 心の苦悩
- 内的変化と成長 etc
実に蠍座らしいテーマばかりですね。
真反対の星座・牡牛座は、自分で作る財を表しますが、対極の蠍座は、『譲り受ける』ということがキーワードです。
感情もまた、他者との関わり合いによって生まれますし、法的な手続きや家族から託されることなどもまた、『繋がり』によって発生します。
前の第7ハウス (室) では、『一対一のパートナーシップ』がテーマでしたから、第8ハウス (室) では、更に深い関係性から生まれる物事がテーマになるのです。
そもそも蠍座は、自分のことだけを考えているのではありません。
宿命的・宇宙的な流れとして、蠍座は自分の中には無い『異物』を吸収し、「純化」する役目を与えられています。
どうして蠍座が人と深く関わることを大事にするかと言いますと、相手の中に隠れている純粋さを見つけ出し、一緒に「認める」ことで、一体感を感じるから。
そのためには大変多くのエネルギーが必要になりますが、時間をかけてまで、蠍座はそのような大仕事をやり遂げようとします。
それが果たされる時とは、相手が精神的な解放を得られた時であり、蠍座に心を開き、蠍座の愛を受け取ってくれた時と言えるでしょう
。
そのため蠍座は、他者の隠れたものを暴くだけでなく、解放を体験した他者から何かを「受け取ること」を学ぶ星座でもあります。
その受け取ることこそ、第8ハウス (室) のテーマとしての「継承」だと言えます。
蠍座と身体の関係
星座は、私たちの身体の部位と対応しています。
蠍座が対応する身体の部位は、「生殖器」です。
火星と冥王星が、蠍座に『性』に関する影響力を与えていることはお話しましたね。
生殖器とは、『排出』と『子孫繁栄』の2つの役割を持つ特別な部位です。
日常的に必要なデトックスの役割と、限り無くプライベートなセクシュアルな部分が重なっているのは、人体の神秘に宇宙の意図が隠されている証拠。
もっとも蠍座は「隠れたもの」をテーマとする星座ですから、普段見せることのない部位は、秘密でなくてはいけず、蠍座の象意としてピッタリと言えます。
また生殖器は柔らかく、繊細であることは、心や感情と共通しています。
悪感情を溜め込み過ぎると、生殖器の機能に支障が出るのは、身体と心が繋がっていて、常に心身を浄化する必要があることを意味していますね。
水は流れが塞き止められたり、水自体が足りないことで、働きを弱めてしまいます。
それは膀胱炎や下痢、便秘、生理不順、性機能の低下として表れます。
排尿や排便に比べ、性的な問題は医者や専門家であっても、恥ずかしくてなかなか打ち明けることができません。
蠍座は、恥を「認めたくない」という感情に分類だけして、しっかりと受け止める役割を持ちます。
誰もが恥はかきたくありませんが、恥を忍んで問題を明確にし、他者に受け入れてもらう時、もっと早く打ち明ければよかった、と思うものです。
蠍座は、生殖器という誰もが隠す部位に対応し、他者に対しては、親身に寄り添う理解者 (カウンセラー) として活躍します。
蠍座と時間の流れ
天秤座で秋分を迎え、蠍座は2つ先の山羊座で迎える冬至に向けて、成長と進化を進めていきます。
冬の時間は『影 / 陰』の存在が強まる時期で、普段は意識に上がらないものが浮上しやすくなります。
星座の赤ちゃん (牡羊座) が生まれた時、既に冬は終わりを迎えようとしましたし、自我がしっかりしていなかったため、陰の深みを体験できていなかったのです。
ですから蠍座は、自身を成長させる要素として、内面にある『闇』と世界にある『陰』に耐えうるだけの力を蓄えようとします。
それこそが、蠍座が水星座・固着宮 (不動宮)・女性星座である理由です。
この世の働きは、温かい・明るい・軽い『陽』のエネルギーと、冷たい・暗い・思い『陰』のエネルギーの対極を柱として、グラデーションになっています。
星座はその対極を交互に体験していくわけですが、蠍座の意識は、陰に大きく傾いているのです。
星座の物語は、あらゆる要素に陰陽を見出し、1つひとつの役割で体験できる要素を網羅していきます。
冬とは、言い換えれば、『個』から『全体』へ意識を向けていくための「通過儀礼」の期間なのです。
蠍座は意識の深い領域にアプローチすることで、この世の成り立ちが、陰陽であり、個人が小宇宙であるとともに、大宇宙と相似形であることを突き止めます。
だからこそ蠍座の世界には、『真剣さ』と『切実さ』が満ちていて、そうでもしないと、世界の今後の変化に耐えられないことを知っているのです。
天秤座のバランス感覚を崩してまでも、蠍座は内面世界に没入し、次の射手座では陽の働きができるように辛抱強く生きるのです。
蠍座を構成する要素
座を構成する、属性・宮・性の3つの要素について解説していきます。
蠍座の属性
蠍座の属性は、水です。
水とは『感情』や『情緒』であり、他者や世界との繋がりの結果、自分自身の中に生まれるもの。
究極を言えば、感情や情緒は、自分自身で責任を持たなければいけません。
蠍座はそのことをどうにか体得しようとします。
感情や情緒は、決して理性の敵ではありません。
むしろ感情があるからこそ、理性が働き、現実は豊かになります。
蠍座は現実を理解した上で、内面世界に身を投じます。
それは世界に存在する要素・属性として、水星座に授けられた使命・性質と言えるでしょう。
蠍座の水とは、『濾過 (ろか) 』された水です。
一寸の汚れさえも許せない、という極端な感性で、自分自身はもちろん、他者や世界を見通します。
そのような性質は、もはや『生き様』なのです。
蠍座の宮
蠍座の宮は、固着宮 (不動宮) です。
蠍座は、無駄に動かない星座と言えるでしょう。
なぜなら外で動き回るよりも、圧倒的に内面で行うことが多いからです。
ですが蠍座が、外の世界で起こっている出来事に無関心、ということではありません。
むしろ蠍座は、内面で行う作業で役に立つモノを得るために、小さな窓から世界を眺めます。
役に立つモノ、感動を呼び起こすモノ、変容を促すモノを見つけた時は、扉の鍵はちゃんと締めてから、一目散に走っていきます。
これは『蠍』としての狩猟本能と言えますが、更に付け加えるなら、『価値』のあるモノにしか興味が無い、ということです。
内面では過剰過ぎる程に動いていますが、外からは分からないようにするため、蠍座の葛藤や苦労、虚しさなどは簡単には窺 (うかが) い知ることはできません。
蠍座はそれを良しとしているわけではありませんが、自身の『性 (さが) 』として、付き合っていると言えるでしょう。
蠍座の性
蠍座は、女性性の星座・女性星座です。
感情や情緒そのものが、女性性の働きによって生まれたもの、と考えると分かりやすいですね。
蠍座は感受性が『豊か』というよりも『敏感』である、という表現が似合っています。
目に見えない働きは、いつその影響力を振るい、変化を促すかは予想できません。
蠍座は生まれながらに、変化・変容を感知し、自身を変えることで、世界に貢献しようとする性質を持っています。
それは単に『着替える』というような簡単なものではなく、下水処理場の水を濾過するような、『大事 (おおごと) 』なのです。
誰も褒めてはくれないし、誰にも代わってくれとは言えない。
それは女性性的な発想ですし、内に秘めたものを粛々 (しゅくしゅく) 昇華させていくのは、蠍座の在り方。
『世界のために変わる』という言葉が、蠍座にはピッタリでしょう。
蠍座とその他の11つの星座との関係性
蠍座の『潜る習性』や『凝り性』は、関係性に大きな影響を与えます。
蠍座という星座は、これまでの物語を「熟成」させます。
その姿と影響力は、瞬発的であることもあれば、継続的にジワジワと浸透していくこともあり、あらゆる場面で注目の的になり得ます。
蠍座は、「生まれ変わり」を繰り返すような生き方をし、周りから多くの栄養を得ながら、そのお返しに深い気づきを与えます。
ただ蠍座の気づきは、時として『痛過ぎる』ことや、『急過ぎる』ことがあるため、関係性において、ある程度の距離感が生まれてしまうのは宿命的。
ですが関係性や繋がりとは、物理的・精神的に、いかなる時も絶対に繋がっていなければいけない、ということはありません。
蠍座は自身を変容の渦・台風の目となり、物語を発展させるべく、その他の星座との孤立することも厭 (いとわ) ない星座なのです。
蠍座・水の属性とその他の星座
属性別に星座を表現する時、以下のように表現していきます。
- 火の属性 = 火星座
- 土の属性 = 地星座
- 風の属性 = 風星座
- 水の属性 = 水星座
蠍座 (水) x 火星座
火星座は、牡羊座同士・獅子座・射手座の3つです。
蠍座にとって、火とは『対立的』な対象であるとともに、『融合』すべき対象。
関係性がそのどちらかに傾くかは、その時々によって異なりますが、蠍座は対極の相手に対しては特に警戒心を持ちます。
その他の属性の星座に対しても、『心のシャッター』を上げ下げしますが、火星座の熱意を汲み取った時、蠍座は『心の応接間』に通すでしょう。
蠍座が持つ「愛」は、苦手意識や困難さえも打ち破ろうとします。
時に火星座は、蠍座の献身的な愛を求めたがゆえに、強烈な感情の洗礼を受け、蠍座の変容の力の影響を受けることができます。
また蠍座自身も、火星座の情熱と意志に感化され、もっと成長したい、もっと変容したいという気持ちを強くさせるでしょう。
水と火の属性は、対極にあるからこそ、それぞれの役割を果たすために適度な距離を持つことが、双方にとって心地良いものです。
ですが『融合』を望む時は、激しい変容を体験しなければけませんから、その時の衝突や関係性は激しくなったり、冷戦状態になることもあるでしょう。
蠍座 (水) x 地星座
地星座は、牡牛座・乙女座・山羊座の3つです。
蠍座にとって地星座は、『穏やかさ』や『『隠れ蓑 (みの) 』の対象です。
地星座は感覚的な幸福感を求め、また周りに与えようとしますから、精神的な穏やかさを求める蠍座は、地星座の安らぎに惹かれます。
ですが、地星座はマイペースであったり、物質や目に見えるものに執着する性質がありますから、蠍座は感情が伝わらないことに対し、憂いを感じる時もあります。
地星座は蠍座を現実に繋ぎ止め、蠍座は地星座に感情を流し込む、という相互関係があります。
蠍座はこれまで星座の物語を振り返り、生まれて来る感情を煮詰め、『目には見えない成果』を共有しようとします。
地星座は、その激しい蠍座の姿を前にして、少し躊躇しながらも、強烈な引力に引き込まれます。
対して蠍座は、『いかに理解してもらえるか』や『いかに受け入れられているか』を敏感に察しますので、地星座の大らかさと素直さに安心感を得えるのです。
蠍座 (水) x 風星座
風星座は、双子座・天秤座・水瓶座の3つです。
蠍座にとって風星座は、「言葉」や「理性」を教えてくれる星座。
対して風星座は、蠍座から深い感情や情緒、無意識や霊的な繋がりを教わります。
水と風は、ある程度の距離感があり、対立や葛藤の関係性にまで発展することは少ないです。
ですが蠍座が心を汲み取ってもらえないと感じた時、風星座は蠍座のテリトリーから追い出されます。
蠍座は心地良さよりも、「繋がり合えるか」を基準としているため、理性だけを頼る生き方をする対象には、分かりやすく壁を作るのです。
蠍座は前の星座・天秤座で、理性や言葉の重みを体験しているからこそ、感情を蔑ろにはできません。
ただ風星座は柔軟性と、軽いフットワークで、蠍座が知らない世界と時間の使い方を教えることになります。
蠍座は自身にないモノを補うために、風星座の力を借り、普段抱えている重荷を降ろすことができます。
そのような時、蠍座は風星座に、信頼という愛を差し出すでしょう。
蠍座 (水) x 水星座
蠍座以外の水星座は、蟹座・蠍座・魚座の3つです。
蠍座は水星座の2段階目の星座で、蟹座には深い愛を教え、魚座には広い愛を教わります。
逆を言えば、蠍座は蟹座から純粋さを教わり、魚座には集中力や変容の力を教えます。
水星座同士は、感情的に繋がることで、同調・同情・共感をしやすく、時に狭い関係性で留まり、動きが鈍くなってしまうことがあります。
水が一時的に停滞するだけならいいのですが、流れを断ち切り、濁流になってしまうと、共依存の関係が生まれてしまうでしょう。
蠍座は水星座同士であっても、いくらかの孤独を感じます。
蠍座の生き様は、『石橋を叩き割る』勢いがあり、渡ることよりも溺れることを選んでしまい、生還することにさえも意味を感じる時があります。
蟹座と魚座にしてみると、そのような蠍座の極端さは、危なっかしく映るかもしれません。
とはいえ、水星座同士の関係は、『心の距離間』を計りやすく、激しい衝突よりも、時間をかけて和解に向かう性質で結ばれます。
水星座は終わりのない感情を司るため、『キリが無い』ことや『理想の安心感』を求める星座たち。
蠍座は感情の海を渡り切ろうとし、その姿は水星座の中で最も過酷で、美しい精神性と言えるでしょう。
蠍座 (固着宮/不動宮) と活動宮・柔軟宮
占星術的なシステムについては、何度も同じ表現を繰り返しますが、それはあなたに「いつの間にか覚えていた!」という感覚を掴んでいただきたいからです。
3つの宮は、「トリプリシティ」といって、星座を3つの分類をするシステムです。
宮は、星座毎の性格や雰囲気ではなく、自然のサイクルの3つの流れを役割として持っています。
- 活動宮 = 始まり
- 柔軟宮 = 変わり目
- 固着宮 (不動宮) = 定着
蠍座・固着宮 (不動宮) x 固着宮 (不動宮)
蠍座以外の固着宮 (不動宮) の星座は、牡牛座・獅子座・水瓶座の3つです。
固着宮としての蠍座は、『ここぞ』というタイミングで動きたいタイプで、獅子座の『上位互換』のような動き方をします。
牡牛座は地道に動き、水瓶座は広いフィールドの中で、自分の行動範囲を決めて動きます。
獅子座は蠍座と比べると持久力がなく、痛みに弱かったりします。
蠍座は『情』がある限り、信頼関係を裏切るようなことはしませんので、これら3つの星座に対して、気を長くして接しようとするでしょう。
『動かない状態』は、決して変化をしていないということではありません。
固着宮 (不動宮) の中で、蠍座がそのことをよく理解し、実際に日々体感しています。
ですが同じ固着宮 (不動宮) と言えど、感情的に背を向けられたり、裏切りがあった場合、蠍座は急激に態度を変えるでしょう。
それは蠍座の性質であり本能です。
対して牡牛座・獅子座・水瓶座は、このような蠍座の気質を恐れ、またその集中力と判断力を頼りにします。
感情の繋がりは、目に見える繋がり以上に変化しやすいため、固着宮 (不動宮) の在り方も様々なのです。
固着宮 (不動宮) x 活動宮
活動宮の星座は、牡羊座・蟹座・天秤座・山羊座の4つの星座です。
蠍座にとって、これらの星座は『すばしっこい』という印象があり、またペースやテリトリーを害される恐く対象でもあります。
それぞれの星座には属性的な働きが相まって、関係性の築き方はバラバラ。
蠍座は決して動きたくないわけではありません。
活動宮の星座が時折見せる、『生モノ的』な感情や情熱は、蠍座を感動させ、繋がりを持ちたくさせます。
ただペースやスタンスとして、蠍座は常に動き回ったりしませんから、活動宮の星座にとって『つれない』と思われることもあるでしょう。
蠍座は『極性』を体現するような星座ですから、『かくれんぼ』をしていて、いつまで経っても姿を現さないこともあります。
そんな時蠍座は、自身の精神世界に没入していますから、活動宮の星座が躊躇いを感じてしまうのも自然です。
蠍座と活動宮の星座の関係性は、『ほどほど』という距離感と表現できるでしょう。
固着宮 (不動宮) x 柔軟宮
柔軟宮の星座は、双子座・乙女座・射手座・魚座の4つです。
活動宮と柔軟宮から異なるのは、柔軟宮が意識を向ける方位・方向が広いこと。
蠍座は柔軟宮の星座たちが持つ、意識の広さと柔軟性に感化され、また尊敬の念を抱きます。
12星座はそれぞれ、自分のやり方で信念を通そうとしますが、蠍座の場合は1つのことに意識を全集中させるのです。
ですが意識を意図的に狭めている時、その他に意識を向けることはできません。
柔軟宮は、蠍座がピンチになる時、意識の広げ方を教える存在になり、蠍座は『地に埋まっていた状態』から素に戻ることができます。
対して蠍座は柔軟宮の星座に、意識を広く持ち過ぎることで、こぼれ落ちていく可能性や気づきの大切さを教えます。
蠍座はいつでも自身の『極端さ』に振り回されながら、その極端さによって周りに助けられ、また周りを感化していくのです。
2極の性と星座の移り変わりについて
天秤座が社会や世界を駆ける星座であるとしたら、蠍座は自然の中に溶け込み、目に見えない流れを汲み取る星座と言えます。
それは、男性性と女性性の役割と働きの違いです。
蠍座は、天秤座で得た体験を『昇華』するために、内的世界の飽くなき冒険をします。
それは女性性だからこそ耐えられる、一種の『修行』のようなものかもしれません。
内向きの意識が働いている場合、外の世界で起きていることに対して、過敏に反応するようになります。
その理由は、無防備な精神状態が傷つかないようにするためです。
星座の物語がどんどん終わりに向かうにつれ、ここに来て、蠍座は宇宙・世界から『大きな変容』を起こすように促されます。
それは女性性が生み出す「創造」であり、「破壊に耐える受難」。
蠍座の行動範囲が狭く、関係性の築き方が極端なのは、『破壊と創造』のサイクルを直に感じ取っているからです。
男性性が弱い、というわけではなく、女性性に託される受難が果たされることで、男性性はその恩恵を世界に還元することができます。
蠍座は、世界や他者と「同化する」こと、すなわち自分自身の存在が無くなってしまうことも、究極の欲求として持っています。
それは「死」であり、「新しい意識の誕生」と言えます。
蠍座の生き様は、決して投げやりなのではありません。
蠍座は、宇宙に満ち満ちている可能性が、現状を破壊して生まれ変わることによって、命が吹き込まれることを知っているからです。
このような激しい変容は、次の射手座に引き継がれていきます。
今度は広いフィールドで、生まれ変わったものや、生まれ変わりを体験したモノを探しに、射手座は世界を駆けまわることになるのです。
蠍座を客観視するのは?
蠍座の場合、正反対に位置する星座は「牡牛座」です。
牡牛座は、蠍座と同じ固着宮 (不動宮) で、地星座であるため、関係性としては繋がりやすい対象と言えます。
なぜ繋がりやすいのか、と言いますと、牡牛座は自身の感覚に絶対的な自信があり、世界をそのまま愛する素直さがあるからです。
対して蠍座は、「疑う」ということによって『審美眼』と『感情的な救済』という能力と使命が与えられています。
蠍座の生き様である「極性」や「極端」は、牡牛座によって緩和されます。
蠍座は常に緊張感や切迫感、疑念や葛藤を抱えているため、牡牛座のような自然体な姿と心持ちは、癒しや安心に繋がるのです。
牡牛座は決してフットワークが軽くはありませんが、にこやかで、存在としての安心感を感じさせる星座。
蠍座は仏頂面であったり、常に深刻さを感じさせるため、牡牛座からは大らかさや肩の力を抜く大切さを教えられます。
極端・対極だからこそ、蠍座にとって牡牛座は、救いであり、また不可能に思える可能性です。
対極の関係性は、葛藤や混乱を生みます。
現状を維持することが困難な場合、蠍座は牡牛座的な要素、つまり「今をありのままに生きる」という在り方を吸収すべきなのです。
疑いや葛藤の果てには、確かに解放が待っていますが、常に緊迫していては、高い持久力と精神力を持つ蠍座といえど、再起不能になってしまいますから…。
蠍座と数秘【8】
数秘術とは、宇宙の原理を1~9の数字で表したものです。
蠍座は12星座の8番目の星座であり、数秘8の意味合いを持ちます。
数秘8には、以下のような意味があります。
- 力
- 野心
- 生産、物質主義
- マネー
- 末広がり
- 循環、インフィニティ
- 構造
- 全体性
- 満足 etc
これらの中で、蠍座に最も合うキーワードは『全体性』です。
循環やインフィニティ (∞) も神秘性に関連しますが、どちらかと言うと蠍座は、『全体性に繋がろうとする』という働きが強いと言えます。
『全体性』とは「始まりと終わりが結ばれている」ことを意味しているのですが、もっと噛み砕いて表現すると、「個の集合体が全体」ということ。
蠍座は水星座ですから、感情や真理に『浸透する』働きを持ちます。
それは自分を中心として、八方向に意識を向けます。
数字には力があり、働きそのものを細分化して考える時に役に立ち、数秘8は全体性そのものではなく、全体に繋がろうとする働きなのです。
蠍座はその働きを、部分的に行います。
なぜ部分的かと言いますと、感情や無意識の領域への働きが強く、まだ「統合」の状態には至っていないからです。
だからこそ蠍座は、今後の意識進化のために、生死にまつわる根源的な意識変容を身を持って起こしていきます。
蠍座の意識変容は、自分自身だけの問題ではなく、必ず周りに影響を与えるため、独りよがりではないのです。
そういう意味では、『末広がり』という言葉も、蠍座の変容の力を表現していると言えるでしょう。
そして蠍座の段階で起きた変容は、その後も継続して続いていき、次の星座の射手座に受け継がれていきます。
『継承』がテーマである第8ハウス (室) を管理する蠍座らしく、その崇高な意識は、射手座によってより発展していくのです。
蠍座とタロットカード
蠍座に対応するタロットカードは、「死神:Death 」です。
『自己変容』や『生まれ変わり』には、「死」という言葉がつきもの。
今日のあなたは、昨日のあなたと同じあなたではありません。
細胞レベルで生まれ変わっていますし、ほんの小さな感情や意識の変化や成長は、あなたを確実に「別な存在」として生まれ変わらせています。
「死」とは、身体的な機能が失われ、この世から卒業する、ということだけを意味するわけではありません。
未練、後悔、挫折、絶望などは、メンタルの危機であり、限界を超えた時、人は『精神的な死』を経験します。
その精神的な死に耐え、乗り越える力を与えるものは、普段は隠されている生命力です。
『隠されている生命力』とは、制御されているか、もしくはまだ知らないことで隠れる潜在能力です。
蠍座を象徴する言葉としての『変容』は、身体が魂の一時的な『宿屋』であり、精神は壊れても再生し、人生が何度も生まれ変わる旅であることを教えてくれます。
人は何の理由も動機も無いのに、命を絶つことはしません。
そこには何らかの事情や理由、感情があるように、蠍座の変容への欲求も、魂に導かれ、宇宙に還元するための生き様です。
「死神」のカードが出る時、タロットでは『生まれ変わり』や『転換期』とキーワードから、現状は必ず好転する、と解釈します。
蠍座は自虐的なのではなく、宇宙の計画に沿って生きる、愛と生死を表現しながら生きている星座なのです。
蠍座は『陰の無い世界は幻想だ』と心で叫ぶ
今回の講座は、蠍座の全貌を詳しく解説させていただきました。
蠍座は一見『重い』印象を受けますが、それはエネルギーが重いからではありません。
あくまでも『陰の世界』に意識を向け、陽の世界に陰 (かげ) を引っ張り出し、陰のエネルギーが強くを感じられてしまうからです。
また蠍座が感情に意識を強く向けるのも、思考による幻想や思い込み、制限を外し、無限の可能性にアクセスするため。
それは現実逃避をしたいから、目に見えないものや神秘的なものに魅了されているからではないのです。
逆に、蠍座は非常に現実的で、現実と魂の世界を行き来するだけの精神力を備えています。
私たちの人生は、いかに感情を体験し、その体験をいかに人と共有し、新たな体験へと繋ぐかで、充実度や幸福度が変わるはず。
それを蠍座は理解し、自分自身を生まれ変わらせるのは当然のこととして、世界を巻き込み、現実世界に真理を降ろしたいと本気で考えています。
蠍座は真実を大切にするため、嘘偽りや幻想を嫌いますし、そのことは傍から見ても一目瞭然です。
だからこそ、時に苦悩する人はもちろん、逃避する人と出会った時は、最大限の愛を持って、目の前に居る人の心を解放するために、力を発揮します。
その力とは、生命力であり、その生命力を発揮するためには、『自己変容』と『死』といったテーマに向き合うことが必要不可欠なのです。
蠍座の生 (性) と死のテーマは一旦昇華され、意識進化は次の射手座にバトンタッチされ、物語は更に発展していきます!
それでは、次の射手座の講座でお会いしましょう。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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