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伝統占星術で扱う恒星・ロッツについて

伝統占星術で扱う恒星・ロッツについて

「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!

前回の講座では、コンジャンクションとメジャーアスペクトを主題とし、天体の動きや天体同士の関係性、星座(サイン)による天体の影響力(機能)の変動、そして天体のハウスへの現象化の仕組みについて解説しました。



ホロスコープは、天空を運行する天体ショーの如く、時間と空間を変えて、様々な演出を見せてくれます。



アスペクトは、星座(サイン)の関係性によって形成される天体たちの関係性で、その関係性は表現力となり、天体はハウスという地上に舞台のシナリオを再現される、という言い方もできます。

伝統占星術でトランスサタニアンが採用されない理由は、「目に見えない星」であったからですが、太陽以外の「恒星」を採用します。



また占断の種類によっては、星団や星雲を採用することもあるようです。

現代占星術では、小惑星や仮想天体、感受点を複数採用することで、占断と解釈に幅を持たせる一方、伝統占星術では、「恒星」という光源を放つ天体を主軸として、扱う天体を厳選しています。


どちらの立場も、その時々(時代)に合った概念と方法が、「達成できる範囲」で体系化されるのであって、優位性や絶対性を誇示することに意味はありません。

重要なことは、何を起点(動機)として、建設的な言語化(説明)と法則性を照合し、ホロスコープに映し出されているシナリオをどのように読み取るか、です。

本講座では、これまで恒星については未だ触れてきませんでしたが、伝統占星術についての解説を機に、必要最低限の範囲で解説させていただきます。

今回の講座では、天体のディグニティやアングルと絡む恒星の存在や意味とともに、現代占星術ではアラビック・パーツとして知られる「ロッツ(Lots)」について解説させていただきます。

今回の講座で、伝統占星術の解説を一旦は終わりますが、本講座のタイトル通り「深楽しい」占星術の解釈ができるように、新たな知識や概念をお伝えしていきますので、是非今回も最後までお付き合いください!

時代の変化と循環性

古代人も現代人の私たちも、太陽系の中の地球で日々を生き、人生を全うしていることは変わりません。

ですが、「見える景色」や「見るための道具(技術)」には大きな違いがあり、時代や世代、歴史は常に視野を広げていく一方で、「深み」という意味では、置き去りにしているものがあることも事実です。


そもそも西暦というものは、イエス・キリストの生誕を起源とし、今現在でも当たり前に使われていますが、よくよく考えてみると、西暦という概念を採用していない地域や人々を除けば、世界は1つの時間軸を共有しているといえます。

言葉や文化の違い、住む場所が異なるにも関わらず、人類は1つひとつ、共通認識を増やし続け、今ではいつでもどこでも、オフラインとオンラインを使い分けながら、世界と時間を共有しています。



さて、ミレニアム・イヤーの2,000年から既に20数年が経ちますが、トランジットとしては、大惑星やトランスサタニアンの星座のイングレスをすることによって、占星術が持つ観点や世界観の重要性が注目されるようになっています。

2024年11月末に冥王星が本格的に水瓶座を運行を開始した後も、人類の集合的無意識に蓄積されてきた「体験的記憶」は引き継がれていくでしょう。

太陽系のシステムが紡いでいる「進化」とは、人類だけではなく、あらゆる生命体との共同創造によって進みます。

時間と空間、善悪、美醜、優劣などの二項対立的な概念と観念は、長い時間をかけて人類の進化と後退のシーソーゲームを稼働させてきました。

どのような段階にも役割があり、どのような人生にも価値がある。

これが生きとし生けるものすべての存在意義であり、本質です。

2,000年という年月は、私たちからすれば非常に長い時間ですが、大宇宙にとっては、1回の瞬き程度の時間経過かもしれません。

「地の時代」と呼ばれた2,000年間は、2020年12月末、社会天体(外惑星)である木星と土星の「クレート・コンジャンクション」と、エレメントが切り替わることで起こる「グレート・ミューテーション」にて終わりをつげ、「風の時代」へと移ったといます。

ですが、地上に生きる生物と人類は大地に根差していますので、一足飛びで意識進化を果たす、ということはあり得ません。

古代人であっても、現代人であっても、そして少し先の未来人であっても、地球が生命活動の拠点である限り、人類は一丸となって地球人としての意識の進化を地道に積み重ねていくことは変わらないはずです。

占星術は本来、自然の摂理である天体の運行による、世界の在り様と変化(進化)の「お告げ」に心を澄ませ、主観という枠を出て、目の前の現実(世界)をありのままに捉え、「生命を与えられた」という使命をどう生きるか、を考えるためにあります。

どのような道具や技術を駆使し、生活様式を効率的・快適にしても、主体として生きる存在は私たち自身です。

私たちが主体として生きる感覚を育て、実際に「生きている実感」を、星々の働きと繋ぐことができる時、私たちはきっと、大宇宙の中で「幸せに生きること」を期待されているのだと感じることができるでしょう。

幸せの概念や定義は様々ですが、占星術に携わることで、短期的な快楽や刹那的な幸福感、また閉塞的な不快感や自責の念は、人生の全体を支配し、定義することではないことを認識させられます。

これまでと現在、これからの人類は例外なく、その時の「今」を体験することで、大宇宙にその経験値を還元しています。

その流れの一端を見せてくれるものが占星術であり、その流れをどの角度から見るのか、ということが、伝統占星術や現代占星術、心理占星術、トランスパーソナル心理学などの分岐し、発展した「学びの体系」の違いといえるでしょう。

突然視野を広げろ、と言われても、私たちはどうしていいか分かりませんが、少なくとも、自分の中にある概念や観念が「最善である」というポジションを降りて、違う景色を見ようと試みることはできます。

占星術は他のどのような学問と異なることなく、原則と知識を体験と繋ぎ合わせることで、叡智に触れることができる思考実験であり、現実と内面を繋ぐ精神と意識の進化の旅のガイドです。

現在は伝統占星術にスポットライトを当てていますが、今にしか肉体・心・意識を持つことができない私たちが、「時代」や「時代背景」といった時間の流れを汲み取ることで、広い視野に深みを持たせ、物事の真意や、潜在的に秘められ、望む者には開示される「天の采配」を紐解く気づきを得られるでしょう。

伝統占星術が恒星を採用する理由

占星術を学んでいると、様々な占術・占断方法があることが分かります。

私たちが親しんでいるホロスコープは、個人の出生ホロスコープ(ネイタル占星術)で、個人の出生情報が基になっているトランジットやプログレスも同様です。

ですが、占星術には以下のように、学ぶ順番があるといわれ、特に恒星を用いて占断する場合は、以下のような順番となり、その順番は、恒星を使う頻度と重要度によって決まります。

  1. ホラリー占星術
  2. エレクショナル/イレクショナル占星術
  3. ネイタル占星術
  4. マンデン占星術

ホラリー占星術は、卜術(ぼくじゅつ)と呼ばれ、占うことを意図した時間と場所によってホロスコープを作ります。

エレクショナル/イレクショナル占星術は、「日取り」や「時期選定」を目的として使われる占断ですが、俗に言う「吉日選び」です。

ネイタル占星術は、「人生の流れ」を読むことを目的としますが、ほとんどの場合が、個人の人生を左右している「運勢」を読み、向こう側から向かってくる運命(現実)に対して、意志を立てるための手立てを見出すことが期待できます。

マンデン占星術は、「国家の運勢」を読むことを目的とし、春分の日はもちろんのこと、国家事業や特定の行事などの、公の動きを客観的に見る際に活用されます。

もちろん個人が国家の行く末のためにマンデン占星術を活用し、ネイタル占星術と平行して現状を見ることもできます。

1~4の占断方法の違いは、「規模」の違いですが、占断の範囲が規模が広くなればなるほど、視野を広げる必要が出てきますね。

そのため、規模が広い上位の階層の占断方法になるにつれて、伝統占星術では7つの天体だけでなく、恒星の影響を採用することで、より占断に説得力と深みを持たせるのです。

先ほど、学ぶ占断の順番を上げましたが、恒星の使用頻度と重要度をまとめると、以下のようになります(降順)。

  1. マンデン占星術
    :恒星を採用する・恒星は重要である
  2. ネイタル占星術
    :すべてではないが、恒星を採用する・恒星は重要である
  3. エレクショナル/イレクショナル占星術
    :すべてではないが、恒星を採用する・恒星は重要になることがある
  4. ホラリー占星術
    :限られた恒星のみ採用する・恒星は重要になることがある

伝統占星術では、「地上に影響を与える存在は、肉眼で見える星である」ということを前提に天体を選定しています。

天空には無数の星が点在していますが、7つの天体は肉眼でも位置の移動(運行)を確認できるため、「天体」や「惑星」と呼ばれます。

もちろんすべての星が常に同じ地点にあることはあり得ないのですが、地上から見た場合、星座になっている星は動いていないように見えます。

そのような星座になっている星は、「星」や「恒星」と呼ばれます。

更に視野を広げると、「星雲」や「星団」などに行き着きますが、占星術では良い象徴や意味を与えられていません。

なぜなら、地上からすると、星雲や星団は不明瞭や浮遊感といった「ぼやっとした存在」に見えるからです。

そのため、星雲や星団が採用される時は、視力に関する占断に限定されることがほとんどのようです。

遠くにある天体(や星)が影響があるのは、地上(ハウス)に対して重点的に機能(影響力)を与える、という側面がありますので、特定の恒星に意味を持たせることで、私たちはより広い視野を獲得することができる、という解釈は筋が通ります。

また、伝統占星術の立場からすると、未来予測をする場合には、恒星を抜きには占断できないとされるほど、恒星は重要視されているのです。

ただ、ホロスコープで恒星を採用する時には注意点があります。

言い方を変えれば、7つの天体と同様には扱わない(扱えない)ということです。

3つの恒星

本講座では、数ある恒星の中から、3つの恒星のみをピックアップします。

これら3つの恒星は、古代の占星術で重要視されていた恒星で、現代でも重要であると判断されています。

恒星は英語で「Fixed Stars」と呼ばれ、「固定された星」という意味を持つ通り、7つの天体と同じようには扱えない星です。

実際には、恒星は72年に約1度動くため、そのため、古代に見えていた恒星の位置と、現在見える恒星の位置は当然異なり、これからも変わっていきますが、占断を行う上で、約1度の位置の差は、余程の長期的な範囲・規模に対するものでない限り、恒星は動かない星と見なされます。

ちなみに、恒星にはそれぞれに意味が持たされていますが、恒星自体の意味に加えて、恒星には、その恒星の性質を表す天体が当てられています。

恒星の性質は、多くの場合、メインとサブの天体によって構成され、それら複数の天体の性質が付加される、という解釈が推奨されるようです。

メインとサブの天体は、順序が逆転せず、天体の順序によっては、同じ天体の性質が付与されるにも関わらず、全く異なる意味となるため、恒星の使いどころや考え方として、面白味が感じられる点といえますね。

以下、3つの恒星をご紹介してきます。

レグルス(Regulus)

おとめ座にある恒星で、「物質的な成功」を表すとされています。

天体がレグルスとコンジャンクションすると、アクシデンタル・ディグニティが強まるとされ、物質的な成功に際して、重要な時期や出来事に関する暗示する、という見方がされます。

あくまで「物質的な成功」であって、その成果物がどのような精神的な幸福をもたらすか、または環境の変化が素晴らしいか、ということとはイコールにならないことが注意点です

どのような吉意・凶意が出ても、その後の展開は、当事者の選択・決定・行動に委ねられることは変わりません。

以下に、レグルスに関する情報をまとめました。

  • レグルス – しし座α星・1.36等級
    ⇒ しし座の心臓部に位置し、「小さな王」という意味を持つ
  • 特に影響を与える天体:火星
    次に影響を影響が出る天体:木星
  • 意味
    【吉意】:寛大さ、雄大さ、思いやり、大志、高尚な理念や精神、独立心、力を好む
    【凶意】:乱暴、破壊衝動、失敗、投獄、束の間の軍功
  • レグルスは、獅子座の性質を最も強く持つ星(恒星)

スピカ(Spica)

てんびん座にある恒星で、「幸運」「保護」を表すとされています。

それは、スピカがおとめ座の「麦の穂」に位置するからです。

スピカは、天体のアクシデンタル・ディグニティを強めるとともに、その天体の表す対象(人や物)に対して、何かしらの幸運や保護がもたらされることが期待できる、という見方がされます。

伝統占星術では、スピカは最も幸運な恒星(星)と見なされています。

スピカがもたらす幸運や保護は、必ずしも物質的にものとは限りません。

特定の人や人伝いに恵みが巡ってくる、という見立てが強いため、スピカは精神的な満足をもたらす星といえるでしょう。

それは、スピカがレグルスよりも影響力が強くないことが1つの要因とされています。

以下に、スピカに関する情報をまとめました。

  • スピカ – おとめ座α座・0.97等級
  • 特に影響を与える天体:金星
    次に影響を影響が出る天体:火星
  • 意味
    【吉意】:成功、名声、魅力的な性質、良い地位、芸術と科学への愛
    【凶意】:悪徳、不妊、無罪を主張するにあたっての無益・不正
  • 精神的な幸福・精神的な満足を象徴し、幸運をもたらす星(恒星)である

アルゴル(Algol)

おうし座にある恒星で、「苦しみ」「死」を表すとされています。

アルゴルは、アラビア語で「人食い鬼の頭」という意味を持ち、斬首や首を切られるような痛み・苦しみを象徴する星(恒星)です。

凶意を暗示するアルゴルですが、死そのものを表すこともあれば、耐えがたい苦しみを味わう、という象徴的な暗示でもあるようで、最も親和性が高い天体は土星です。

伝統占星術では、第1ハウスが上昇宮(日の出が始まる場所・東の地平線)であり、ASC/アセンダントは第1ハウスに位置します。

第1ハウスは、肉体を含めた「自分自身」を表します。

恒星が第1ハウスを支配する天体とコンジャンクションとなる場合、恒星の影響は、ダイレクトにホロスコープの持ち主に作用する、と考えます。

第1ハウスを支配する天体がアルゴルとコンジャンクションすると、当人は耐えがたい苦しみを味わっていることを象徴する、ということになります。

そのため、アルゴルとコンジャンクションする天体がどんなに高いディグニティ(品格)があっても、すべてが台無しになる、という解釈となるのです。

以下に、アルゴルに関する情報をまとめました。

  • アルゴル – ペルセウス座β星・2.12等級
  • 特に影響を与える天体:土星
    次に影響を影響が出る天体:木星
  • 意味
    【凶意】:不運、暴力、死、自分自身や他人にとっての死や苦しみの原因・執拗的で暴力的な性質
  • アルゴルは、最も強い凶意を持つ星(恒星)である

恒星の採用の仕方

恒星は、7つの天体のように、ホロスコープのすべての位置で影響力を持つわけではありません。

そのため、恒星が地上に影響力を持つ条件は限られています。

以下の8つ項目は、恒星の影響力に関する条件です。

  1. 恒星が地上に影響を与えるためには、媒体が必要となる
    ⇒ ①ハウスカスプ、②天体、③ロッツ(アラビック・パーツ)を経由すること
  2. 恒星が影響を与えるのは、コンジャンクションのみに限られる
  3. 恒星には、原則的にオーブを持たせない
  4. 恒星には、天体の意味を否定する力は無い
  5. アングルにコンジャンクションする
    ⇒ ASC/アセンダント・DSC/ディセンダント・IC・MC
  6. 日蝕や月蝕の月、または太陽にコンジャンクションする
  7. 恒星がコンジャンクションする天体の性質と一致する場合、影響力が強くなる
    ⇒ 吉星 × 吉星、凶星 × 凶星
  8. 恒星がコンジャンクションする天体の状態(ディグニティ)によって、恒星の影響力は変わる
    ⇒ 良いディグニティの場合、恒星の影響力は強くなる
      弱いディグニティの場合、恒星の影響力は弱くなる

最も重要視すべきことは、1番目にある、恒星の影響は「媒体」や「経由」が必要である、ということです。

アングルも天体も、ハウスカスプも、感受点であるロッツ(アラビック・パーツ)も、恒星からの影響の受け皿となり、占断に新たな解釈を与えます。

次に、恒星が影響を与えることができる条件は、媒介となる天体や感受点、場所(ハウスカスプ)コンジャンクションする時に限られる、ということも非常に重要です。

言い方を変えれば、アスペクトを考慮に入れなくてもいい、ということですね。

また、恒星が天体とコンジャンクションする際に、オーブを取る必要があるのか?という疑問があるかもしれません。

原則的には、2・3度以内の、極めて度数の近いコンジャンクションを採用することが望ましいとされていますので、あまりに離れた度数でのコンジャンクションの場合は、恒星は採用する必要が無いといえます。

そして、恒星は天体の意味を否定したり、覆したりするようには働きませんので、ホロスコープにおいては、やはり天体が主役といえるでしょう。

恒星については、レグルスとスピカはアクシデンタル・ディグニティを強め、アルゴルは弱める、ということだけでも覚えていただければ幸いです。

恒星とアクシデンタル・ディグニティ

物事の良し悪しは、短期的に見る場合と、長期的に見る場合では、一致しないことの方が多いかもしれません

持って生まれた性格や能力、才能などは、ある時点・タイミングまで、あるいは、適切な場所に至るまでは、単なる資質でしかありませんし、当人がそれを活かす意志が無ければ、せっかくの「天からの贈り物(ギフト)」は宝の持ち腐れとなってしまいます。

得てして、私たちのほとんどは、「自分には価値が無い」ということに自信を持つことが得意で、他者と比較して自暴自棄に陥ったり、無いも

のねだりをすることで、足元の豊かさや恵みを見逃していることが多いものなのです。

ただ、その見逃していること自体も、「幸せに気づくための回り道」をしているだけで、後になって内省することで、帳尻は合うようにも思えます。

「物は考えよう(捉えよう)」と言われるのは、この世のすべてには両面性があるからです。


更に言えば、現時点で見ている側面をありのままに捉えようと、それまで固執していた視点を掴むことを止めることで、必要以上に自分自身に責任を全うさせようと意固地にならず、力を緩めることで、事態が変わる(好転する)といったことが起こります。

言葉で言うのは簡単ですが、実際に、トイレに行きたかったら、トイレに行き、用を足したかったら、用を足す必要性を語っていないで用を足せばいい、ということは、日常的にも、重要な出来事に対しても適応できる場合が多いものです。

占星術に話を戻しますと、「既に持っているものを生かすも殺すも自分次第であること」を、私たちは2つのディグニティに見出すことができます。

1つ目は、エッセンシャル・ディグニティですが、天体が元々持っている機能がどの程度発揮できるかは、どの星座(サイン)に位置するかで決まり、これは先天的な「定め(運命)」といえますし、角度を変えれば、「素材」や「土台」といえるものです。

根本は変わらなくても、上乗せしていって、表現や演出を変えることはできます。

2つ目は、アクシデンタル・ディグニティですが、これは環境に左右されて、天体の機能がある一定の条件や期間において封じ込められている状態といえます。

どのような状況下にあっても、何かしらの行動は取れますので、それがアクシデンタル(思いがけない)状況や条件であっても、そうだからこそ生み出される変化があることも事実なのです。

恒星には、天体の意味を否定しない、という前提があります。

また恒星は、アクシデンタル・ディグニティを強めたり弱めたりします。

以前の講座で、ディグニティ(品格)についての解説はしたのですが、未だアクシデンタル・ディグニティについての解説をしていない部分を、恒星と絡めて紹介させていただきます。

アクシデンタル・ディグニティとアクシデンタル・ディビリティ

アクシデンタル・ディグニティは、エッセンシャル・ディグニティとは違い、足し算による点数の計算ができない、とされています。

アクシデンタル・ディグニティの場合、全体的・総合的な数値(点数)を見るのではなく、それぞれの天体の位置(品格)の強弱を1つひとつを見ます。

エッセンシャル・ディグニティは、生まれや身分のようなもので、アクシデンタル・ディグニティは行動力という違いがありますが、主体は自分自身です。

どちらの要素(品格)も、使い方次第ということですね。

エッセンシャル・ディグニティは、天体がどの星座(サイン)に位置するかで、その天体らしさがどの程度発揮できるかが決まります。

生まれや身分といったものが、常にプラス・マイナスのどちらかに働くわけではありませんが、土台となるディグニティがあることは、その人らしく振る舞うためには十分すぎるほどの影響力を持ちます

シンプルに例えるなら、天体が位置する星座(サイン)の違いは、自分の家で過ごすのか、他人の家で過ごすのか、といったように、自分が親しみのある環境に身を置けるかどうかで、振る舞いが自動的に、また、強制的に変わるということです。

対して、アクシデンタル・ディグニティは、ハウスの位置によって、自分に備わっている能力や才能が引き立つか、目立つか、見出されるか、といった影響力を示します。

同じような能力や才能を持つ人が2人いるとします。

1人は日向に居て、周囲に注目されやすく、もう1人の方は、日陰に居て、自分から表に出ようとしても、なかなか前者のように他者から注目されることがありません。

これは地平線を軸にホロスコープを二分する、セクトの考え方です。

伝統占星術では、第2・6・8・12ハウスの4つのハウス(位置)は、アヴァージョン(嫌悪の場所)と見なされていますので、それら4つのハウスに位置する天体は、ありのままの機能を発揮できなくなります。

これがハウスが天体に与える「強弱」であり、他者や周囲、現実から見られることでの影響です。

前回の講座で、アスペクトは「見ること」を意味する、とお伝えしました。

天体同士の関係性は、天空では星座(サイン)によって決まり、地上ではハウスによって実際的な出来事として表されます。

星座(サイン)とハウスはそれぞれの役割があるだけで、優劣は決してありませんが、「見る」という本質的な行為や現象化としては、星座(サイン)は潜在的な影響力を持ち、ハウスは顕在的な影響力として、天体に変化を与える、と考えることが重要です。

天体が星座(サイン)とハウスのどこに位置するかは、天の采配ですので、エッセンシャル・ディグニティもアクシデンタル・ディグニティも、私たちの意志によって定められた(決められた)ものではないと言わざるを得ませんので、2つのディグニティによって振る舞いを変える天体たちは、私たちを人生に対して受容的に捉えることを促す、といえるでしょう。

ディグニティ(品格)を解説した講座で、ディビリティ(弱体)をご紹介しました。

実は、アクシデンタル・ディグニティにもディビリティがあります。

ディビリティは、ディグニティを否定するものではないのですが、対極的な意味・象意を持ちます。

恒星がアクシデンタル・ディグニティに影響を与えるということで、今回はアクシデンタル・ディグニティとアクシデンタル・ディビリティの点数表を以下にまとめました。

アクシデンタル・ディグニティ点数
天体がASC/アセンダントor第10ハウスに位置している
天体が第4or7or11ハウスに位置している
天体が第2or5ハウスに位置している
天体が第9ハウスに位置している
天体が第3ハウスに位置している
天体がJoy(ジョイ)の状態にある
(太陽と月を除く)天体が順行している
天体が平均以上スピードで運行している
月の光が増している状態
天体が太陽の悪影響から離れている
天体が太陽と極めて近いコンジャンクション(カジミ)している
天体が木星or金星コンジャンクションしている
天体が木星or金星トラインのアスペクトを持つ
天体が木星or金星セクスタイルのアスペクトを持つ
天体が木星金星に挟まれている(ビシージング)
天体が恒星レグルスコンジャンクションしている
天体が恒星スピカコンジャンクションしている
アクシデンタル・ディビリティ点数
天体が第12ハウスに位置している-5
天体が第6or8ハウスに位置している-4
天体がJoy(ジョイ)となる正反対のハウスに位置している-1
(太陽と月を除く)天体が逆行している-5
天体が平均以下のスピードで運行している-2
月の光が減じている状態-2
天体が太陽からコンバストされている-5
天体が太陽とコンジャンクションに近い状態にある
   (アンダー・ザ・レイ)
-4
天体が火星or土星コンジャンクションしている-5
天体が火星or土星オポジションのアスペクトを持つ-4
天体が火星or土星スクエアのアスペクトを持つ-3
天体が火星土星に挟まれている(ビシージング)-5
天体が恒星アルゴルコンジャンクションしている-5

*あまりに高度・マニアックな内容のため、表に載せていない項目がありますが、ご容赦ください。*

アクシデンタル・ディグニティを見る際は、ハウスを見ます。

おさらいになりますが、ハウスの強弱は、①アンギュラー・ハウスである第1・4・7・10ハウス、次に②第2・3・5・9・11ハウスが続き、③第6・8・12ハウスが最も弱いハウスとなります。

第2ハウスは、ASC/アセンダントから見えない位置(アヴァージョン)なのですが、第1ハウスを支えるハウスであるため、第6・8・12ハウスの3つのハウスとは別の扱いをされていることに注意が必要です。


ちなみに、本講座でお伝えしている伝統占星術のハウスシステムは、ホールサイン・ハウスシステムですので、上記のような説明通りにハウスを読みます(アヴァージョンを採用するということ)。

ですが、プラシーダスやコッホ、レギオモンタナス方式でホロスコープを出しますと、星座(サイン)とハウスの幅は一致しません。

これらのハウスシステムでハウスの強弱を見る際は、①アンギュラー・ハウス(強)、②サクシデント・ハウス(中)、③カデント/ケーデント・ハウス(弱)という順番になります。


占断の目的と占断方法によってハウスシステムは使い分けられますし、好みや志向によって、ハウスシステムの選定は占断者に委ねられます。

ただ、占断する時の基本として、ネイタル占星術は場所(ハウス)が重要となり、ホラリー占星術(時間指定)の場合は時間(勢い)が重要である、ということは変わりません。


本講座は今のところ、ネイタルチャートを読むことをテーマに解説をさせていただいています。


そのため、伝統占星術でネイタルチャートを読む際に、アンギュラーハウスに位置する天体に対して、恒星がコンジャンクションをしていることが分かったら、恒星の意味や影響力を検討すると、そのハウスにおける象意に深みが増すかもしれません。

恒星は、アクシデンタル・ディグニティ/ディビリティとして(行動力への)影響力を持ちますが、その影響力が出る条件として、天体や感受点、ハウスカスプなどの状態に合わせる・沿う条件によって出る、ということがご理解いただけましたら幸いです。

太陽の右側・左側

ホロスコープには、2つの流れがあります。

これまで何度かお伝えしている①プライマリー・モーションと、②セカンダリー・モーションです。

プライマリー・モーションとは、東の地平線から太陽が昇り、西の地平線へと下る流れで、時計回りの流れです。

ちなみに、ノード軸(ドラゴンヘッドとドラゴンテイル)も時計回りにホロスコープを回ります。

伝統占星術では、プライマリー・モーションを重要視することで、ハウスの重要性を高めています。

セカンダリー・モーションとは、7天体の運行の方向性(流れ)ですが、星座(サイン)の流れとも合致しています。

現代占星術では、プライマリー・モーションの流れをそれほど重要視しないため、ハウスよりも星座(サイン)に重きを置いて、天体やアスペクトを捉えています。

どちらが古く、正しいか、という議論は、それぞれの立場を主張し続ける限り、対立・拒絶し合うだけなのですが、現に、ホロスコープはプライマリー・モーションとセカンダリー・モーションの両方を取り入れていますので、実質的には、伝統占星術の考え方が基本・基礎といえるでしょう。

さて、伝統占星術でも現代占星術でも、太陽は最重要視される天体ですが、太陽が他の天体の影響を与える位置関係について、もう1点だけ解説させていただきたいことがあります。

出生時間により、昼生まれか夜生まれかで、ホロスコープ自体も昼仕様か、夜仕様かといった分類分けがされ、昼の天体と夜の天体の働きに影響を与えます。

太陽が東の地平線の上にある時間帯と、下にある時間帯で、1日が昼と夜に分けられるということは、「太陽が地球の時間と空間に影響を与える源泉たる存在」ということです。

それは水星・金星・火星が太陽に近づき、コンジャンクションすることで起こるコンバストやアンダー・ザ・レイ(サン・ビーム)、コンバストなどの状態変化にあるように、6つの天体は、太陽に対する位置関係が重要であることを示しています。

太陽との位置関係は、以下の①オリエンタルと②オクシデンタル/オキシデンタルに分けられます。

この考え方は、セカンダリー・モーション(時計回り)の流れで、天体の位置関係を考えますので、プライマリー・モーションとごっちゃにならないようにご注意ください。

オリエンタル

「オリエンタル(oriental)」とは、「東洋の」という意味を持つ形容詞ですが、占星術では、他の天体が太陽よりも前方の星座(サイン)を運行している状態を指します。

太陽が東の地平線上に位置する時、東の地平線から西の地平線の間(南半球)に位置する天体を、「オリエンタル(の場所)に位置する」と表現されます。

太陽と正反対の場所を線で結び、その間の半球に位置すれば、天体はオリエンタル(の場所)を運行している、ということですね。

言い方を変えると、太陽よりも早く昇っている、となります。

オクシデンタル/オキシデンタル

「オクシデンタル/オキシデンタル(occidental)」とは、「西洋の」という意味を持つ形容詞ですが、オリエンタルとは弱に、他の天体が太陽よりも後方の星座(サイン)を運行している状態を指します。

オリエンタルが太陽から逃げている、オクシデンタル/オキシデンタルが太陽を追いかけている、という風にも表現できます。

また、オクシデンタル/オキシデンタル(の場所)に位置する天体は、太陽よりも遅く昇っている、ということになりますね。

天体の機能(影響力)は、①まずセクトによって決まり、②それぞれの天体がどのハウス(地球上の位置)において機能を発揮し、③それぞれの天体がどの星座(サイン)に位置するかでディグニティが決まります。

加えて、太陽を除く6つの天体は、太陽との位置関係において、オリエンタルかオクシデンタル/オキシデンタルかによっても、天体の機能の強弱に影響がでます。

太陽よりも動きの速い月・水星・金星は、太陽に追いつきます。

太陽に追いつくということは、太陽にアプローチする(太陽が西側にある)ことを意味しますので、やがて太陽に飲み込まれるでしょう。

そのため、これらの3つの下位天体は、太陽に対してオクシデンタル/オキシデンタルの位置にある時に弱い、ということです。

逆に、太陽よりも動きの遅い火星・木星・土星は、太陽に追いつかれます。

太陽からセパレートしている中で、逆に太陽からアプローチされる(太陽が東側にある)ことを意味しますので、これらの天体もまた、太陽に飲み込まれていきます。

そのため、これらの3つの上位天体は、太陽に対してオリエンタルの位置にある時に弱い、となります。

水星の昼夜の区別

伝統占星術における天体の毎の解説の講座で、水星は昼と夜のどちらの天体にもなれる、ということをお伝えしました。

水星は、7つの天体の中で最も優柔不断な立ち位置ではありますが、裏を返せば、自由な存在でもあります。

  • 昼の天体:太陽・木星・土星
  • 夜の天体:月・金星・火星
  • どちらでもない/どちらにもなれる:水星

水星は、太陽から29度以上離れることがありません。

そのため、私たちが水星を肉眼で確認できる時刻は、日の出の直前と、日の入りの直後のタイミングに限られます。

出生時間が昼生まれか、夜生まれかによって、水星を除く6つの天体は、それぞれ太陽の支配(セクト)を受けますが、常に太陽の近くに位置する水星は、例外的に昼と夜のどちらの色にも染まることができるのです。

水星の昼夜の区別は、以下の通りです。

  • オリエンタル(の場所)にいる時:昼の天体
  • オクシデンタル/オキシデンタル(の場所)にいる時:夜の天体

例えば、太陽が牡羊座の20度に位置していて、水星が牡羊座の10度に位置していれば、水星はオリエンタルであり、昼の天体になります。

逆に、太陽が牡羊座の20度に位置していて、水星が牡羊座の25度に位置していれば、水星はオクシデンタル/オキシデンタルであり、夜の天体となります。

ちなみに、水星は基本的には男性天体と見なされていますが、アスペクトと位置する星座(サイン)によって、性別も変化します。

  • 水星が男性天体として機能する条件
    :水星が男性天体とアスペクトしている時、または水星が男性星座(サイン)に位置している時
  • 水星が女性天体として機能する条件
    :水星が女性天体とアスペクトしている時、または、水星が女性星座(サイン)に位置している時

水星は、実は「自分だけの幸運の見つけ方を教えてくれる星」とも呼ばれています。

このことについては、また別の機会にお伝えできればと思いますが、水星が両性具有的な立ち位置を与えられているのは、とても面白いですね。

天体の運行スピード

アクシデンタル・ディグニティとアクシデンタル・ディビリティの表の中に、「天体の運行スピード」が平均以上か以下か、という項目がありました。

天体が運行スピードを変える時があるのか?と思われますが、それは地球から観測した場合に起こる「見せかけの動き・状態」です。

これが「順行」・「逆行」・「留(ステーション)」ですが、少しだけ解説をさせていただきます。

アクシデンタル・ディグニティとアクシデンタル・ディビリティの点数にお役立てください。

【天体】【平均速度】【閾値(いきち/しきいち)】
  月13° 11’12° 30’ ~ 13° 30’
水星  0° 59’1° ~ 1° 30’
金星  0° 59’0° 50’ ~ 1° 10’
太陽  0° 59’——
火星  0° 31’0° ~ 0° 40’
木星  0° 05’0° ~ 0° 10’
土星  0° 02’0° ~ 0° 05’

「閾値(いきち/しきち)」とは、「境界となる値」を意味します。

閾値を超えて進んでいれば速い、閾値よりも小さければ天体の運行スピードは遅い、ということです。

これまた水星の話になりますが、水星は1年に3回程度逆行をする天体として知られているように、運行スピードは非常に速いです。

平均速度が「0° 59’」の水星の場合、運行スピードが1度よりも少なければ遅いと判断され、逆に1度30分よりも速いスピードでなければ、運行スピードが速いとは判断されません。

天体のスピードに変化がある時、それは天体が方向を変えようとしている時です。

天体の運行スピードは、ネイタル占星術では固定的な意味になりますが、ホラリー占星術のように、その時の天体の状態(運行スピード)が、その後の状況に影響を与えるため、もちろん相談内容にもよりますが、天体が平均速度よりも遅いか、速いか、平均か、ということは、思ったよりも重要といえます。

逆行と留(ステーション)

伝統占星術では非常に重要なので何度もお伝えしますが、天体が東から西に進んでいるように見えることを、プライマリー・モーションと呼びます。

プライマリーは「主要な」という意味の形容詞です。

セカンダリー・モーションは、ホロスコープ上で天体が西から東へと動くことを意味します。

地球上からは、天球が東から西に進んでいるように見えるので、プライマリー・モーションと同じですね。

プライマリー・モーションは、地球の自転に関係しています。

逆に、地球の公転によって、太陽が星座を西から東に進んでいるように見えるのが、セカンダリー・モーションです。

ですので、セカンダリー・モーション(ホロスコープ上の天体の動き)は、地球の公転に関係しています。

なぜ「進んでいるように見える」と表現しているかといいますと、私たちの知覚・認識は、地球上に立って星々や天空を見ているからです。

地球で生きるということは、重力によって、私たちが空間的に縛りを受けている、ということになります。

この空間的な縛りを受け入れて、地球上の法則と、地球外の法則を掛け合わせ、ズレを極力小さくしたものが、ホロスコープなのです。

さて、言われたらすぐ気づくのですが、「惑星」という言葉は、「惑う星」と書きます。

つまり、地球上から見える惑星の動きが、前進しているかと思ったら後退する、というように、私たちの認識・概念では、星は惑うものなのですね。

この後退するように見える状態が、逆行です。

とはいえ、天文学上では、太陽と月は惑星ではないので、逆行はしません。

あらゆる物事に共通していることは、一側面だけを見て判断・断定することはできない、ということです。

逆行は「見かけ上の天体の動き」ですし、一般的に知られている、「悪いことが起こりやすい」といった意味付けは、必ずしもその通りになりません。

占いや心理学において、相談者として注意すべきことは、相手側(占断者・カウンセラー)の言葉や概念を真に受けることで、自分自身がその言葉・概念というルールに則って、現実創造を行ってしまうことです。

ですので、逆行をしているように見える天体すらも、本来は逆行をしていない、ということになります。

ただ、地球上に住んでいる私たちからすれば、天体が前進していないことは事実です。

占星術的にも、一般的な感覚としても、「起こっている事実」と「枠から出て見える真実」が異なっていたとしても、状況的・環境的なルールに基づくと、前者の事実は実際に私たちに影響を与えます。

これは、「太陽が夜の間存在していない」ということに対して、実際には地平線の下に沈んでいるだけですが、現象的には、太陽の存在は隠されていますので、あながち間違ってはいません。

更に言えば、「私」という存在が居なくなった時、世界も一緒に消えてしまいます。

「観測者である私」は、世界を見る役割を降りてしまうので、世界も存在する理由が無くなってしまうからです。

とはいえ、「私以外の私(あなた)」は存在し続けますので、「個人の真実」が「全体の真実」になることは当分の間起こりえないでしょう。

なぜ「当分の間」なのかといいますと、地球や宇宙全体が滅ぶ時こそ、「存在を存在たらしめる要素すべて」が消える時まで、盤上のオセロは変わらず、白と黒が互いに引っくり返り続けるからです。

逆行から少し話が逸れましたが、「事実を受け入れること」は、「真実を見つけること」とはイコールにならない、ということですね。

さて、先ほど天体毎の平均速度の表や、水星の速度について触れました。

天体の平均速度を確認することで、逆行に向かっていく寸前か、順行が近づいている状態かが分かります。

「天体のスピードが遅い時、天体は進行方向を変えようとしている」

これが、順行と逆行の基本です。

また、順行と逆行の間には、留(ステーション)というものがあります。

呼吸に意識を向けたら分かるのですが、吸う活動から吐く活動に切り替わる時、「一瞬の切り替わり」が感じられると思います。

ブランコも同じですね。

順行から逆行に転じる(後戻りする)時と、逆行から順行に転じる時、天体は見かけ上、全く動いていない状態になります。

これが留(ステーション)です。

もちろん見かけ上の状態なので、天体は実際に動いていて、地球上の私たちに納得させる表現があるとすれば、カーブを曲がる際に減速をしている状態が、遠くから止まって見える、となるでしょうか。

伝統占星術では、留(ステーション)は、「天体が完全に止まっている状態」としています。

逆行と同じく、本来的には良し悪しを決めつけるものではないのですが、留(ステーション)ほど、注意喚起がされる傾向にあります。

列車や車が急ブレーキを踏んで、実際に止まった時、車内では反動が起こり、その反動によって物事が乱れることが危険だからです(順行⇒逆行)。

また、急発進する際も、車内では多少の揺れが生じます。

どちらも留(ステーション)の影響を表した状況ですが、逆行から順行に転じる際に起こる留(ステーション)の方が、事態は芳しくなるとされています。

正しい方向(順行)に向かう時に戻るわけですから、順行から逆行に転じる時よりも象意が良いとされるのは納得ですね。

留となる期間は、それぞれの天体によって異なりますが、基本的に、順行から逆行、逆行から順行に転じる時の前後数日です。

以下は、太陽と月以外の5つの天体の留の期間です。

  • 水星:  1日
  • 金星: 1.5日
  • 火星:  3日
  • 木星:4・5日
  • 土星:  5日

素早く動く天体ほど、留の期間は短くなり、遅い天体ほど、留の期間は長くなります。

天体は常に「前進(運行)」していて、見かけ上で後退しているように見えたり、止まって見えたりするわけですが、私たちからすれば、どの状態においても、上手くいく時は上手くいき、上手くいかない時は上手くいきません。

ただ、吉意や凶意は、そのまま幸運と不運が訪れることを意味しているわけではなく、特定の現象や概念が認識される時、現象的に明らかな整合性が取れるような出来事を体験することを意味しています。

逆行中には「失くし物」が見つかったり、「探し人」が見つかったりする云われたり、留(ステーション)の時は物事がにっちもさっちもいかなくなると云われるのは、地球対大宇宙、つまり人類と自然の摂理の間で、何らかのバランスが取られていることを、特に地球上に住む私たちが気にし、更には体感することで確信している、といえるでしょう。

これは信じる・信じないの問題ではなく、実際にそう起こる時がある、という事実を認めて、前回はこういった傾向があった、ということを判断材料にする、ということです。

どのような占断についても同様に、「期待」や「憶測」、「決めつけ」は、誰の得にもならず、まして、相談されている側が、恐怖や不安を与えるだけの占断を下すことは、その者の徳を損なうだけになるでしょう。

目の前の現実と、ホロスコープの解釈が合致するのは、常に内面の中で完結し、外面の世界では、共通認識を持てる部分だけが共有されます。

そういう意味では、占星術は長い歴史を持ち、今尚支持され、研究され続けていること、そして多くの人を精神性を高める道へと案内し続けていることは、非常に素晴らしいことだといえますね!

ロッツ(Lots)は運命を表す

以前の講座で、アラビック・パーツについて解説をしました。

アラビック・パーツは、計算上のポイントです。

仮想天体も同じように、計算することで、何らかのテーマが強く現れる(と想定する)ことで、計算上のポイントを感受点として扱うのですが、そのうちの1つがアラビック・パーツであり、今回改めてご紹介する「ロッツ(Lots)」です。

ロッツ(Lots)は、「運命」という意味を持つ言葉のようで、ロトくじ(宝くじ)は、この運命という意味を持つロッツ(Lots)が由来だといわれています。

宝くじが、単なる偶然の産物、例えば棚ボタや神様の悪戯としてのラッキーなどではなく、本当に当選する人の「運命」を引き出すものだとしたら、少し宝くじに対する印象が変わりますね。

例えば、オリンピックや競争などでも、1位を取る人もいれば、最下位の人もいますから、たった1人では競争は成り立ちませんし、2位の人がいるからこそ、1位の人は名誉や名声を得ます。

更に、卵子と受精する精子は、たった1つだけなのにも関わらず、卵子に向かっていく精子の数は億単位です。

スポーツや仕事、芸術などで、爆発的な人気や評価を得る人がいますが、そういった人が「選ばれた人」と呼ばれ、もてはやされる一方で、この世の全員がすべて成功者であったなら、争うという競争原理は存在していないでしょう。

だから、成功者は貧困者を敬えだとか、富を分配しろだとか、そういう話ではありませんが、自然とそのようなことができる人が増えたなら、道徳的な社会が築かれていくはずです。

ただ、それも現代は発展途上にあり、競争原理を悪とする必要が無いと同時に、誰もが自分自身を卑下する必要はありません。

その証拠として、富を持つ人は失うことに対する恐怖心が爆発的に増大し、人気者は大衆から認知され、プライバシーを失うこともあります。

どのような運命(人生)も、その人だからこそ与えられたギフトは、喜びだけでなく、必ず負担も抱えることになるものです。

ですから、私たちにとって、他者比較による自己否定は、誰の得と徳にもなりません。

敢えて他者を貶めて得をしようとする者は除いて、の話ですが…。

さて、小さなものから大きなものまで、小さな規模から大きな規模まで、この世の出来事の原理には例外が無いのかもしれない、そう思わされる「運命論」ですが、伝統占星術において、ロッツ(Lots)は、「黄金の鍵」という位置づけがされています。

つまり、運命に向かっていくことができる、ということです。

いくら良心があっても、良心的な行動を取らなければ、何の徳積みもなりませんよね。

私たちの人生、あるいは、同じ地球に住む世界は、常に自分という自己と、他者や社会との関係性の中で、新たな創造性が生まれます。

ロッツ(Lots)の語源は、他に、「割り当てられたもの」を意味する「allotted」という単語があり、運命論的・決定論的なのですが、「選択の余地が無い」ということを強調しているかのようです。

以前の講座で、運命と運、自由意志についての文言を書き連ねましたが、占星術に携わっていると、少なくない頻度で、運命について考えさせられるため、伝統占星術の解説が最後となる今回の講座の締めくくりとして、ロッツ(Lots)を紹介させていただくことにしました。

前置きが長くなりましたが、ロッツ(Lots)についての解説です。



以下に、ロッツ(Lots)を考える上での前提条件をまとめました。

  • ロッツ(Lots)は、ホロスコープの持ち主に影響を与える出来事を表す
    ⇒ 現実に起こる出来事を「運命」と考える
  • 運命と思われる出来事が現実に起こっていても、本人が自覚が無い場合がある
    ⇒ ロッツ(Lots)により、出来事が起こる場所や象徴を知ることができる
  • 自覚が無いことと、運が無いことはイコールにはならない
  • 自分から動くことは、吉にも凶にもなる
    ⇒ 自分から動かないことが、吉にも今日にもなる
  • 運命と運には良し悪しはつけられない(自己主観による決めつけ)
    ⇒ 自分の運の特性を理解する方が、自分自身にとてより賢明である
  • ロッツ(Lots)は、自分の人生における運を見つけるだけでなく、感じるために重要である

ロッツ(Lots)を紹介する前に、ロッツ(Lots)の計算について必要事項を以下に挙げていきますので、もうしばらくご辛抱ください。

昼夜の逆転

伝統占星術では、ホロスコープは昼仕様か、夜仕様であるかが、持ち主のためにも、天体のためにも重要です。

ロッツ(Lots)においても、昼夜の区別は重要になります。

詳しい説明は後になりますが、ロッツ(Lots)を導き出す際には計算が必要です。

昼のホロスコープと夜のホロスコープでは、太陽と月を逆転させて計算します。

逆転させないと、伝統占星術のセクトのルールが崩れるだけでなく、正確な占断ができないのでご注意ください。

例):ロッツ・オブ・フォーチュン(Lots of fortune)

  • (昼):Lots of fortune = ASC +    -太陽
  • (夜):Lots of fortune = ASC +太陽- 

昼には、太陽が地平線よりも上に位置しています。

ロッツ・オブ・フォーチュンを出す際は、ASC/アセンダントに月の度数を足して、太陽の度数を引きます。

夜には、太陽が地平線よりも下に位置していますから、月から太陽までの距離をASC/アセンダントに足します。

そのため、ロッツ・オブ・フォーチュンは、昼と夜では逆になります。



いきなりでは理解できないかもしれませんが、単純に、昼と夜では、太陽の位置が逆転するため、計算の際には逆転して計算する、という解釈で問題ありません。

計算方法

度と分は、角度の単位です。

ホロスコープで、星座(サイン)の度数を見ると、「〇〇° 〇〇 ’」と書かれています。

「1度=60分」なので、計算で足したり引いたりする場合に、分を度で換算することを忘れないでください。

*度数は十進法で、分は六十進法であるため*

星座(サイン)の度数について

「ホロスコープを回す」という表現を聞いたことがあるでしょうか?

占星術では、春分点を固定して占断を行う場合と、星座(サイン)を固定して占断を行う2種類のホロスコープの使い方があります。

前者は、ホロスコープを(実際の星座である)おひつじ座と(占星術の)牡羊座の起点を同じにする、「サイデリアル式」と呼ぶもので、主にインド占星術で用いられます。

*もちろん西洋占星術でも、サイデリアル式でホロスコープを使って占断を行うことができます。*

後者は、(実際の星座である)おひつじ座と(占星術の)牡羊座の起点が異なる、「トロピカル式」と呼ぶもので、西洋占星術でメジャーに使われている方式です。

春分点を固定する方式と、星座を固定する方式は、それぞれに理由・根拠がありますが、優劣も善悪もありません。

ただ、西洋占星術では、実際の星座は神々の住居と考えられているため、星座を固定し、現在でもその手法を採用しています。

対して、インド占星術では、実際の季節を起点としています。

さて、西洋占星術(伝統占星術)では、星座(サイン)の度数は30度と明確に決められています。



ホールサイン・ハウスシステムを採用する場合、ハウスの5度前ルールは適用しないため、実質的に、星座(サイン)とハウスの幅は一致していることから、ロッツ(Lots)の計算は簡単になります。

伝統占星術で、星座(サイン)が固定されていることと、東の地平線を起点と考えることを合わせて考えますと、ホロスコープの360度を、12つの星座(サイン)が12等分し、それぞれ30度の領域を持っていることになります。

以下が、星座(サイン)と度数の対応表です。

牡羊座0°  ~ 30°天秤座180° ~ 210°
牡牛座30° ~ 60°蠍 座210° ~ 240°
双子座60° ~ 90°射手座240° ~ 270°
蟹 座90° ~ 120°山羊座270° ~ 300°
獅子座 120° ~ 150°水瓶座300° ~ 330°
乙女座150° ~ 180°魚 座330° ~ 360°

星座(サイン)は、上記のような度数に対応するのですが、ロッツ(Lots)を計算する際には、まずそれぞれの感受点や天体の度数を、「牡羊座の0度を基準にした度数に変える」行程を踏みます。

「牡羊座の0度を基準にする」ことで、それぞれの星座(サイン)の度数を牡羊座の0にまで回して出た度数を使う、ということです。

伝統占星術では、「東の地平線=第1ハウス」という方程式を軸(原理)としますので、個人が持つ運命を割り出すためには、自然の摂理(法則性)に合わせる必要があるから、といえば納得していただけるでしょうか。

そのため、自動計算ができない場合に、手動でロッツ(Lots)を割り出す時は、星座(サイン)の度数換算が必要になります。

特に、昼夜の区別を採用してのロッツ(Lots)が自動表示されない場合や、計算式は分かっているのに、自動計算の中にマイナーなロッツ(Lots)組み込まれていない場合に、自分で計算できれば越したことはありません。


それでは、次に、以下の7つのロッツ(Lots)を紹介していきます。

  1. ロッツ・オブ・フォーチュン / Lots of Fortune
  2. ロッツ・オブ・スピリッツ / Lots of Spirits
  3. ロッツ・オブ・ファザー / Lots of Father
  4. ロッツ・オブ・マザー / Lots of Mother
  5. ロッツ・オブ・チルドレン / Lots of Children
  6. ロッツ・オブ・マリッジ / Lots of Marriage
  7. ロッツ・オブ・アクション/ Lots of Action

ロッツ・オブ・フォーチュン / Lots of Fortune

パート・オブ・フォーチュンは、一般的には「幸運」を示す場所といわれていますが、ロッツ・オブ・フォーチュンは、そのような意味を持ちません。

伝統占星術では、ロッツ・オブ・フォーチュンは、「肉体」に関する物事を示すとされています。

肉体に関わる物事がロッツ・オブ・フォーチュンだということは、肉体に受肉した魂が喜ぶために、この世の人生体験を欲している、といえるのです。

伝統占星術では、「運命とは辿るべき道(体験)」と位置づけています。

ロッツ・オブ・フォーチュンは、そういった「運命づけられた体験」によって、精神統一の実感を得て、極めて深い集中力を発することで、内面からエネルギーが漲(みなぎ)るような事柄と巡り会う事柄を示すのです。

その他、肉体には生と死があります。

アヴァージョンとなるハウスであれば、病気や苦しみを暗示するかもしれませんし、目立つハウスであれば、物質的な成功や、精神的な成熟を体験することを暗示することもあるでしょう。

ロッツ・オブ・フォーチュンの計算式は、以下の通りです。

  • (昼) Lots of Fortune = ASC + 月 - 太陽
  • (夜) Lots of Fortune = ASC + 太陽 - 月

先ほど説明した通り、昼と夜のホロスコープでは、太陽と月の度数を入れ替えて計算します。

昼の場合、太陽から月に向かって測り、その距離をASC/アセンダントから取ることで、ロッツ・オブ・フォーチュンが導き出されます。

対して、夜の場合は、月から太陽までの距離を測り、その距離をASC/アセンダントから取ることで、ロッツ・オブ・フォーチュンが導き出されます。

太陽は昼の天体であるため、昼を支配し、月は夜の天体ですから、夜を支配します。

私たちの肉体は日々老いていますし、私たちは日々生まれ変わりを繰り返しています。

そのため、明るさ(昼)から暗さ(夜)に転じる流れは、生が死へと向かっていることを象徴するのです。

逆に、暗さ(夜)から(昼)に転じる流れは、死が再び生へと循環することを象徴し、私たちの運命が、あたかも強制的にこの世に生を受けて、死に向かわざるを得ないことを極力見ないようにしながらも、事あるごとに、本質的な生と死の循環の中で生きていることを感じさせます。

明るさと暗さは、天体の光の変容を象徴しています。

また、太陽と月は、光と闇の追いかけっこをしています。

月は地球の衛星であるにもかかわらず、太陽系の支配者(中心点)である太陽と、対等ではないですが、太陽の役割・力を成り立たせるための対極の立場を全うしています。

そういう意味では、太陽の光は、月によってすべて受け止められているのです。

太陽が陰れば、地上は暗くなり、それと同時に、昼間受け取った光は、その他の天体へと分配され、「今見えていないだけ」で、太陽は他の場所を照らしています。

月もまた、夜を引き連れ、熱を冷まし、肉体的な疲労を労り、精神的な内省へと誘い、個人の無意識の世界と、集合的無意識を静かに繋ぎ合わせます。

私たちは人生どころか、自分自身の身体と精神のことについて、思った以上に無知なのかもしれません。

これは過剰な謙虚さではなく、誰もが人生を「自分を育てる旅」という視点だけで見ているとすれば、運命はその視点をズラし、「自分という存在が肉体を与えられた稀有な存在である」という視点へと運ぶからです。

人によっては、救いようのない苦しみの体験を辿る運命を与えられ、一方では、他者が羨むような幸せを享受する体験を辿る運命を与えられる人もいるでしょう。

ですが、人生が応えるように向かってくる運命に対して、私たちには選択権はありません。

この講座でよく出て来る表現ですが、私たちは根本的には「受容的な存在」なのです。

そういう意味では、権威性を振るえる人は、大変運が良いのでしょう。

ロッツ・オブ・フォーチュンは、そういった肉体を与えられることで体験する、私たちの業(ごう)に関して、「生きる喜び」と「老いる苦しみ」の両側面で、私たちが光(昼)と闇(夜)の対極性によって成り立っている世界に生きていることを思い出させてくれるのです。

ロッツ・オブ・フォーチュンの計算式は、起点であるASC/アセンダントと、生命力や意志、存在そのものを表す太陽と、死や感情、受容性を表す月の3つの重要な感受点と天体によって構成されています。

たかだか「計算上のポイント」といえど、これら3つの重要な事柄が並び、昼と夜、陰と陽、対極性の極みが、東の地平線という世界との(初めての)出会いによって、私たちの肉体が具現化する体験が人生の始まり、そしてその始まりという起点は、生涯に渡って大きな意味を持ち続けるはずなのです。

ロッツ・オブ・スピリッツ / Lots of Spirits

ロッツ・オブ・スピリッツの計算式は、以下の通りです。

  • (昼) Lots of Spirits = ASC + 太陽 - 月
  • (夜) Lots of Spirits = ASC + 月 - 太陽

計算式の内容を見ていただくと分かるように、ロッツ・オブ・スピリッツは、ロッツ・オブ・フォーチュンの反対のロッツ(Lots)です。

昼にロッツ・オブ・フォーチュンだったものは、昼にはロッツ・オブ・スピリッツになり、夜にロッツ・オブ・フォーチュンだったものは、昼にはロッツ・オブ・フォーチュンになるので、両者は表と裏の関係性ということになります。



ロッツ・オブ・スピリッツは、暗いもの(月)から明るいもの(太陽)へと距離を測っています。

ロッツ・オブ・スピリッツには、1点だけ特殊なルールがあるといわれています。

ロッツ・オブ・スピリッツとロッツ・オブ・フォーチュンの星座(サイン)が同じ場合、ロッツ・オブ・スピリッツは、隣(次)の星座(サイン)に移す、という特殊なルールです。

これは、ロッツ・オブ・フォーチュンが優先され、ロッツ・オブ・スピリッツは次の星座(サイン)に魂や精神の喜びの源泉の在りか(象徴)が移ることを意味しています。

ロッツ・オブ・スピリッツに与えられている意味は、「魂が喜ばしい出来事」や「自分自身が成し遂げたことに関連する物事」、「身分」、「用心深さ」、そして「源のパワー」などです。

どれも精神性に関わる象意ばかりですね。

名前に精神(Spirits)が入っているわけですから当たり前ではありますが、精神が喜ぶことをするためには、やはり肉体が必要となります。

有限と無限は、必ずしも対比関係にはありません。

無限の中に有限があり、有限があるからこそ、無限の存在が分かります。

そこで、私たちが存在しているのは有限の世界です。

有限の世界を成り立たせているのは、陰と陽であり、その両方が統合された先には黒光(こっこう)があります。

言葉として定義される「空(空虚)」ですね。

先ほどお伝えした、太陽と月の根本的な意味と役割の説明の通りなのですが、更に説明を加えますと、神秘学の分野では、明るいものは「魂」や「知性」に関わるとされています。

夜行性の生物は確かに存在しますが、知性と情緒を与えられた人間は、太陽光を浴びることによって体内時計が整うように、身体だけでなく、私たちの人生は太陽のように、存在としての輝きを発揮するために、知性と情緒の両方を活用する自由と責任を与えられているのです。

それは、地球上で生かされている私たちの特権といえますし、私たち自身が内なる太陽の獲得を目指すという精神的な成熟の旅をしていることを物語っています。

闇から光へと向かうロッツ・オブ・スピリッツは、個人の心や魂に関連を持ち、光があるから闇が存在できることを理解させます。

これは優劣や上下関係ではありませんが、私たちが受容的な存在で、向かってくる運命を受け入れることしかできませんが、1人ひとりの人生体験の1つひとつが、この世に豊かな感受性と精神性のための気づきを増やしていくのです。

ロッツ・オブ・スピリッツは、ロッツ・オブ・フォーチュンと対を成して、昼と夜、太陽と月、陰と陽の根源的な働きの循環における、精神性の高まりによって、有限の世界から無限の世界を垣間見ようとする人間の知性と精神性を表しているといえるでしょう。

計算方法を簡略化する方法

せっかくロッツの計算方法を説明したのですが、実は計算をより簡単にすることができます。

ロッツ・オブ・フォーチュンの計算式は、

  • (昼) Lots of Fortune = ASC + 月 - 太陽
  • (夜) Lots of Fortune = ASC + 太陽 - 月

でしたね。

星座(サイン)の度数のややこしい計算をせずに、太陽から月までの距離を測り、その度数をASC/アセンダントから同じ方向に回すと、ロッツ・オブ・フォーチュンが導き出されます。

例えば、次のような天体と度数の関係があるとします。

  • 昼のチャート
  • ASC:天秤座15度
  • 太陽:蟹座20度
  • 月:山羊座20度
  • 蟹   座の度数領域 =   90° ~ 120°
  • 天秤座の度数領域 = 180° ~ 210°
  • 山羊座の度数領域 = 270° ~ 300°


計算式に当てはめる前に、上記の簡略化した求め方を試してみます。

蟹座20度から山羊座20度の距離(差)は、180度。

ASC/アセンダントの天秤座15度に180度を加えると、牡羊座の15度がロッツ・オブ・フォーチュンになります。

それでは、計算式で確かめてみましょう。

  1. ASC・天秤座15度に、天秤座の度数領域を足すと、15° +180° = 195°
  2. 月・山羊座20度に、山羊座の度数領域を足すと、20° + 270° = 290°°
  3. 太陽・蟹座20°に、蟹座の度数領域を足すと、20° + 90° = 110°
  4. 計算式に当てはめると、195° + 290° - 110° = 375°
  5. 計算で出た値(度数)を牡羊座0°から数えると、一周して、牡羊座15°となる
    375° - 360° = 15°
  6. 牡羊座15°がロッツ・オブ・フォーチュンである

計算式で出した値(度数)と、簡略化した計算方法の度数が一致しましたね。

あまりに簡単に度数が出てしまうので、計算式でロッツ(Lots)を導き出すのがバカバカしくなりますが、慣れないうちは、簡略化した計算で度数を出して、後から計算式で間違いがないかを確かめ、何度か繰り返した後は、簡略化した計算方法でロッツ(Lots)を出していけばいいでしょう。

現代占星術のアラビックパーツ同様、マイナーなロッツ(Lots)はマニアックかもしれませんが、気になるロッツ(Lots)があれば、調べてメモをしておくと、後々何かの気づきになるかもしれません。

それでは、ここからは、簡略化した計算方法で、残りのロッツ(Lots)を紹介していきたいと思います。

ロッツ・オブ・ファザー / Lots of Father

  • (昼)太陽から土星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・ファザーの度数が出る
  • (夜)土星から太陽までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・ファザーの度数が出る

土星は「父親」を象徴とする天体で、ただの父親像ではなく、「厳しい父親」を想起させます。

太陽は「父性」を象徴とする天体でもありますが、「一家の大黒柱」という意味もあります。

太陽と土星は両方とも昼の天体です。

ですが、太陽は昼を支配し、日中に強い光を放つため、土星よりも太陽の方が昼に相応しいと考えられます。

そのため、昼のチャートでは、太陽から土星までの度数の差を測ります。

夜のチャートでは、太陽が鳴りを潜めるため、土星から太陽までの度数の差を測ります。

そうすることで、子どもの目線になって、父親の外見や興味関心、成功の要素が示される、ということです。

ちなみに、ロッツ・オブ・ファザーは、父親のハウスである第4ハウスとは関係がありません(別物の概念です)。

ロッツ・オブ・マザー / Lots of Mother

  • (昼)金星から月までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・マザーの度数が出る
  • (夜)月から金星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・マザーの度数が出る

月と金星は、女性天体であるとともに、夜の天体です。

「母親」は、月と金星で表されます。

月だけですと、ぼんやりとした母性を象徴し、金星だけですと、乙女を象徴しますが、両方が合わさることで、妻と母親、そして女性の要素を兼ね備えた母親像が完成する、と考えてください。

昼と夜では、夜を支配する月が優先され、昼は月よりも昼らしい金星が優先されます。

ロッツ・オブ・マザーが示すものは、子ども目線で、母親の外見や趣味、母親としての成功とは何か、を示します。

ロッツ・オブ・ファザーと同様に、ロッツ・オブ・マザーは、母親のハウスである第10ハウスとは関係がありません(別物の概念です)。

ロッツ・オブ・チルドレン / Lots of Children

  • (昼)木星から土星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・チルドレンの度数が出る
  • (夜)土星から木星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・チルドレンの度数が出る

木星と土星は両方とも、昼の天体であり、男性天体です。

エレメント(火土風水)と気質(寒熱乾湿)の要素で見ると、子どもの時期は、Hot&Moist(熱&湿)の組み合わせに対応するとされています。

成人に至るまで、子どもは身体を成長させるわけですが、子どもの成長期に最もふさわしい天体は、「拡張」を象意に持つ木星です。

それと同時に、土星は「魂を地上に降ろす役割」と、「魂を地上から引き上げる役割」を司っていますので、子どもは常に見守られている存在(立場)ですから、土星の導き・介入は良心的であるとともに、合理的といえます。

ロッツ・オブ・ファザーとロッツ・オブ・マザーの意味の根底には、子どもの目線が関係しましたが、ロッツ・オブ・チルドレンの場合、自分の子どもの存在を示します。

その子どもの見た目や外見、振る舞い方などの成長過程における特徴が、ロッツ・オブ・チルドレンによって示されるわけですが、子どもが複数人居る、もしくは生まれる可能性がありますので、判断が難しいとされています。

ただ、多くの場合、第一子(長男・長女)を示すことが多いといわれています。

ロッツ・オブ・マリッジ / Lots of Marriage

*男性と女性では、度数の出し方が異なりますが、男性と女性とでは、昼と夜の天体(土星と金星)が入れ替わるだけです。*

【男性】

  • (昼)土星から金星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・マリッジの度数が出る
  • (夜)金星から土星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・マリッジの度数が出る

【女性】

  • (昼)金星から土星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・マリッジの度数が出る
  • (夜)土星から金星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・マリッジの度数が出る

恋愛を見る時、本能的に異性を求めることに対しては、火星(男性)と金星(女性)を採用しますが、結婚となると、「社会的な契約」の側面がありますので、土星が男女の仲を取り持つ、あるいは、牽制する立場を担います。

火星と金星は夜の天体で、土星は昼の天体であり、火星と土星は男性天体で、金星は女性天体です。

昼はどちらかというと社会や仕事の側面が強くなり、夜は家庭環境の側面が強調されます。

そのため、男性の場合は、昼の時には土星が優位となり、夜は金星が優位となります。

女性の場合は、昼は金星が優位となり、夜は土星が優位となります。

男性と女性では天体の気質が反転し、また昼と夜とでも天体の役割・立場が逆転する、という面白い構造が見て取れますね。

ロッツ・オブ・マリッジは、結婚できるかではなく、どのような相手・パートナーと出会うか、という運命的な人物像を指し示します。

あくまで運命ですから、その人物像の見た目や外見、振る舞いが、自分が望むものではなくても、その人物は現れる、ということです。

結婚は、社会的・法的な婚姻関係が認められることを意味しますが、社会の在り方が変わり、パートナーシップの築き方と認められ方には多様的になっている側面があります。

LGBT-Qは、原則的に運命を否定する存在(対象)にはなりません。

運命は、明らかに訪れるものですから、そこに人物像が示されるのであれば、肉体的な性別や性自認に関わらず、ホロスコープの持ち主に与えられる運命に「特別な他者」の特徴を見出すことができるかもしれません。

モノガミーやポリガミーといった概念や在り方は、今に始まったことではありませんが、ロッツ(Lots)ではカバーしきれないでしょう。

最終的な運命の相手(社会的に契約を結ぶ特別な他者)を知るためには、未来予測や、第7ハウスと第10ハウス、またそれらのハウスに位置する天体や、それらのロード(支配星)などを総合的に見る必要があります。

なぜなら、ロッツ(Lots)はあくまでも、人物像や印象、振る舞いを示すだけだからです。

ロッツ・オブ・アクション / Lots of Action

  • (昼)水星から火星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・アクションの度数が出る
  • (夜)火星から水星までの度数の差を出し、
    ASC/アセンダントをその度数分だけ回すと、ロッツ・オブ・アクションの度数が出る

火星は夜の天体ですが、水星は昼夜を問わず、火星は男性天体で、水星も基本的には男性天体ですが、条件によっては、女性天体としての振る舞い(働き)も果たします。

ロッツ・オブ・アクションは、行動様式や、仕事に関連する事柄、自分の能力や才能を生かす物事を表すとされています。

水星と火星は、「自己表現」や「自己主張」という意味で共通している天体です。

変化を伴う行動や、自分の働き次第で結果が変わる仕事は、自分自身が発信源となることが重要になります。

外に向けて自分を露出する、アピールする、表現することは、水星と火星によって実現されます。

そのため、ロッツ・オブ・アクションは、運命に対して肯定的に向き合う姿勢として、積極性(火星)と、手元にある資源や知性をふんだんに活用し、自己表現・自己主張をする姿勢(水星)によって導き出される運命だといえるでしょう。

「運命を変えることができない」は、決して私たちを制限するものではありません。

むしろ、初期装備や初期設定から始め、徐々にアップグレードしていく、発展的・開発的な自己成長という見方もできるのですから。

ロッツ(Lots)の活用の仕方

最後に、ロッツ(Lots)をどのように採用し、見立てをつければいいか、ということに関して、ホロスコープリーディングの1つの読み方を紹介させていただきます。

*以下の5つの項目は、ホールサイン・ハウスシステムで読むことを前提とした活用方法です。*

  1. ロッツ(Lots)がある星座(サイン)に、天体が在室してるか、またはアスペクトしている天体があるか、をチェックする
  2. ロッツ(Lots)がある星座(サイン)は。どの天体が支配しているか、をチェックする
  3. ロッツ(Lots)がある星座(サイン)を支配する天体が、どの星座(サイン)に位置し、どのようなディグニティを持っているか、またタームの状態にあるか、をチェックする
  4. ロッツ(Lots)がある星座(サイン)を支配する天体に対して、どの天体がアスペクトを持っているか、をチェックする
  5. ロッツ(Lots)がある星座(サイン)を支配する天体のアクシデンタル・ディグニティはどのようなものがあるか、をチェックする

上記の5つの項目を参考にする上で、以下のように読み方を進めていきます。

  1. ロッツ(Lots)がどの場所(ハウス)にあるかを知る
  2. ロッツ(Lots)とコンジャンクションする天体はあるか、強いアスペクトを持っている天体があるかを調べる
  3. ロッツ(Lots)がある星座(サイン)のロード(支配星)を調べる
  4. ロッツ(Lots)がある星座(サイン)のロード(支配星)に対して、他の天体がコンジャンクションをしているか、強いアスペクトを持っているかを調べる
  5. ロッツ・オブ・フォーチュンがアングルに位置しているかを調べる

ハウスは、第1・4・7・10ハウスが目立つ場所であり、影響力を持つ場所です。

逆に、第2ハウスを除いて、第6・8・12ハウスはアヴァージョンとなりますので、ロッツ(Lots)の象意が抑え込まれることも考えられます。

強いアスペクトとは、吉星からのトラインとセクスタイル、もしくは、凶星からのスクエアとオポジションを意味しますが、コンジャンクションが最も強い影響力を持ちます。

また、昼夜の区別も重要であるため、吉星の場合、昼は木星が優位となり、夜は金星が優位になります。

逆に、凶星の場合、昼は火星が優位となり、夜は土星が優位となります。

吉星と凶星は、昼夜によって、それぞれ強い吉意・凶意を持つ天体が変わるのです。


ロッツ(Lots)に限らず、星座(サイン)に位置する天体を見る際は、星座(サイン)を支配する天体が重要となります。

ホロスコープを深く読み込む時、星座(サイン)を通して、ロード(支配星)は、ロッツ(Lots)と同じ働きをする、と考える必要がありますので、その支配星のエッセンシャル・ディグニティとアクシデンタル・ディグニティの状態も重要となるのです。

ロッツ(Lots)がある星座(サイン)の支配星(ロード)が、他の天体とコンジャンクションやアスペクトを持つかで、ロッツ(Lots)にも影響が出ますので、必ずロードの状態と影響力は確認する必要があります。

アンギュラー・ハウスは、目立つ場所ですから、ロッツ(Lots)が示す運命に対して、自発的に行動すべきか、受容的な態度で日々を丁寧に過ごしても問題ないか、といった指標になります。

ロッツ・オブ・フォーチュンがアンギュラー・ハウスにある場合、そのハウスは活発的になる、という見方がされますので、そのハウスに在室する天体や、ハウスルーラーなどの状態も加味することで、より一層「自分に与えられている運や運命」に対して、客観的な視点での理解が深まるでしょう。

ホロスコープ上に示される要素にはすべて意味があります。

ロッツ(Lots)もまた、同じで、「人生側から伝えて来る運命」の1つの要素として捉えてください。

「意味が無い」と判断するには、いつも早すぎる、と言ってもいいくらいでしょう。

ロッツ(Lots)は、具体的な情報を示しますが、その内容を読み解くには、多くの要素を繋ぎ合わせる必要があります。

とはいえ、1つひとつの要素を列挙し、それぞれの要素を繋ぎ合わせて関係性を明らかにして、加点方式で必要事項をまとめていけばいいのです。

それも、分かる範囲で、分かる分だけをコツコツと、ですので、ご自分のペースと知的欲求、そしてその時々の心の在り方を大切にしてください。

ロッツ(Lots)については、軽く説明するつもりでしたが、かなり高度な占断方法の解説となりました。

現時点でピンとこなくても、実際にリーディング方法として活用しなくても、何度も同じ言葉が頻出し、何と何が関連性を持つことが重要であるのか、といったことが薄らながらでも掴んでいただければ幸いです。

ホロスコープは運命を明らかにするメッセンジャー

今回の講座では、恒星とロッツ(Lots)を解説させていただきましたが、伝統占星術の解説の最後の内容とするため、これまでの講座の多くの要素を掘り起こしながら、より深いホロスコープリーディングができるようにと、濃い内容の記事になりました。

伝統占星術は、たった8つの記事くらいでは決して語れるものではありませんが、占星術の世界観とルールを振り返り、今後のホロスコープリーディングと、内面の整え方、そして現実と運命、自分という存在の捉え方の判断材料にしていただければ、という思いで執筆させていただいたのですが、いかがでしょうか?

筆者自身、伝統占星術に触れたくない、いや、触れてもどうしようもない、という思いがありましたが、今後の講座を続けていく上で、いつかは通らなければならない道だと思い直し、執筆をするに至りました。

結果、筆者にとっては非常に勉強になりましたし、なにより、「運命」についての向き合い方と「言葉として伝えること」の楽しさと奥深さを感じる機会となりました。

今後も講座は続きますが、占星術をより一層楽しんでいただけるよう、また占星術だけではなく、本講座の主軸である「自己理解」・「自己信頼」・「自己肯定」の3本柱を少しでも取り入れていただくことで、よりご自身と仲良くなって、よりご自分の人生を信頼できるようになって、そして、運命と上手く付き合っていただけるように、これからも言葉選びと表現を続けていきます。

占星術は数千年の歴史があり、現在に至るまで、数えきれないほどの議論や研究、改定などが行われてきたことと思います。

内容とは少し逸れるものの、冒頭で「風の時代」について触れましたように、私たちは「何に信頼を置くべきか」という問いを胸に、突風や波風に晒されながら、「今を生きる」ということを変わらず続けていかなくてはいけません。

あらゆる概念や観念、ルールなどの呪縛が解かれたとしても、歴史は変わることはありませんし、変える必要もありません。

現代も含め、その時々の時代の流れもまた、「運命」によって運ばれて起こった出来事の積み重ねといえるでしょう。

その運命を受け止める当事者は、常に次の時代へとバトンを渡していくものです。

ですから、どのような事があっても、私たちは過去を否定することも、現在を拒絶することも、未来に対して不信を持つ必要はありません

今回の講座を含め、伝統占星術を主題にした8つの講座は、数千年前の占星術の知識と智恵、そして法則性が凝縮された教えを学ぶキッカケとなったなら幸いです。

次回の講座からは、現代占星術に視点を戻し、マイナー・アスペクトを含めたアスペクトの解釈をさせていただきます。

今回は久しぶりに非常に長く、濃い内容となりましたが、最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます!

それでは、次に講座「アスペクト解釈・現代占星術編」でお会いしましょう!

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