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伝統占星術におけるハウスの解釈の複雑さと面白味とは?

伝統占星術におけるハウスの解釈の複雑さと面白味とは?

「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!

前回の講座では、天球や地球の自転・公転といった物理空間と時間の関係において、伝統占星術のハウスシステムについて解説しました。

今回の講座では、伝統占星術の肝ともいえるハウスの解釈と、伝統占星術ならではのホロスコープのリーディングの醍醐味について解説させていただきます!

伝統占星術では、現代占星術には無い「ディグニティ(品格)」という解釈があります。

現代占星術でも、「Joy(ジョイ)」という概念について軽く触れられることがありますが、単に惑星が特定のハウスに位置することで、天体の働きが強まるという説明に留まるだけで、なぜそのような構造や働きが生まれるのかについてを説明されることがありません。

ハウスは地球の自転に関連し、星座(サイン)は地球の公転に関連するという違いは、物質性と精神性の違いだけではなく、より具体的に「天体の機能」によって、占星術の世界観と構造が成り立っていることが分かってくるはずです。

これまでの講座で、伝統占星術では星座(サイン)よりもハウスが重要であるとお伝えしてきましたが、今回の講座から、その真意をお届けできるかと思いますので、今回も是非、最後までお付き合いください!

吉凶と自己都合を超えて現実を見る

物事には表と裏、両面性があることは、誰もが嫌というほど知っているものです。

ただ本能的にも情緒的にも、不快・不運・不都合な現象は避けたいものですよね。

伝統占星術では、天体とハウスによる象徴や暗示を、吉凶よりも「強弱」として示します。

事実(現実)に対して、私たちがどのように捉え、解釈し、反応し、そして対応するかが重要なのであって、事実(現実)自体は、どんなカテゴライズやレッテル貼りをしようとも、それらは私たちの都合(解釈)でしかありません。

目の前に出された食事に対して、いついつあの時に食べたものよりも劣るな、と率直に感じることもあれば、初めて口にして感動することもありますよね。

私たちが持っている価値観や経験則といったものは、どこまでいっても個人的なものであり、私たちは「主観の枠」を出て、他人の人生を生きることは永遠にありません。

そういった当たり前のことを、私たちはつい忘れてしまい、占星術に触れる時や相談を受けている時でさえ、被害者意識や自己中心的な態度を正当化してしまいます。

こういった態度を傍から見れば(当事者でなければ)、シンプルに損をするだけ、視野を狭めるだけ、チャンスを逃すだけであることは明確です。

ですが人間の性というものは、嵐の目の中、悲劇のドラマの主役を演じている時に、世界を敵視してしまう暴れ馬のような側面があります。

そういった情動や衝動が誰の中にもあり、出来るだけ肯定的に現実と向き合うためには、善悪や損得を前提としないことが健全といえるでしょう。

前振りが長くなりましたが、こういった自分も他者も付け上がらせない姿勢は、占星術を扱う際にも重要になります。

つまるところ、「占星術が提示する暗示や象徴は、誰の味方でも無い」ということです。

それを「厳しい」や「冷たい」という反射的な気持ちで受け止めたとしても、一時的であれば何も問題はありません。

ただ物事や人生は、私たちが思っているよりも複合的で重厚な仕組みから成り立っていることを知ると、私たちは法則や原理といったものに対して、いつまでも背を向けているべきではないのです。

今回の講座でお伝えしたいことは、以下の3点にまとめられます。

  • 天体は、独自の機能(役割)を持つ
  • ハウスは、地上(現実)に投影される現象や変化を象徴し、基本的に吉凶ではなく、天体の機能が強く出るか、弱くでるかを示す
  • 12つのハウスは、それぞれに普遍的な象意を持ち、その象意を体験することの意味や価値は、善悪や損得、吉凶では計ることができない、普遍的な経験を示す

伝統占星術は客観的、現代占星術は心理的(観念的)という対比は、すべてが対立しているわけではありません。

実際に現代占星術において、客観性を追及しながら、また、心理や無意識の働きに埋没することなく、現実を健全に捉えようとする姿勢ももちろんあります。

ただ歴史的・技術的な観点でいえば、伝統占星術は法則そのものを捉え、法則を自らに落とし込む受容的な姿勢があるように思えます。

対して現代占星術は、法則を受け止めた上で、自らの内面の投影を現実に再反射する、つまり、独自性や個性を追及しようとする発展的な展望が見受けられます。

どちらの立場にも意義と価値があり、私たちはどちらの智恵も活用することができます。

私たちは誰もが、自分の人生しか体験することができません。

二項対立的な概念を超え、自我を満たしながら、他者をも満たし、自然と社会や世界に貢献するためには、どれだけ私たちが現実と内面に素直でいることができるか、が重要です。

繰り返しになりますが、人生は十人十色であり、隣の芝生は青く見えるものですし、不運も不幸も避けたいものですが、未来は向こうから迫り続けてきますので、いかに肯定的に自分の人生を解釈するかという姿勢において、吉凶や被害者意識を少しずつ手放していくことが今も、これからも必要不可欠な生き方・在り方といえるでしょう。

概念と本来的な機能

占星術業界では、特に現代占星術では、「星を使う」という表現がされます。

この表現に対してどう感じるかは人それぞれですが、大別すると、以下の2点になるかと思います。

  • 意図的に天体のエネルギーを扱いたいという願望
  • 天体らしい機能や働きが発揮されるための手段や在り方の追求

前者はどちらかというと、自らの願望のために天体を働かせようという積極性があり、後者は個人のネイタルチャートの天体が持つ本来の働きに合流する、という受容性のように感じられないでしょうか。

こういった話は、運命論/宿命論や決定論、自由意志に関わるような命題です。

一旦、思考や感情、概念を脇に置いてみると、概念的な天体のエネルギーを意図的に吸収・活用ができるのか、更に言えば、「生まれてからこのかた、自らの意志で何かを1から創造することができただろうか?」という究極的な問いにぶつかります。

これまで何度か、占星術における天体や星座(サイン)は、概念であることをお伝えしてきました。

概念的な星は、常に私たちの内面にしか存在しません。

「内面性が外面世界に投影される」という言葉は、聞こえはいいのですが、物事に力や作用をもたせることができるのは、共通認識や集合的意識のようなレベルに至る必要があります。

「理想と現実は違う」とはよく言いますが、それをもっと身近なレベルに落としてみると、「願望と事実は違う」となりますね。

そのため「星を使う」や「星を使いこなす」というものが、概念的・想像的な範疇を出るか出ないか、といいますと、やはり希望的観測の立場ではないかと思われます。

私たちは生まれてから死ぬまで、「生かされる存在」だからですが、肉体や遺伝子、情報や知識、土地や家、衣服や装飾品など、すべては私たち自身が0から創造したものではないからです。

何が言いたいかといいますと、私たちは常に「受容する行為・状態」を通して生きて(生かされて)いる、ということであるとともに、私たちが意図的に世界(宇宙)の摂理を書き換えるかのごとく、我が物顔で天体を使うということは、実際的に不可能ではないか、ということなのです。

そこで、「天体らしい機能や働きが十分に発揮される状態・条件とは何か?」という問いは、私たちが現実や法則性を受け入れることで、自分のネイタルチャートやトランジットなどを見る際に、願望や展望を挟むことなく、本来の天体の役割を見ることを促してくれるでしょう。

長々と説明してきましたが、ホロスコープに示されるものは、システムや法則によって読み解くことが最優先である、ということです。

それは家を建てる際に、基礎工事をしっかりと行うというようなことと同じで、早合点と憶測、願望や妄想では、宇宙や天体が語る事象の意味を解読することはできない、ということですね。

占星術に限らず、私たちは傲慢さと謙虚さの裏返しである自意識過剰を抑え、受容的な存在であるという本来的な立場を再認識し、私たちが日々生かされている事実が数えきれないほど存在していることを忘れてはいけません。

そういった根源的な論理に則った上で、私たちは占星術を通して、自分自身と向き合い、また他者や世界をあるがままに見ようとする姿勢が必要となることは必至です。

少し堅苦しい表現が多くなりましたが、伝統占星術に触れることで、こういった哲学や自然法則の中に生かされている実感と、人生がいかに綿密に仕組まれた壮大な物語であるかが分かります。

伝統占星術における天体の機能

ここでやっと、伝統占星術が持つ機能について解説させていただきます。

伝統占星術が「古典」といった形容詞や含みを持たされる理由は、占断を客観性や法則性から引き出すためにあり、そのために多くのルールやシステムを学ぶ必要があるからです。

ですが裏を返せば、人によって解釈や意見がコロコロ変わり、一喜一憂するようなリーディングにならないためには、古代人が体系化したルールやシステムを活用することで、より確かな論理と体感が得られ、安心感に繋がる、ということでもあります。

まずはホロスコープを真っ新な状態で見る際に、以下のことを前提にしてください(伝統占星術の観点)。

  • 天体は、昼夜によって、働きが変わる
  • ホロスコープのリーディングは、天体の機能の良し悪し(吉凶)を見ることから始まる
  • 天体の状態は、人生の現実の事柄を反映する
  • 天体の状態は、ハウスの位置によって決まる(星座/サインではない)
  • 物事・出来事の有益・不利益は、ハウスに示される

特に、最後の項の「ハウスの位置によって天体の状態が決まる」ということは重要です。

現代占星術に慣れ親しんでいると、天体がどの星座(サイン)に位置するかが注目されやすいからですが、後に詳しく説明させていただきます。

未だ触れていない用語がふんだんに含まれますが、以下に、伝統占星術における天体の機能を表にしました。

*ここでいう「吉凶」は、天体がありのままに機能するか、という条件や状態を指し、ハウスによってその内容が決まります。

吉の機能凶の機能
太陽と関わっていない太陽にコンバストされている
ディグニティ(品位)が高い(強い)ペレグリン:外部の影響に左右される
ドミサイル:定座デトリメント:弱体 / 損傷
エグザルテーション:高揚フォール:減衰
アンギュラーハウス・サクシデントハウスに位置するカデント/ケーデントハウスに位置する
星座(サイン)のアスペクトの形成があるアヴァージョン:ASCから見えない
吉星からのアスペクトがある凶星からのアスペクトがある
天体が順行している天体が逆行している

ホロスコープの全体像は、1つひとつの要素を丁寧に拾い上げていくことで、その大枠が定まり、詳細が炙り出されていきます。

  1. 太陽に関わる、ということは、同じ星座(サイン)にあることで、水星・金星・火星が太陽に近づきすぎること(コンバスト)か否かで、3つの天体が本来の機能を奪われないか、ということです。
  2. ディグニティ(品格)は、天体の本来の機能が出るか否か、という本質的で、実際的な状態(強弱)を意味します。
  3. ドミサイルかフォールかは、天体が自分の領土(領域)にあるか否か、を示し、その状態によって、天体の働き(強弱)がハウスに顕在化することを意味します。
  4. アンギュラーハウスとサクシデントハウスに天体がある時、その天体の働きは強く出る傾向があり、逆にカデント/ケーデントのハウスにある時は、その天体の働きは弱まる傾向にあります。
    *特に4つのアングル(ASC/DSC/IC/MC)に近いほど、その天体の働きは際立ちます。
  5. アスペクトとは本来、星座(サイン)の角度を基礎にしたもので、12つの星座(サイン)を分割すると、0度、180度、120度、90度、60度の5つに分類され(メジャー・アスペクト)、割り切れない数のアスペクトや、メジャーアスペクトを更に分割した角度は伝統占星術では扱いません。
    そして0度(コンジャンクション)はアスペクトではなく、天体同士の位置関係である、ということが注意点です。
  6. アスペクトは、天体同士の繋がり・結びを意味し、アスペクトを投げる(与える)立場と受ける立場の両方があって成り立ちます。
    特定の天体について読み解く時、他の天体が吉星であるか、凶星であるかで、その天体の状態に影響が出る、と考えます。
  7. 逆行する天体は、水星・金星・火星・木星・土星の5つの天体に限定されます。
    伝統占星術では、逆行そのものが大きな意味(価値・機能)を持つとは考えませんが、ハウスに与える影響として、その天体の性質に付加価値が出る場合がある、という控えめな判断に収まっています。

専門用語が増えてきましたので、今一度内容をおさらいしていきたいと思います。

セクト:昼生まれ・夜生まれ

ホロスコープを作成する際、出生時間が必須になりますが、その理由は、ホロスコープ上の天体の機能が変わるからです。

太陽が地平線よりも上にあれば昼生まれ、下に位置していたならば夜生まれのホロスコープを持つと考えます。

太陽の位置が、地平線(ASC-DSCライン)よりも上か下のどちらかにあるか、ということはハウスとも関連します。

ちなみに、以前の講座でお伝えした通り、7天体は昼の天体と夜の天体、どちらにもなり得る天体と分けられます。

  • 昼の天体:太陽・木星・土星
  • 夜の天体:月・金星・火星
  • 昼/夜のどちらにもなり得る天体:水星

セクトのルーラーという言葉があります。

昼生まれのホロスコープを持つ人は、太陽・木星・土星が、夜生まれのホロスコープを持つ人は、月・金星・火星がそれぞれセクトのルーラーで、水星は昼夜共通のセクトルーラーと定められています。

すべての天体の機能や状態(強弱)の他、前提として、昼生まれか、夜生まれか、という自然現象・時間的な世界の在り様が、個人の人生の始まりと直結していることを覚えておいてくださいね。

吉星(ベネフィック)と凶星(マレフィック)

現代占星術でも浸透している吉星と凶星ですが、伝統占星術ならではのルールがあります。

昼生まれと夜生まれでは、吉星と凶星の働きの強弱が異なる、ということです。

  • 吉星:金星・木星
  • 凶星:火星・土星
  • 昼の天体:木星(吉星)、火星(凶星)
  • 夜の天体:金星(吉星)、土星(凶星)

昼生まれのホロスコープでは、昼の天体である木星がその良さを発揮し、逆に、火星が凶星の働きが強まります。

夜生まれのホロスコープでは、夜の天体である金星がその良さを発揮し、逆に、土星が凶星の働きが強まります。

以前、天体の性質について解説した際、「熱(Hot)」と「冷(コールド)」に言及したことを覚えていらっしゃるでしょうか?

昼であれば、木星が持つ暖かさが増し、火星の激しさが増します。

逆に、夜であれば、金星の穏やかさが増し、土星の冷たさが増します。

昼夜の区別(セクト)は、天体が持つ機能の一側面である吉凶にも影響を与える、ということですね。

アンギュラー・サクシデント・カデント/ケーデントの区分

アングル(ASC/DSC/IC/MC)が重要であることは既にご理解いただいていると思います。

現代占星術でも、これら3つのハウスの区分が採用され、ハウスには強弱がある、という概念はそれほど珍しくありません。

  • 強いハウス(アンギュラー・ハウス):1・4・7・10ハウス
  • 真ん中のハウス(サクシデント・ハウス):2・5・8・11ハウス
  • 弱いハウス(カデント/ケーデント・ハウス):3・6・9・12ハウス

アンギュラーとは「角」を意味します。

古代の占星術のホロスコープや、インド占星術・北インド方式では現在でも角ばったホロスコープであったりするのですが、アングルを中心に、ハウスはアンギュラー・ハウス⇒サクシデント・ハウス⇒カデント/ケーデント・ハウスの順位続いていきます。

カデント/ケーデント・ハウスの場合は、「角から落っこちる」という意味があり、最も弱いハウスといわれているようです。

4つのアングルはホロスコープ上で、ハウスの起点ともなっていますので不動なのですが、サクシデントとカデント/ケーデントのハウスの解釈は、人によって異なる、ともいわれています。

後に「アヴァージョン」について解説しますが、アヴァージョンもASCから見える位置により、ハウスに強弱が出て、天体の機能の強弱に影響します。

12つのハウスは、それぞれの位置で、それぞれの役割・象意を持つわけですが、地平線を基準に考えますと(ASCからのアスペクトともいいます)、やはり「目立つ・目立たない」「強い・弱い」という側面が出てきてしまいます。

伝統占星術ならではの解釈と合わせて、以下のような解釈があることをご紹介します。

  • 第3・第9ハウスは、普遍性と神秘性という観点で、日頃の行いや学び(第3)、哲学や神秘の探求(第9)などが、真理へと通じるとする解釈をする人もいますが、逆に第3ハウスは曖昧なハウスであるため、第9ハウスのみが優位(強い)ハウスと解釈する人もいます。
    第3ハウスについては、発展途上・生育途上という意味では「未熟さ」を含みながらも、対極の第9ハウスが持つ「神性」に向かうための土台となるため、解釈が定まらない、と考えると違和感が無いかもしれません。
  • 第4ハウスはホロスコープの下部にあり、第10ハウスと比べて目立ちませんし、太陽が最も沈む場所です。
    ASCの対向のDSCは、目立つ場所ではあるのですが、他者や向こう岸を表しますので、主観・自我の立場からすると遠い存在(場所)とも考えられます。
  • 第6・12ハウスは、ASCからの見えない場所(ハウス)であるため、本質的に望ましい象意を持たない、と考えられます。
  • 第2・8ハウスは、真ん中のハウス/サクシデント・ハウスですが、所有(第2)や死(第8)によって、自我や心が大きく揺さぶられ、基本的に執着と恐怖心を体験するハウスといえます。
    加えて、ASCに対して見えない位置にあるため(アヴァージョン)、それほど強いハウスではない、という解釈は幾分か納得がいきます。
    ただ、第2ハウスは自分自身の行動によって変化を生み出すことができるため、第8ハウスと同様に扱うべきではない、という見方があります。

これらの解釈を念頭に置き、本来のハウスの区分を基に、その他のハウスの区分と比較できるようにまとめました。

*本来のハウス区分*

  • 強いハウス(アンギュラー・ハウス):1・4・7・10ハウス
  • 真ん中のハウス(サクシデント・ハウス):2・5・8・11ハウス
  • 弱いハウス(カデント/ケーデント・ハウス):3・6・9・12ハウス

*第3・9ハウスが真ん中のハウスへ、第8ハウスが弱いハウスへ*

  • 強いハウス(アンギュラー・ハウス):1・4・7・10ハウス
  • 真ん中のハウス(サクシデント・ハウス):2・3・5・9・11ハウス
  • 弱いハウス(カデント/ケーデント・ハウス):6・8・12ハウス

*第3・9ハウスが弱いハウスに分類*

  • 強いハウス(アンギュラー・ハウス):1・4・7・10ハウス
  • 真ん中のハウス(サクシデント・ハウス):2・5・11ハウス
  • 弱いハウス(カデント/ケーデント・ハウス):3・6・8・9・12ハウス

更にハウス区分の見方を変えるなら、自分と他者、プライベートとパブリックの4区分に分けることができます。

 自分自身のハウス 第12・1・2ハウス
 プライベート環境のハウス 第3・4・5ハウス
 他者のハウス 第6・7・8ハウス
 パブリック環境のハウス 第9・10・11ハウス

自分自身を起点に考えますと、第12ハウス側のASCから反時計回りにハウスの区分が固まっていることは、至極自然なことのように思えます。

ただ、前回の講座でもお伝えした通り、ハウスの順番と、発達・進化の過程という時間軸には、私たちが思っているほどの関連はありません。

なぜなら、ハウスと当事者(もしくは他者)との関連は、常にASC・太陽の位置が主導権を握っている、という見方が伝統占星術での立ち位置だからです。

その証拠に、他者のハウスであっても、自分自身が介入・関係しますし、プライベートであろうとパブリックであろうと、環境の中に存在しているのは自分自身以外考えられません。

重要な観点は、ハウスという顕在化される現象や出来事について、主体的・能動的に取り組めるかどうか、はたまた、外部や他者、環境からの影響が強いか弱いか、ということです。

それでは12つのハウスの解説に入る前に、アヴァージョンについての説明を入れさせていただきます。

アヴァージョン

アヴァージョンとは「嫌悪」という意味で、ハウスの見方としては「アセンダント/ASCに背いた場所」という立ち位置です。

ホロスコープリーディングをする上で、自然に発生するものが「アスペクト」ですが、ハウスの位置においてもアスペクトという表現を用いる場合があります。

伝統占星術において、アスペクトは60度・90度・120度・180度の4種類しかありません。

*コンジャンクション(0度)は、アスペクトに含みません。*

前回の講座で、伝統占星術のネイタルチャートで用いられるハウスシステムは、ホール・サインシステムであるとお伝えしました。

「ハウスと星座(サイン)の切り分け方を同じにする」ということは、アスペクト(角度)の取り方も同じになるわけですが、これをハウスに焦点を当てて見てみると、以下のように分類されます。

*ASC/アセンダントから見たハウスのアスペクト(角度)という意味ですが、第1ハウスを含んだ視点によるアスペクト(繋がり・連携)と解釈してください*

  0度:コンジャンクション ASC/アセンダント・第1ハウスそのもの
180度:オポジション 第7ハウス
120度:トライン 第5・9ハウス
  90度:スクエア 第4・10ハウス
  60度:セクスタイル 第3・11ハウス

*ハウスの強弱でいえば、第3ハウスは除外されることに注意してください。


ここでは単にアスペクトにだけ言及しているため、第3ハウスも含めています。*

表の中に入っていないハウスは、第2・6・8・12ハウスの4つですね。

アヴァージョンを簡単に表現すると、現代占星術が採用する30度のアスペクトの位置にある第12ハウスと第2ハウスが、150度のアスペクトの位置にある第6ハウスと第8ハウスということです。

ここでは、ASC/アセンダントから見えない位置に限定して説明しましたが、ASC/アセンダントに位置する天体から見えないハウスも含まれます。

*第1ハウスに在住する天体や、ASC/アセンダントと合(コンジャンクション)の天体という意味です*

先ほど、伝統占星術で使用するハウスシステムが、ホールサイン・ハウスシステムだと念押しをしました。

それは、ASC/アセンダントに重なる星座(サイン)においても、同様に表現されるからです。

例えば、ASC/アセンダントにかかる星座(サイン)が牡羊座なら、牡羊座にとっての亜ヴァージョンの星座(サイン)は、牡牛座・魚座(30度)、乙女座・蠍座(150度)となり、それぞれの星座がASC/アセンダントと重なる場合に、30度と150度のアスペクトを持つ星座(サイン)が、「嫌悪の対象」となります。

星座(サイン)についても触れた理由は、アヴァージョンの対象となる星座(サイン)は、常に異なる男性格・女性格になるからです。

これは「二元性の原理」にも当てはまりますし、12つの星座(サイン)が、1つ進む毎に、前の星座(サイン)を否定しながら進化する、という発展的な時系列とも符合しますね。

伝統占星術で扱うハウスシステム(ホールサイン・ハウスシステム)は、自然現象を基準にしているだけでなく、天体の働きと他の天体との繋がり(連携)に関しての明確なルールが適応されることで、リーディングが可能になることを示しています。

ハウスに数字が割り振られ、反時計回りに並べられてはいますが、機能的には、太陽が東から登り西へ沈む、という天体の実際の動き(プライマリー・モーション)と連動しています。

次に、今回の講座の肝である12つのハウスについて解説していきますが、その前にハウスと天体の関係性について触れたいと思います。

カルディアン・オーダーとハウスの関係性

天体の性質と星座(サイン)の性質の講座で、星座(サイン)とルーラーの関係性をお伝えしました。

牡羊座火 星天秤座金 星
牡牛座金 星蠍 座火 星
双子座水 星射手座木 星
蟹 座 山羊座土 星 
獅子座太 陽水瓶座土 星
乙女座水 星魚 座木 星


上記の表は、星座(サイン)と支配星の関係で、太陽と月を除いた5つの天体が2つの星座を支配していることが分かります。


次に、ハウスと天体の関係性を表にしてみます。

第1ハウス土 星第7ハウス
第2ハウス木 星第8ハウス土 星
第3ハウス火 星第9ハウス木 星
第4ハウス太 陽第10ハウス火 星
第5ハウス金 星第11ハウス太 陽
第6ハウス水 星第12ハウス 金 星 


現代占星術のように、もし「第1ハウス=牡羊座」のような概念が機能するとしたら、上記の表はまったく筋が通らなくなります。

厳密には「ハウス・ルーラー」という概念や用語は存在しませんが、伝統占星術ではカルディアン・オーダーを原則としているため、ハウスと対応する天体がある、ということをご理解ください。

その意味は、「ハウスの意味の根底には、それぞれに対応する天体が関係している」ということです。

第1ハウス・ASC/アセンダントから土星 ⇒ 木星⇒火星⇒太陽⇒金星⇒水星⇒月という風に進み、第8ハウスからは再度土星がハウ月と水星の2つの天体のみ、1つのハウスと対応していますスに関係性を持つことになります。

表を見ていただければ分かりますが、カルディアン・オーダーには、「地球から距離が離れている天体が影響力を持つ」という概念が根底にあります。

第1ハウス・ASC/アセンダントは、土星によって管理され、それ以降のハウスは、土星よりも影響力が弱い天体が順々に担当していくことを意味しています。

月と土星は「死」と「時間」に関連している天体です。

そのため第7ハウスが月に対応し、第8ハウスには「死」という象意があり、土星が対応し、カルディアン・オーダーが再び始まることを考えると、ハウスと天体の対応は納得がいきますね。

占星術における星座(サイン)は、概念的な側面を持ち、地球の公転に関連し、ハウスは実際的な側面を持ち、地球の自転に関連することと合わせて考えると、伝統占星術は非常に優れた論理で成り立っている印象を受けます。

ただ実際にトランスサタニアンが発見されていることも、古代には無かったテクノロジーや技術、概念・観念、常識・価値基準が生まれ続けていることも事実ですから、「正解」や「真実」という表現は控えさせていただきますが、原則として、占星術や天体の機能(働き)を矛盾なく解釈している点は認めるべきだと思います。

それでは最後に、伝統占星術における12つのハウスを説明させていただきます。

伝統占星術における12ハウスの解釈

12つのハウスの象意は、伝統占星術と現代占星術で大きく解釈が異なる、ということはありません。

12ハウスは、よく人生の物語に例えられますが、ホロスコープ上の天体と星座(サイン)の進行は反時計回りで、伝統占星術ではセカンダリー・モーションと呼ばれます。

星座(サイン)の順番は、地球の公転と関連しているからですが、より詳しい言葉で説明するとすれば、北極点から見た反時計回りの進行に起因しています。

対して、ホロスコープ上における自然の摂理としての時間の流れは、時計回りであり、地平線から太陽が昇る進行はプライマリー・モーションと呼ばれ、本質的なハウスの仕組みは、プライマリー・モーションに則っています

12つのハウスのそれぞれの象意は、以下の通りです。

第1ハウス肉体・生命第7ハウス配偶者・争い
第2ハウス財産第8ハウス死・恐れ
第3ハウス兄弟・親類第9ハウス宗教・旅行
第4ハウス両親・不動産第10ハウス仕事・名声
第5ハウス子ども・喜び第11ハウス友だち・希望
第6ハウス奴隷・病気第12ハウス敵・悲しみ

先ほどアヴァージョンについて説明しましたが、第1ハウス・ASC/アセンダントから見たアヴァージョンのハウスは、背景色が薄い紫色になっている第2・6・8・12ハウスの4つのハウスです。

ただし、第2ハウスのみ、否定的・逆転的な象意とはなっていません。

第2ハウスを除いた3つのハウスが、原則的に、伝統占星術と現代占星術とで異なるハウスです。

現代占星術では、第6ハウスは勤労や責任、第8ハウスは相続や遺産、セックス、第12ハウスは精神世界や意味不などの象意があてがわれています。

一方、伝統占星術では、第6ハウスは奴隷や病気、第8ハウスは死や恐れ、第12ハウスは敵や悲しみという象意が挙げられます。

これらの違いは、以下のようにまとめることができます。

  • 伝統占星術では、仕事は評価される場所は第10ハウスであるとし、第6ハウスは「隷属」や「従属」を意味するとします
  • 伝統占星術では、不動産は第4ハウス、セックスは第5ハウスに該当し、第8ハウスは言葉通り、死や根源的な恐れが象意です
  • 伝統占星術では、第12ハウスは失敗・憂鬱・孤立・監禁・隠れた敵などを表し、第1ハウス・ASC/アセンダントと真逆の象意を持つ、最も忌むべき場所とされています。

更に言えば、伝統占星術ではトランスサタニアンは採用しませんし、ハウスは星座(サイン)の影響を受けず、同一化されることが無いことも、象意の違いの根拠といえます。

先ほど、12つのハウスに対応した天体を説明しましたが、以下に、天体の機能とハウスの結び付きを、シンプルなキーワードで表現しました。

  1. 第1ハウス:土星により、魂は肉体に宿り、自我を始める
  2. 第2ハウス:木星により、豊穣が与えられ、守ろうとする意識が働く
  3. 第3ハウス:火星により、近親者との関係性が芽生える
  4. 第4ハウス:太陽により、親からの影響を受ける
  5. 第5ハウス:金星により、自らの喜びに貪欲になる
  6. 第6ハウス:水星により、あらゆる手段を講じて身を守ろうとする
  7. 第7ハウス:月により、依存先を求めようとする
  8. 第8ハウス:土星により、培ったものがリセットされる
  9. 第9ハウス:木星により、自我ではなく真理から物事を見ようと努める
  10. 第10ハウス:火星により、自我の限界を超え、または捨てる
  11. 第11ハウス:太陽により、自己を自我のためではなく、利他のために活かす
  12. 第12ハウス:金星により、囚われの意識を手放す=我欲・貪欲を捨て去る

第6・8・12ハウスの3つは、第1ハウス・ASC/アセンダントから見て「嫌悪のハウス」です。

伝統占星術の解釈ではありませんが、現代占星術で時折見かけるハウスの区分があり、大変興味深いので、こちらも紹介させていただきます。

生命のハウス第1ハウス・第5ハウス・第9ハウス
物質のハウス第2ハウス・第6ハウス・第10ハウス
関係のハウス第3ハウス・第7ハウス・第11ハウス
終末のハウス第4ハウス・第8ハウス・第12ハウス

第1ハウス・ASC/アセンダントから見たアヴァージョンの第2・6・8・12ハウスは、物質のハウスと終末のハウスの2つの分類にありますね。

万物は常に流転(変化)していますので、物質がいつか姿かたちを保てなくなることは容易に想像がつきます。

さて、「終末」とは「終わり」を意味しますが、第4ハウスは両親の喪失、第8ハウスは精神の絶望、第12ハウスは喜びや楽しみといった感情の剥奪という風に解釈することができないでしょうか。

人にとっての死は、脳や心臓をはじめ、肉体的な機能が停止することだけを意味するわけではありません。

他者に忘れ去られてしまったり、捨てられてしまったりすることで、記憶や精神的な関係性の喪失も然り、魂が肉体から離れ、肉体が単なる物質となってしまっても、自我(意識)が宿っていない存在はもはや人間とは呼べないかもしれません。

話を戻しますが、伝統占星術におけるハウスは、星座(サイン)の進化とは違い、1つ前のハウスの象意を守ろうとする、という解釈があります。

第2ハウスの場合、この世に生を受け、成長・進化すること段階は、嫌悪すべきでも、忌むべき未熟さではないのかもしれません。

対して、第6ハウスは、他者と繋がる一歩手前の段階で、大変不安定な状態にあり、第8ハウスでは、他者と関わりを持ち、絆を持とうとしながらも、逆に他者という存在によって、自我やそれまでに培ってきた価値観(世界観)を破壊される絶大な恐怖を経験がする、とすれば、第12ハウスは、死を迎えるためには、物体としての自分が消えてしまうという、不可逆的、且つ、強制的な生の奪取を意味するといえるでしょう。

次回の講座では、より詳しくハウスについて解説させていただくとともに、ディグニティ(品格)やジョイなどについても解説させていただきますので、お楽しみにしていてくださいね!

法則性と独自性を分ける時、受容性によって人生は拓かれる

今回は、伝統占星術におけるハウスの解釈を主題に、必要となる知識や概念を基に解説させていただきました。

ホロスコープは、地球を中心として、地球の自転と公転、地軸と天球との関係性、太陽の軌道(黄道)と月の軌道(白道)をはじめ、他の5天体との関係性などによって成り立ちます。

物理的な事象とともに、概念的な解釈は、ハウスによって実際的な意味が顕在化し、それは誰の身にも起こる必然的な人生の体験です。

伝統占星術に関わらず、古代の教えは、戦いや争いを通して生き抜いてきた観念や情念を遺伝子に蓄えて、現代の私たちにも影響を与えています。

時代が移り変わり、いくら物質的に豊かになり、多くの情報が溢れようと、心理(心の動き)や我欲、また他者のそれらに振り回されているだけでは、人生という時間と空間に準備されている、本来的な豊かさや喜び、見て見ぬふりをしている強大な恐怖や不安と対峙することはできないのかもしれません。

人生はいつでも、どこまでいっても、自分との対話が続きます。

占星術を知らなくても、活用しなくても、人生は進み続けていきますが、せっかくあなたが宇宙と星々と何かしらの繋がりを感じ、現実(人生)という舞台をどのように解釈すべきかを試案しているわけですから、より多くの解釈と概念、知識と智恵を活用していくことは、全く持って時間の無駄ではなく、むしろ自己探求を通して、真理探究をご自分に経験させてあげる機会を与えていることになります。

伝統占星術が「善」というわけではありませんし、はたまた、現代占星術が「優秀」であるわけでもありません。

答えはいつも「保留状態」であり、目的地に着くまでが喜びであるのは、私たちが今を生きている証拠ではないでしょうか。

現代に限らず、「マインドフルネス」や「ワンネス」、「悟り」といった境地は、我欲や我良し(利己主義)を掴む力を抜き、「自分自身が世界そのもののや世界の一部である」という体験により、物質性が持つ変態性と儚さを客観視させるが如く、論理だけでは理解できない世界があることが世界中の至るところで叫ばれてきました。

法則性と独自性は、決して対立すべきものではありません。

あくまで私たちそれぞれが持つ個性という天才性や純粋性を、大きな波という法則に乗せてこそ、私たちが「受容的な存在」である意味や価値が見えてくるはずなのです。

私たちが生かされているということは、私たちの人生を包容する大いなる力が存在し、それはまるで私たちの身体の内部が常に働いてくれているように、私たちと常に近くて遠い絆を守ってくれているような、柔らかくも、決して綻びが出るようなものではない、確かな宇宙の創造意志がある、ということに他なりません。

人生に逆らわず、かといって、現実や他者からの影響の僕(しもべ)や奴隷になることなく、健全で肯定的な解釈でもって、今生かされている自分自身を眺める。

それはもしかしたらホロスコープを前にして、星々からのメッセージを受け取ろうとする姿勢と大差ないのかもしれません。

あなたが人生をより善いものにしたい、と願う時、世界がより善い世界であることを願わずにはいられないはずです。

今回の講座の中で、「内面性は外面の世界に投影される」という表現を使いましたが、法則として機能している事実と矛盾することなく、私たち自身がそれぞれに持つ人生という物語を生きる中で、いつ何時も、今この瞬間から、「より善い私」を生きることを決めることで、人生もそれに応えてくれると思います。

人生は過程(みちのり)という体験にこそ、喜びがあります。

美味しいものを口にし、少し時間が経ってしまったら、その感動も薄れるように、もしかしたら頂に上るまでが辛さや厳しさも含んだ旨味といえるのかもしれません。

ですから、どんなに辛く、苦しく、厳しい現実があろうとも、私たちはいつかそれらの体験を総括して、魂という私たちの実体(本体)に懐柔される時が来る、と思っていても、誰も困ることはないでしょう。

生と死は、誰にとっても等しく訪れるのですから。

そして私たちは、こんな風に思うのかもしれません。

いつの日も、どんな時も、生かされていることで体験できる自分が、何よりも尊い存在であり、その尊い自分自身を、全宇宙・全世界が力を総動員して働いていてくれていたと…。

最後はどこか感傷的・抽象的なまとめになってしまいましたが、本来の法則やルールといったものは、真理に沿って生きることが、最も望ましいことである、ということをお伝えしたかったのです。

だから、というわけではありませんが、伝統占星術に触れてみて、どこか学校の授業(特に科学や数学)のような小難しさや歯がゆさを感じられたとしても、簡単に可能性を閉じないでいただきたいと思います。

少なくとも占星術におけるルールや解釈、法則は、あなたを罰するためではなく、ありのままに世界を見ることを手伝ってくれるものなのですから。

今回は内容の濃い講座となりましたが、次回以降からの講座の方がより一層濃さを増していくと思います。

今後の予定としましては、伝統占星術の解釈をお伝えした後、アスペクトやサビアンシンボルの解説に移っていこうと思いますが、知ることも学ぶことも、そして実践して体感することもまだまだ沢山あります!

是非次回以降も、「深楽しい西洋占星術講座」を楽しんでくださいね!

今回も最後までお付き合いいただいて、誠にありがとうございました!

次の講座「伝統占星術におけるハウスの意味とジョイ・トリプリシティについて」でお会いしましょう!

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