「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座」にようこそ!
前回の講座では、天体が特定の星座(サイン)にある時の状態・ディグニティ(品格)について解説させていただきました。
占星術では、天体・星座(サイン)・ハウスの三大要素がそれぞれ絡み合うことで、様々な意味・象意を持ちます。
ホロスコープ上に区切られた12つの場所にある7つの天体が、それぞれ特有の機能を持つだけでなく、天体が発揮できる機能が発動される条件・状態としてディグニティ(品位)があることで、天体同士の関係性がより複雑・多様になる、ということが分かります。
伝統占星術では、アスペクトを理解する段階は一番最後とされますが、本講座でも、アスペクトの解説は未だ行っていません。
その理由は、天体・星座(サイン)・サインが持つ不変的な要素を1つずつ理解することで、やっと流動的な要素であるアスペクトが理解できる、と考えるからです。
伝統占星術と現代占星術は、決して対立する関係性にあるわけではありません。
それぞれの時代に必要な体系を持っているだけで、問題は、扱う・活用する側の私たちが、主観性と客観性のどちらに主軸を置くかで、世界や内面の捉え方が異なる、というのが現状です。
今回の講座では、本来天体は、どのような繋がりを持ち、星座(サイン)やディグニティ(品格)、ハウス、その他の条件によって、繋がりに変化が出るのかについて解説させていただきます。
筆者もそうですが、占星術に限らず、関心を持った物事に携わることで、難解な学びに対して「飽き」や「限界」などから、どうしても行き詰まりを感じ、歩み(手)を止めてしまうことがあるものです。
ただ、私たちは心のどこかで、やはり「知りたい」や「分かりたい」という欲求が燻ぶり続けていることを感じます。
「成長曲線は直線ではなく、緩やかなカーブを描く」といわれるように、学びという過程を直線的に辿ることはできません。
結局のところ、私たちがしっくり来た!と感じる地点に至るまでは、右往左往しながら、3歩進んで2歩下がるといった、ベイビーステップを積み重ねていくことが、理解と自信に繋がります。
伝統占星術に触れながら、読者のみなさまとともに、より占星術が秘めている叡智に触れるということに対して、「酸っぱさ」を先に味わってこそ、「甘さ」が感じられるものだということを思い知っているため、僭越ながら講釈を垂れてしまいました。
今回の講座で、ホロスコープの全体像を掴む上で重要となる、天体同士の繋がりについて、少しでも理解を深めていただければ幸いです。
それでは、今回も最後までお付き合いください!
「私を知ること」は、「私を体験するため」にある
後に解説していく「天体の影響力」に触れる前に、誰もが疑問に思ったり、もどかしさを感じてしまう「運命」や「運」、そして「自由意志」について、伝統占星術に触れ、筆者が個人的・経験的に行き着いた概念・定義をシェアさせていただきます。
筆者のところには、占星術に限らず、日常的なご相談や精神的な心情の吐露など、限りなく個人的な対話に関するメッセージを頂くことが少なくありません。
筆者は占星術に携わっているため、お問い合わせを頂く方が自ら、太陽星座や月星座を自己紹介メッセージに添えてくださるため、トランジット的に、お互いの星の影響力を感じることが大変多いです。
お一人おひとりのメッセージと、お心に触れる度に思うことは、私の主観的な印象ではありますが、「もっと幸せになりたい」という、生命力にも似た、強い感情エネルギーです。
生まれ育った環境や待遇が良い人もいれば、ある時から不運や悪い待遇に見舞われている人もいますし、ずっと苦しみを抱えながらも、諦めたくない一心で今日を生きている方など、実に様々ですが、私たちは同じ肉体や心を持ち、同じ地球上に生きています。
本講座では、大宇宙に対して、私たちは誰もが「小宇宙」である、という位置づけ(概念)をお伝えしていますが、それは私たちが、現実的な観点における「普遍的な事実」と、神秘的な観点における「不変的な真実」という、対極的な法則や働きの両方に影響を受けているからです。
それはまるで、目に見えない世界をパズルの背景として、ピースである目に見える世界をはめていくようなものかもしれません。
誰もがそれぞれのパズルを埋めていくことで、大宇宙の全体のパズルは、どんどん景色を広げていきます。
そのため、私のパズルの完成図と、あなたのパズルの完成図が異なっていなければ、逆に不自然ですね。
占星術は、この「違い」について納得や理解を得るための気づきになり得る学びです。
「運命」と「運」、そして「自由意志」とは?
巷には、「開運」や「強運」になるためのテクニックが沢山あり、それらは人それぞれが培ってきた体験によって表現は変わりますが、根本は同じかもしれません。
最近では、成功者や経済的に豊かな人は、「運が良かった」という結果論で認識されることが増えてきました。
それは遺伝子レベルでもそうですし、同じ境遇であっても、特別な人との出会いによって、他の人と大きな差をつけるような運が働いているためです。
そのため誰かの成功に対する価値観や美学は、頭では理解できたとしても、まるでアプリケーションをダウンロードするようには、人は完璧に外的な要素を取り入れることは難しいことは、世の中に様々な「法則」と名のつく概念が出回っていても、母体数として、成功者や経済的に豊かな人が増えていないことが証明しています。
地の時代が続いてきた200年と数十年の間、星回りとしてその立場や地位を約束された人や強運な人というのは、後天的な努力が必須であるものの、確実に持って生まれた能力や素質が備わっていた側面は否定できません。
それでは、私たちにとって、「運命」や「運」とは一体どのようなものなのでしょうか?
人生における様々な出来事に対する私たちの立場は、原則的に「受容的」です。
「原則的」というところがミソなのですが、まず私たちは原理を受け入れ、沿うことで、ようやく自分の立場から、世の中に貢献(Give)できる立場を得る、という順番・順序を踏みます。
私たちが肉体を持って生まれたのも、両親の存在があってこそですし、日々の衣食住も、大自然からの恵みがあってこそですよね。
よく「生まれる前に自分の人生のシナリオを組んで生まれてきた」というフレーズを見聞きしますが、これは端的に「運命論/決定論」を肯定しています。
ところが、「人生は自分で切り拓くもの」という言葉もあり、何が運命なのか、何を自分の意志や行動力で変えることができるのかが分からなくなってしまいますね。
本講座では、運命や運、自由意志についての1つの解釈をお伝えしていきます。
変えられるものと変えられないもの
シンプルに運命や運、自由意志についてまとめると、以下のようになります。
- 運命とは、変えられないものである
- 運命とは、生まれた時に決まっているものである
- 変えられるものは、運命ではない
- 変えられるものを得るためには、努力・行動・体験が必須である
- 運とは、科学性・再現性のないものである
- 運は、複合的な要因によって引き起るものである
- 運とは、常に起こるものではなく、また自らの意志で選ぶことはできない
- 運命と運には、善悪は無く、善悪を決めるのは当事者(私たち)であり、当事者(私たち)の感情とは無関係に働く
- 自由意志とは、その時々に意図・目的を持って行動・選択できることである
- 自由意志によって手に入れられるものは、運ではなく、努力(変化)である
- 運とは、他者や社会との繋がりの中で生まれるものである
- 人は、運命や運に気づくことができる時もあれば、気づくことができない時がある
ざっと並べただけで、上記のような前提条件が考えられます。
上記の項目を読んでいただくと、「運命を変える」や「運気を上げる」という言葉(概念)は矛盾していることが分かりますね。
もちろん世の中には、特殊能力や科学では証明できない技術を持った人は存在しているかと思いますが、それらをどのように語ったとしても、伝授や直に何らかの施術やセッションを行う必要が出て来るはずです。
「自分よりも波動が高い人と一緒に居ること」によって、自分よりも高いエネルギーを受け取り、自分のエネルギー場に変化が起こる、といったことは否定できません。
ここで言及していることは、「運命」とは、あらゆる出来事や出会いと、それらによって起こる変化さえも内包・網羅している、ということです。
「変化に気づくことができるか否か」ということは、チャンスを掴めるか掴めないか、ということに繋がりますが、変化に気づいたとしても、自らの意志(自由意志)で、変化を受け入れるかどうかでも、違いが出て来るでしょう。
本講座で、「1つの概念・解釈としてご紹介する」という表現に留めている理由は、結局のところ、どういった概念・解釈を採用するかは、私たち(あなた)次第だからです。
伝統占星術も現代占星術も、知識や智恵を提供してくれることはあっても、私たちに力づくで納得させようとするものではありません。
だからこそ解釈が多様となるわけですが、どちらのスタンスも知っていて損はないはずです。
「巡り合わせに違いない」や「必然としか思えない」といった体験(体感)を1つひとつ積み重ねることで、私たちは高い視座と広い視野を獲得します。
占星術を活用しながら、自らの力で変えていける範囲や限界まで努力し、それ以外の領域に対しては、宇宙や人生を信頼し、自分自身に対して底なしの愛情と信頼を持って、日々を丁寧に生きることが重要ではないでしょうか。
占星術に話を合わせますと、「星回りが良い」や「〇〇体質」といったものは、天体から読み解くことができる、というのが今回の講座の趣旨に合流していきますので、引き続き、お付き合いください!
「私」が求めているものは「私自身」だった
誰もが自分だけの人生を生き、人生であらゆる出来事を体験するわけですが、どのような出来事が起こっても、体験をする主体は私たち自身です。
それにも関わらず、私たちは周囲からの影響を受け、「思い通りに生きる」や「思い通りの結果を得る」といった欲求に対して、常に満足感や達成感を感じることは難しいと感じてしまいます。
状況や環境、その時々の自分自身の状態にもよりますので、何が決定的な原因であるか、を一言でいい当てることも難しいはずです。
過去の出来事や経験を目撃・観測し、実際に体験した人物とは、誰でしょうか?
私たち自身以外には存在しませんね。
いつも同じことで悩んだり、同じような結果を招いてしまったりする、ということは、私たちの中に「行動原理」や「固定化された信念」などがあるがために、余程の機会が無ければ、私たちはそういった根底的な働きを覆すことはありません。
もっと言えば、私たちは状況や状態が不健全であったり、不利であっても、自主的に変化を起こすことに抵抗感を本能的に感じます。
そういう意味では、私たちは自分自身をよく知ることができていません。
そして、そういった堂々巡りの生き方や日常生活、はたまた、大きな不運や損失を被った時にこそ、「自己責任」や「因果」といった言葉の重みを受け入れるチャンスが与えられます。
この観点や視点を受け入れられるタイミングは、人それぞれですし、早い段階で自分で気づくことができる人もいれば、周囲からのサポートによって受け入れることができる人もいるでしょう。
占星術を通して、この講座でお伝えしている本質的なメッセージとは、「自己理解」・「自己信頼」・「自己肯定」の3つです。
これら3つの要素は、私たちがどのような環境で生まれ、どのような生い立ちを経て、外部からの刺激や介入、干渉などによって、現在の思考や感情のパターンが出来上がり、人生をなんとかして立て直したい、という強い思いを解すために必要だと、筆者は考えています。
「雨ニモマケズ」や「人間だもの」といった言葉は、普遍的な事実や在り方を語っているだけではありますが、私たちは時に、そのような凛とした言葉に励まされます。
そこで本講座では、「自己理解」・「自己信頼」・「自己肯定」の3つの要素を自らに与えてあげることで、誰もが自分自身のための救世主や最大の味方になることができる、ということをお伝えしているのです。
占星術が示すものは、私たちが「天が生命を与えた存在」である、ということで、7天体の星座(サイン)とハウスの位置関係から導き出される「影響力」によって、私たちの生き様と在り方を作っていく過程・物語といえるでしょう。
私たちは他の誰かに成り代わることも、他の誰かに支配されることもなく、ただ自分自身を生きるのみです。
「私は私になるために生まれてきた(今、生きている)」
「私は私を体験するために生まれてきた(今、生きている)」
「私は私という小宇宙を創造する体験をするために生まれてきた(今、生きている)」
これは、私たちがつい考えてしまう「使命とは何か」や「生まれてきた意味とは何か」といった命題に対する、率直な答えといえるでしょう。
あなたが誰と居ようと、どこに行こうと、何を体験しようと、それら全ては、「あなたになるため」の体験であると同時に、大宇宙に還元されていく生命活動です。
そこで、天が私たちに与えたエッセンスとして、天体たちは何を教えてくれるのでしょう?
今回の講座では、天体が持つ影響力を土台として、天体が人生にもたらす意味について、是非一緒に考えていきたいと思います。
天体たちの影響力と強弱について
占星術に触れることで、天体の存在が重要であることは、既に理解されているかと思います。
伝統占星術における、天体の影響力に関する重要事項を以下にまとめました。
- すべての天体は、個人を構成する要素としての働きを示す、天体そのものが自分自身ではない
⇒ 思考や感情が主体(存在)としての自分自身ではないように、ホロスコープに表される天体は、
個人の資質であり、すべてが合わさること(統合されること)で、個人の存在と人生の在り様が
示される - 天体は、星座(サイン)によって、本来の機能が発揮できる状態が変わる
⇒ ディグニティ(品格)の変化 - 天体は、ハウスによって、本来の影響力が発揮される環境や状況が変わる
- 天体は、昼生まれか、夜生まれかで、働きが変わる
⇒ 天体が地上に与える影響力は、地平線の上か下かによって変わる - 太陽は、太陽系における支配者であり、支配力や影響力を持つ存在は、光を放つものである
⇒ 伝統占星術では、7天体の他、恒星を採用する - 天体は、星座(サイン)とハウスとの兼ね合いによって、他の天体との関係性(連携・伝達の状態)が変わる
⇒ 繋がり(アスペクト)を持つことは、互いが確認できることである - 天体は、見えない場所にある天体とは連携・繋がりを持つことができない
⇒ ASC/アセンダントとアヴァージョンの概念(アスペクト:30度) - 天体にはそれぞれの影響力があり、その影響力は異なっていて当然である
⇒ 天体のオーヴの違い - 天体の影響力が及ぶかは、天体が置かれた状態・状況の強弱によって変化する
- 天体は、1つ、ないし、2つの星座(サイン)とハウスを支配し(支配星)、副支配星は存在しない
- 目に見えること(光が見えること)が影響力を持つ星であることが前提である
⇒ トランスサタニアンを扱う必要が無い - 天体同士の繋がり(アスペクト)は、天体が持っているオーヴと、実際的な位置(ハウス・物理空間)によって、メジャー・アスペクトのみが採用される
⇒ マイナー・アスペクトを採用してしまうと、天体が持つ影響力(機能)を否定し、天体同士の連絡・連携ができない前提(法則性)を崩すことになる - 天体同士のアスペクトは、ハウスによるアスペクトと同義である
- 天体がアスペクトを持つということは、影響力を渡す・受ける関係性を意味する
- 吉星と凶星の働きは、天体の状態(強弱)によって、その働きが発揮できなくなる
⇒ 本来的な働きができないことは、吉とも凶とも出るが、良い悪いではない - ホロスコープの全体像は、ルミナリー(ズ)である太陽と月によって決まり、その基準はASC/アセンダントが基準となる
- 星座(サイン)とハウスは、天体の本来的な機能・影響力の変化・顕在化のためにあり、天体が他のアスペクトを持つことと、持たないことの両方に意味(価値)がある
- 天体の影響力の強弱は、人生のどの場面・領域で顕在化・表面化するかの指標となる
- 天体が示す「吉」や「凶」は、人生として避けられない要素ではあるが、それに対処するための策を講じるためのチャンスを与える
- 天体の機能や影響力は、当事者が資質・能力を持っているかを端的に表すが、それを実際に努力によって体験することが無ければ、ただの机上の空論で終わる
- 伝統占星術において、天体の機能・影響力の強弱を見ることは、吉意を招くことや凶意を避けることではなく、実際的に体験すべき物事を成就させるための指標として見ることを促す
これまでの講座でお伝えしてきたことと併せて、これから解説していくことをまとめたところ、上記に挙げたように、天体に関する重要な項目はこれほど多くありました。
項目を読んでいただくと分かるように、天体がいかに影響力を持ち、天体が状況や環境、状態によって機能を変化させ、他の天体との関係性が変わるのか、ということが強調されています。
ですので、天体が持っている意味を今一度ご理解いただいた上で、今後の解説へと進んでいただければと思います。
天体毎の状態を知る重要性
ネイタルチャートは、おおよその生まれた時間の天球図を平面にしたもので、トランジットチャートやホラリーチャートなどは、時間の経過による天球図を平面にしたものです。
その時々によって、天体の状態は変わり、本講座では「強弱」という風に表現しています。
強い・弱いとは、天体本来の機能や影響力が発揮できるか否か、を意味するものです、天体の機能や影響力がもたらす事象に関する善悪ではない、ということが注意点です。
天体は、ホロスコープ上で反時計回りに動きます。
それぞれの天体には、公転周期に差がありますから、運行速度が早い天体は、運行速度が遅い天体を追い抜きます。
ホロスコープ上で7天体は追いかけっこをし続けるわけですが、天体同士の関係性は、以下の6点において決まります。
- ホロスコープの持ち主(相談者)が昼生まれか、夜生まれか:太陽と月の主導権
- 昼の天体と夜の天体の区別
- 天体が持つ他の天体に対する本来的な影響力
- 天体がどのような状態にあるか(強弱):星座(サイン)によるエッセンシャル・ディグニティの獲得
- 天体の特定の条件の状態(強弱):ハウスの位置によるアクシデンタル・ディグニティの獲得
- 影響力を与える側と受ける側の距離・角度
上記の項目は、まず出生時間によるチャートのセクト(昼・夜)が決まることで、太陽と月のどちらが主導権を持つか、から始まります。
太陽の位置によって、(人生における)太陽が影響力を発揮できる素養が決まる、ということは大変重要です。
そのためASC/アセンダントが非常に重要であることは大前提となるだけでなく、セクトによって、天体の機能・影響力が変化し、天体同士の関係性のバランスも変わります。
7天体は水星を除き、それぞれ昼と夜のどちらかに属していますので、ホロスコープが昼と夜のチャートであるかを定めるために、正確な出生時間が必要となるのです。
出生時間が必要となるのは、月が星座(星座)間を早く移動するから、という理由だけでなく、天体が持っている影響力が発揮できる状態か否か、を知るために必要になるんですね。
ちなみに、現代占星術でも出生時間が分からない場合は、昼の12:00か深夜の0:00で占断を始めます。
さて、基礎的な知識を延々と繰り返し解説しているように思われるかもしれませんが、これらのルールを腑に落とさなければ、天体の本来的な働きを知り、アスペクトを知ることは難しくなりますので、時間をかけて腑に落としていってください。
それでは続いて、天体同士の関係性に関する用語と説明に移ります。
太陽と上位・下位の天体
伝統占星術では、太陽系のシステムは7天体によって構成され、恒星などの影響も考慮に入れながら、地上に降り注ぐ宇宙のエネルギー(働き)に対して、極めて受容的な姿勢・立場を取っています。
「受容的」とは、「受け入れる」姿勢を意味するわけですが、今回の講座でお伝えした通り、「運命」や「天の定め」とは、私たちが選び取ることができない不変的な事実を肯定した上で、今成せることをすることにエネルギーを注ぐことが健全だからです。
さて、太陽系のシステムが成り立つためには、7天体がそれぞれの役割を全うすることが重要となります。
言い方を変えれば、それぞれの天体は、持ち場や役割を降りることができない、ということです。
「神秘数」というと、色んな数字が思い出されますが、神秘学や宗教学では、「7」が神秘数とされています。
1オクターヴは「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の7音で構成され、国や地域によりますが、虹は7色で構成され、チャクラも同様です。
そのため占星術においても、カルディアン・オーダーがあるように、7という数字は、自然界(宇宙)と生きとし生けるものにとって、法則が循環的に作用することを意味しています。
以前の講座で、7天体によって構成されるルーラーシップは、社会的な視点・立場をもたらすことを解説しました。
以下が、7天体の力関係といいますか、占星術的に割り当てられた天体の関係性です。
- 土星
- 木星
- 火星
- 太陽
- 金星
- 水星
- 月
天体はそれぞれの軌道や公転周期、自転の速さを持ちますが、太陽だけがほぼ毎日約1度ずつ黄道を進みます。
そのため太陽は「不変性」の象徴であり、太陽は「神」という(概念的)位置づけに添える天体として相応しいと考えられているのです。
太陽が神である中心点(玉座)に鎮座し、月・水星・金星が太陽の下位の階層を、火星・木星・土星が上位の階層をそれぞれ担当し、太陽系の働きを構成しています。
内惑星である月・水星・金星は、最も太陽の光(影響力)を受けるため、太陽に対して従順な働きをしつつ、各々の役割を全うしますが、外惑星である火星・木星・土星が、太陽に対して反抗的というわけではありません。
神である太陽に対して、凶星である土星が反逆や下剋上を働くということもなく、また火星が火星の地位を脅かすこともなく、ただ役割を全うするのみです。
ジオ・セントリック占星術は、地球から見た天空図をホロスコープに投影していますので、カルディアン・オーダーが成り立ちます。
【地球】 ⇒ 月 ⇒ 水星 ⇒ 金星 ⇒ 【太陽】 ⇒ 火星 ⇒ 木星 ⇒土 星
月・水星・金星の3天体は、地球に比較的近い場所にある階層に位置し、時間の経過に関して言えば、日常的・短期的な物事を計る際の基準となり、反対に、火星・木星・土星の3天体は、地球から見て太陽から離れた位置に軌道を持つため、自律的・長期的な物事と変化を司る基準と考えます。
何事も起点や中心点を定めることで、物事の骨格・外枠を作ることができますので、天体が司っている領域と立ち位置を明確に規定することで、ルールや法則性がどのような場面においても適応できることを改めて認識することができますね。
それでは以下に、伝統占星術で用いられる用語を紹介していきます。
すぐに覚えなくても、こういう用語とルールがあることを一旦受け入れ、徐々に理解を深めていってください。
- アフリクト(afflicted):天体が主に他の天体から圧倒され、傷つくこと
- アプローチ(approach):天体が他の天体と誤差0度でコンジャンクションとなること、または天体が他の天体に近づいていくこと
- セパレート(separate):天体が他の天体から離れること
- オーヴァーカミング(overcoming):追いかける天体の方が、追われる天体よりも優位な状態を指す
*オーヴァーカミングには例外があり、オーヴァーカミングする側の天体とされる側の天体の間の角度の差が3度以内の場合は、近づかれる天体の方が強くなる。*
公転周期が遅い天体ほど影響力が強いことと、他の天体に圧力をかける(近づく)天体の方が強いという性質は矛盾しない。* - デキスター(dexter):天体が時計回りの方向にある天体に向かう方向(右側の方向)を意味する
星座(サイン)の順番とは逆方向に天体がアスペクトを持つと、不利なポジションを意味する - シニスター(sinister):デキスターとは逆に、天体が反時計回りの宝庫にある天体に向かう方向(左側の方向)
星座(サイン)の順番通りの方向で天体にアスペクトを持つと、その天体は有利なポジションを獲得する - トランスファー・オブ・ライト(transfer of light):軽い(スピードが早い)天体が、その他2つの天体の間を、一方の天体からセパレートし、一方の天体へアプローチすることにより、これら2つの天体を結び付ける役割を担うことを指す
⇒ 2つの天体の間に挟まれ、一方の光(影響力)をもう一方に運ぶ天体を指す - ビシージング(besieging・besiegement)/エンクロージャー(enclosure):包囲されることを意味し、ある天体が、金星と木星(吉星)・火星と土星(凶星)それぞれ2つの天体に挟まる状態を意味し、どちらか一方の天体に近ければ近いほど、吉意・凶意が強まる
- インターヴェンション(intervention):悪いビシージングの状態であっても、吉星である金星や木星が、凶星である火星や土星よりも近い角度でのアスペクトがあれば、状況的に不利・深刻であっても、何らかの助けが得られる状態を指す
- ストライキング・ウィズ・ア・レイ(striking with a Ray):追いかける側の天体が追われる側の天体に圧倒されること
例えば、水星や金星が太陽に近づく状態(アプローチ)と、離れる状態では、太陽から受ける影響力が異なります。
気温が暑いところに向かっていく時と、暑いところから涼しいところに向かっていく時の体温は当然変化するように、天体が他の天体に近いことや近づくことと、離れていることや離れていくことで、天体の振る舞い(機能の発揮具合)が変わり、天体同士の連絡の取り方(影響の与え方・受け取り方)が変わる、ということです。
以前の講座で、コンバストやアンダー・ザ・ビーム/レイを解説しましたが、水星・金星・火星が太陽に近づくにつれ、アフリクトの度合いが強くなり、太陽から離れていくことで、太陽からの支配から解放されていくことを意味しています。
前回の講座でエッセンシャル・ディグニティの重要性を解説した理由は、天体同士の力関係や関係性(アスペクト)が、単なる平面的な関係性で説明できるほど一筋縄ではいかないからです。
伝統占星術における「例外」とは、それぞれの天体が持つ機能や影響力が、一辺倒に働くわけではなく、「関係性」が成り立つ原理に基づいて注釈が設けられることを意味しています。
天体はホロスコープ上を反時計回りに回ると同時に、太陽の上昇と下降は時計回りに回り、天体はどちらの方向に対してもアスペクトを持ちます。
アスペクトという象徴(図形)だけを見ると、時系列や場所を考慮に入れず、平面的に天体を繋ぎ合わせてしまうと、天体同士の関係性の意味が無くなり、本来のアスペクトの真意が失われてしまいます。
それを端的に表したものが、デキスターとシニスターであり、天体同士の関係性は、物理空間と時間によって変化することが分かりますね。
デキスターの場合、牡羊座にある天体が、後方の星座(サイン)である山羊座にある天体に対してアスペクトを持つ方向を指し、背中側(後方側)へのアプローチとして不利なポジションです。
一方で、シニスターの場合、牡羊座にある天体が、前方の星座(サイン)である獅子座にある天体に対してアスペクトを持つ方向を指し、有利なポジションを得ます。
また、運行スピードが早い天体が、2つの天体の間に入っていき、手前の天体を追い抜いて、前方の天体に近づくことで、トランスファー・オブ・ライトの役割が与えられます。
ビシージングは、2つの吉星・凶星に挟まれる状態を指しますので、吉星によるビシージングは、金星と木星を除いた、他5つの天体に、凶星によるビシージングは、火星と土星を除いた、他5つの天体に適用されます。
吉星の機能は、金星であれば、自分を満たす方向に、木星であれば、恩恵を得る出来事や人との繋がりを得るなどの作用が強まります。
反対に、凶星の機能は、火星であれば、衝動性や攻撃性が増し、土星であれば、束縛的・孤立的な状況に陥ったりする作用が増します。
そして、凶星に挟まれた状態にある天体が、吉星が助っ人として入ることで、思ったよりも悪い影響を受けずに済む状態が、インターヴェンションです。
インターヴィーン(intervene)という言葉は、「干渉」や「介入」という意味を持ち、この場合では、「助け出す」という意味合いで使われます。
更に、凶星のどちらか、もしくは両方とものエッセンシャル・ディグニティが比較的弱く、吉星のエッセンシャル・ディグニティが勝る場合、手助けが入りやすく、突破口を得やすい状況が作られるでしょう。
反対に、吉星のエッセンシャル・ディグニティが弱く、凶星に太刀打ちできない状態であれば、状況を甘んじて受け入れ、嵐が過ぎ去るまで耐えながら、その時々にできる対策を講じるしかありません。
要するに、天体の状態(強弱)は、地上に対するダイレクトな影響力以上に、天体同士の関係性において、決定的な要素となり得るのです。
もちろんホロスコープが昼か夜か、3つの天体の場所(ハウスに、2つの天体の状態(強弱)と、挟まれる天体の状態(強弱)にもよりますが、包囲される天体が、前と後ろの両方向から影響を受ける状態を知っておくことは、大変有益といえるでしょう。
ネイタルチャートでは特に、特定の天体が「傷つけられる(アフリクト)」されたり、ホロスコープ上で強い状態にあるにも関わらず、本来の力(機能・影響力)を発揮できない原因を知る上で、天体の位置や関係性は非常に重要となります。
またトランジットでは、短期的・長期的な天体の働きの変化を知る上でも、天体の「距離間」(角度)は、地上に与える影響をより細かく分析することが重要となり、何より、明確な占断を下す際には、やはり天体がホロスコープ上でどのような立場(役割)を果たしているのかを明確にする必要があるのです。
ストライキング・ウィズ・ア・レイは、追いかける側が罠に引っかかるようなイメージなのですが、昼のチャートの場合、昼の天体は強さを増し、夜の天体は強さが鎮まります。
追いかける側の天体が有利であることが基本ですが、セクトとエッセンシャル・ディグニティによって、迎え撃つ(追いかけられる)立場が返り討ちできる強さを得ている状態が、ストライキング・ウィズ・ア・レイということです。
次に、天体同士の特殊な関係性や、天体が他の天体にする働きかけに関する用語をご紹介します。
- アンティション(antiscion)/アンティシア(antiscia):「影を投げかける」という意味合いを持つ、天体の星座(サイン)同士の位置で、アスペクトは持たなくとも、天体同士が良好な関係・連絡が取りやすくなる位置関係を指す
- コントラ・アンティション(contra-antiscion):アンティション/アンティシアとは逆に、天体同士が困難・不穏な関係性を持つ位置関係を示す
- アルムーテン(Almuten):「勝利者」や「本質的に強い」という意味で、エッセンシャル・ディグニティが最も強い状態の天体を指す
- ディスポジター(dispositor):「責任を持つ」や「使役する」という意味で、ある天体が在住している場所に対して、エッセンシャル・ディグニティを持つ天体を指す
⇒ ディスポジターとなる天体は、ドミサイルを指すことがほとんどではあるが、場合によっては、イグザルテーション/エグザルテーション、トリプリシティ、ターム、フェースなどのディグニティを獲得している天体を指すこともある - ディスポーズ(dispose)/レシーヴ(receive):歓迎するという意味で、1つ天体が在住する場所に対してディグニティを持つ天体が、その天体を歓迎する際に用いる用語
- レセプション(reception):天体同士が星座(サイン)を通してもてなす側ともてなされる側の関係性
⇒ お互いに光(影響力)をレシーヴし合う、もしくは、一方がレシーヴしている状態を指す - ミューチュアル・レセプション(mutual reception):最上のレセプションを意味し、互いに助け合う関係性を指す
アスペクトについては未だ解説していませんが、アンティション/アンティシアは、コンジャンクションやアスペクトを抜きに、陰でコソコソと連絡を取り合うことができる位置関係です。
以下が、6組のアンティション/アンティシアの位置関係です。
- 牡羊座 ⇔ 乙女座
- 牡牛座 ⇔ 獅子座
- 双子座 ⇔ 蟹 座
- 天秤座 ⇔ 魚 座
- 蠍 座 ⇔ 水瓶座
- 射手座 ⇔ 山羊座
これら6組の星座(サイン)に位置する2つの天体は、アスペクトは持たないにも関わらず、天体が位置する星座(サイン)が鏡像のような関係性を持つことで、互いが120度(トライン)や60度(セクスタイル)のような良好な関係性であるとされています。
アンティション/アンティシアは、夏至と冬至・蟹座0度と山羊座0度を軸に、左半球と右半球を鏡合わせにし、上記の星座(サイン)のような対称的な位置にある2つの天体を指します。
これは、太陽の光がそれぞれ6つの地点で同じ量になる(昼の時間が同じなる)ことを意味する、天体同士の特別な位置関係(相対関係)です。
太陽という存在が、どれだけホロスコープ全体に影響力があるかが分かりますね!
反対に、南半球と北半球で鏡像の関係性を持つ、コントラ・アンティションは牡羊座0度と天秤座0度を軸に、対称的な位置にある2つの天体の関係性を指します。
以下が、コントラ・アンティションとなる星座(サイン)の組み合わせです。
- 牡羊座 ⇔ 魚座
- 牡牛座 ⇔ 水瓶座
- 双子座 ⇔ 山羊座
- 蟹 座 ⇔ 射手座
- 獅子座 ⇔ 蠍 座
- 乙女座 ⇔ 天秤座
コントラ・アンティションにある2つの天体は、アンティション/アンティシアとは逆に、180度(オポジション)や90度(スクエア)のアスペクトのような象意・関係性を持つとされています。
アンティション/アンティシアとコントラ・アンティションは、直接的・表面的なやり取りではなく、当事者同士だけが分かるコミュニケーションの取り方で、他者や社会に訴えかけるような関係性や働きかけはされません。
アスペクトではない、星座(サイン)を通しての天体同士のやり取りは、太陽の光を基準にし、限定的な時間の配置によって決まることが肝心です。
アルムーテンは、まず、昼か夜かのチャートで天体が得るエッセンシャル・ディグニティが異なり、エッセンシャル・ディグニティの点数(影響力)が高い天体を指します。
ホロスコープ上で、全7天体のエッセンシャル・ディグニティの中で、最も高い機能(影響力)を発揮できる状態にある天体が、勝利者(アルムーテン)と称されるのです。
ディスポジターは、天体が星座(サイン)を支配する役割を指しますが、ホロスコープ上で、他の天体が自分の支配する領地を出入りし、星座(サイン)を通して、他の天体と連絡手段を得ることための前提といえるでしょう。
現代占星術では、2つの天体が、それぞれが支配する星座(サイン)に在住する「星座交換」の状態にあることを、ミューチュアル・レセプションと呼んでいます。
ただ、これは星座(サイン)同士の貸し借りのようなニュアンスに留まっていますので、セクトやエッセンシャル・ディグニティの影響を考慮し、天体同士が歓迎し合っている(助け合っている)のか、それともエッセンシャル・ディグニティによって、一方だけが歓迎しているのかをハッキリさせることが重要です。
なぜなら、伝統占星術における天体の存在(影響力)は、ホロスコープと当事者に明らかな影響力を持ち、その天体がどのような背景(星座/サイン)から、どの場所(ハウス)に、エネルギーを注いでいるかを知ることが非常に重要だからです。
後の講座で解説するアスペクトについてですが、アスペクトとは、「天体の連絡の取りやすさの強弱」を表します。
星座(サイン)は時間的に切り分けられた区分(領域)で、ハウスは空間的に切り分けられた区分(領域)という違いがあります。
天体同士のアスペクトは、空間的な位置によって決まり、時間の推移によって変化します。
そのため天体自体にオーヴが持たされていることで、アスペクトの規則性が崩れることは極力なくなり、逆に、アスペクト自体にオーヴを持たせてしまうと、天体特有の影響力が及ぶ範囲が失われてしまうのです。
以上が、アスペクトの解説に移る前に必要と思われる用語でした。
次の講座の伝統占星術におけるアスペクトの解説でも、アスペクトに関する用語をご紹介しますので、天体の影響力や働き、星座(サイン)やハウスに設けられた基準などを総合し、ホロスコープリーディングにお役立てください。
天体によって運命を知ることは、人生を拓くことになる
今回の講座は、天体が持つ影響力を主題として、天体同士の繋がりと、繋がり方に関する用語を紹介するに加え、運命や運、自由意志などについても触れたため、改めて「人生とは?」や「運命とは?」といった事柄に意識を向ける機会になったのではないでしょうか?
ところで、自由意志はあるのかについて行った「受動意識仮説」という実験があるのですが、ご存じでしょうか?
「受動意識」とは、私たちが自分の意志で決めたと思っていることが、実は自分の意志ではない、外部の何らかの働きかけ(クオリア)によって、私たちは意思決定を再現し、実際に行動する過程で、脳が行動と結果の擦り合わせを自動的に行っている、ということが実験で分かり、「自由意志は存在しない」という驚愕と反抗心を抱かせる仮説が発表されました。
これはどこか、今回の講座でお伝えした「運命」や「運」に通じるお話(仮説・概念)ではないでしょうか。
ちなみに、お釈迦様は、運命論や決定論を否定し、自らの意志で物事を成就させようと努力・研鑽することを唱えましたが、現在、私たちは外部からの多過ぎる情報や、他者との不健全な距離間、過剰なまでの影響力に晒され、どこまでを自分の意志で決めているのかについては、疑問と葛藤を抱かずにはいられません。
今回の講座でお伝えしたかったことは、真に「自己理解」を深めようとする時、主観(エゴ・信念の再現)は邪魔になる、ということでした。
このことが、本講座で伝統占星術を取り上げた大きな要因なのですが、私たちは主観によって現実を創り出す一方で、主観によって自滅したり、周囲を傷つけたりする側面があることが、筆者が長年考えてきた「課題」だったのです。
「課題」であって、「問題」ではない、というところが落としどころなのですが、それは、筆者が「納得いく日が来るだろう」という意味で課題としたならば、深刻に考え込み、悩みこまずに済みます。
ですがひとたび、「世界の重圧を感じる」かのように、この事を問題としたならば、筆者は出口のない迷路を彷徨い続けることになるでしょう。
なぜ「筆者」という名詞を使っているか、なのですが、これは客観的に自分を見るためであり、読者のみなさまと同じ目線を持とうとするからです。
実際のところ、この講座を執筆できるのは筆者だけなのですが、占星術は何千年も続いているわけですから、筆者が「私」である必要が無い、という主観を薄めるような表現をしています。
あらゆる物事や事柄のエッセンスを繋ぎ合わせながら、伝統占星術の解説をしていますので、伝統占星術の正しさを証明するようには表現・執筆はしていないことをご理解いただけますと幸いです。
筆者自身も、伝統占星術に触れながら、人生や運命について考えることになりましたが、読者の皆様はいかがでしょうか?
念のために申し上げますが、決して「エゴ」は害でも敵視すべき対象ではありません。
ただ、私たちの主体・実体といえる存在は、思考や感情そのものでも、生涯をかけて作り上げてきたエゴという「虚像」ではありません。
虚像と聞くと、エゴがまるで悪者・虚しい存在に聞こえますが、エゴや自我というものは、私たちがこの世に生まれ、何も分からないまま、必死で生きてきてくれたかけがえのない存在です。
ですがその存在は、見たいものを見るだけ、知っていることしか実行できない、自分の信念や正義、経験則以外の情報は拒否・拒絶する傾向が強い、安全志向で、ホメオスタシス(恒常性)に忠実に従う、不安定な存在であることを、私たちは気づいてはいますが、そこまで真剣に取り合ってはいません。
なぜなら、私たちがエゴ・自我と一体化してしまっているからです。
その一体化を解除し、ありのままに自分自身や他者、現実や人生、そして世界を見ようとする方法は多くありますが、その中に占星術も含まれます。
親が子に対して、「大切だからちゃんと叱る」ように、私たちも、自分自身の人生に責任を持つことと同じように、自分の中で育ったエゴを飼い慣らす必要があります。
思考や感情が「煩悩」と呼ばれるように、脳内や心の中で自動的にループ状態で湧き続けますが、実際的・現実的な力を持つことはありません。
私たちがエゴと一体化し、閉じられたループ(円環)の中に意識を閉じ超えている限り、私たちは過去の経験を再現し続けるでしょう。
ですが、そのような繰り返しの人生や日常生活から抜け出したい、と願っている自分の本音にも、私たちは気づいています。
そのループから抜け出すタイミングさえも、運命によって定められているとしても、そうでなかったとしても、実際に自分自身を自由にし、解放するのは、私たち自身です。
もうしばらくは伝統占星術についての講座が続きますが、これまで抱えていた疑問に対する答えに繋がるアイディアや表現が見つかったり、逆に、新たに疑問や向学心が芽生えたとしたら、より一層学びを深めていくキッカケをお渡しできているといえるかもしれません。
今回の講座は、天体が持つ影響力という原点でありながら、実は深く理解していなかった部分を、再度振り返る機会になるように、という思いで執筆させていただきました。
是非、次回の講座もお楽しみください!
それでは今回も最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました!
次の講座「伝統占星術におけるアスペクト解説!アスペクトは天体を主体に考える!」でお会いしましょう!
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