「初心者が最初に巡り会いたい『深楽しい』西洋占星術講座に」ようこそ!
復習になりますが、ホロスコープは、「特定の瞬間の宇宙の時空間」を切り取り、平面に描写したものです。
これを「魂のブループリント(青写真)」と読んだり、宇宙からのメッセージと受け取ることができます。
ホロスコープを読み解く上で重要となるものは、これまで解説してきました、惑星 / 小惑星・星座とハウスです。
これまで黄道12星座と天体、小惑星、その他感受点を解説させていただきました。
今回の講座は、「ハウスシステム」について解説させていただきます。
なぜホロスコープリーディングに重要な要素である、ハウスの講座を先延ばしにしてきたかといいますと、あなたの意識を精神性から物質性の方向に促すためでした。
これまでの講座で、物質性(現実)は、精神性によって成り立っている、とお伝えしてきましたね。
先に抽象的な概念に触れておくことで、具体的で実際的な現象に対して免疫ができ、ホロスコープリーディングを深めやすくなるはずです。
ハウスシステムは黄道12星座と同様、12つあり、私たちの物質的成長と繁栄を表します。
ハウスシステムは慣れるまで、また理解するまで時間と手間が必要かもしれません。
そのため第1ハウス(室)以降の解説の前に、1度ハウスシステム全般について解説させていただきますね!
大昔のホロスコープでは、ハウスは右回りだった、という説がありますが、この西洋占星術講座では、現在の左回りのシステムに準じて解説させていただきます。
ハウスを知ることは、「与えられた今、この人生」を読み解くための、「現場的」な指標となります。
何事も順序を踏まえ、起点から始め、何度も行ったり来たりしては、また原点に戻ることで、理解は深まるものです。
是非ホロスコープの重要な要素である、ハウスシステムを活用して、あなたのホロスコープリーディングにお役立てください。
それでは、今回も最後までお付き合いくださいね!
【概略】ハウスとは
占星術・ホロスコープ自体、人間が作った「人為的な概念体系」です。
とりわけハウスは人為的な側面が強く働きます。
というのも、私たちは時間と空間という「枠組み」に沿って考え、また目の前の現象に対しても、枠組みによって、原因と結果、改善策や解決策を導き出すことができるからです。
また枠組みは、ある意味、「制約・制限」を意味し、私たちは境界線を持つことで、自分自身と他者との違いを見出そうとします。
この「違い」や「ギャップ」によって、私たちは「今この場所、この瞬間」から変化していく意識を持ち、思考と感情が働かせている、といってもいいでしょう。
12ハウスは、アセンダント(ASC/AC)を起点として、黄道を12分割し、人間の成長過程や物質的繁栄の順序を表したものです。
12ハウスはそれぞれ、物質世界(人生)を生きる上で体験することとなる、「テーマ」が振り分けられています。
「テーマ」とは、時間の経過と身体的な成長とともに直面する「分野」や「課題」です。
星座とハウスは、精神性と物質性の関係にありますので、星座は抽象的・内面的な事柄を表し、ハウスは具体的。現実的な事柄を表します。
星座が傾向や特徴、特長を表すなら、ハウスは具体的な行動と結果、そして変化の過程(プロセス)を教えてくれるわけです。
この世において、時間は可逆的(巻き戻すことができず、常に前に進む)ですので、ハウスが示すテーマ(分野・課題)は、「必修科目」ともいえるでしょう。
あなたのホロスコープで強調されているハウスがあるならば、星座と同様に、生涯に渡って重要な意味を持っていることが多く、逃げても、結局は取り組むことになります。
「このことを学ぶために生まれてきた」というような「納得感」が沸くまで、「運命」や「宿命」という言葉がちらつくことがあるかもしれません。
運命や宿命さえも内包するものがあるとすれば、それこそがあなたの内面に宿っている「意志」。
その意志が、これまでの講座で繰り返しお伝えしてきた、「太陽の輝き」であり、生命力ということです。
私たち人間は、野生生物よりも成長がゆっくりである反面、思考と感情、意志が育つことによって、多くの物事を成し遂げることができます。
占星術は、生きとし生けるものすべてに働く真理を解き明かそうとする学問ですが、実際に活用できるのは、意識を使うことができる人間だけなのです。
ホロスコープの内側の円にハウスが描かれていますね。
ホロスコープを平面ではなく、立体的に見るために、ハウスを「螺旋階段」のように捉えてみてください。
ハウスの段階は、第1ハウス(室)から反時計回り(左回り)に周り、いつかは第12ハウス(室)に到着しますが、生まれた時とは全く違う景色が待っているでしょう。
これは内的な見方であり、自己理解と自己発見を深めるためのイメージトレーニングになりますので、是非想像力を働かせていきましょう!
ハウスシステム
ハウスは、物質的な整合性を取るために、長い年月をかけて練られたシステムです。
出生時間と出生場所に基づいて、ホロスコープを出すわけですが、よくよく考えると、個人の小宇宙を物質化するということは、大変な偉業といえます。
繰り返しになりますが、ハウスシステムは概念上の区分けです。
星座の講座で、宇宙は数字で表現することができる、ということをお伝えしました。
数秘術によれば、宇宙は1~9の数字の後、10(1)、11(2)、12(3)を経ることで、生命の循環(サイクル)を表す、と。
これはハウスシステムにも適用されます。
ハウスは、第1~6ハウス(室)を個人の領域、第7~12ハウス(室)に大別され、実質第10ハウス(室)で、物質的な頂点を極める、という流れを持っているのです。
第11ハウス(室)は、公と私が混同している段階で、次の第12ハウス(室)では、物質的な欲や執着から解放された、精神的な世界を表します。
これは山羊座以降の、水瓶座と魚座にて、精神性が一変する流れと同じです。
ハウスシステムの特徴を以下にまとめましたので、参考にしてください。
- ハウスは、12段階の人間の成長の流れを表す
- ハウスは、第1ハウス(室) = アセンダント(ASC/AC)から始まり、第12ハウス(室)までの螺旋階段のような流れを汲む
- ハウスは、4つの点星点と組み合わされることで、人生において重要なテーマを教える
- ハウスは、第1~6ハウス(室)までの北半球を個人の成長、第7~12ハウス(室)までの南半球で大別され、意識(魂)の流れが社会性を経て、全体性へと向かっていることを示す
- ハウスは、物質性の目覚めから、精神性への目覚めへと意識が進化する過程を表す
- ハウスは、出生情報により、幅(ハウスの広さ)が異なる
- ハウスの始まりは、ハウスカスプと呼ばれ、ハウスカスプに位置する星座が重要視される
- ハウスに位置する天体・感受点は、そのハウスのテーマに取り組むべくエネルギーを供給する
- 12星座は、それぞれ自分の居場所としてのハウスを持ち、そのハウスを「ナチュラルハウス」と呼ぶ
- ハウスは、3つのハウスグループに分けられる
- 1つのハウスに、星座が丸々収まっている状態を、「インターセプト」と呼ぶ
- ハウスは、向かい合うハウスと同じ仕組みを持ち、表と裏、主体と客体といった対極性を持っている
ハウスにおける影響力
12ハウスに対して、不揃いながら、12星座すべてが対応しますので、星座は、ハウスに対して、間接的に影響力を持っています。
外円の星座が、内円のハウスに影響を与える、というベクトルの向きともいえるでしょうか。
ですが力関係・力学的には、天体の方が、星座よりもハウスに大きな影響力を与えます。
これは概念的な話になりますが、天体が星座を支配し、星座がハウスを整備する、という関係性です。
3つのグループ
12ハウスは、3つのグループに分けられます。
3つのグループに分かれるからといって、アスペクトのようにトライアングルを組むわけではありませんが、グループは同じ性質を持つ、ということです。
これらの役割は、天体がハウスに入ることで発動し、そのグループ(ハウス)に与えられている役割が大きくなりますので、チェックしておいてくださいね!
3つのグループのハウスの内訳は、以下の通りです。
- アングル:第1・4・7・10ハウス(室)
アングルの3つのハウスに入る天体は、
「物事や成長、変化の流れの起点となる星」と定義されます。 - サクシデント:第2・5・8・11ハウス(室)
サクシデントの3つのハウスに入る天体は、
「安定的・継続的な働き、現実的な変化や影響を見せる星」と定義されます。 - カデント:第3・6・9・12ハウス(室)
カデントの3つのハウスに入る天体は、
「精神的・献身的な働きをし、他者のために働きかける星」と定義されます。
星座が、活動宮・不動(固着)宮・柔軟宮の3つの区分とは意味合いは異なるものの、ハウスにも区分として、トリプルリシティの原理があるといえるでしょう。
重要な点は、天体が特定のハウスに入ることで、アングル・サクシデント・カデントのどれかの役割を担い、現実的・実際的な行動を促すことです。
それぞれのハウスが持っているテーマを知ることで、このトライアングル(トリプルリシティ)の原理が分かっていくと思います。
少しずつでいいですので、それぞれのハウスの特徴を掴んでいってくださいね。
ポラリティ
ポラリティとは、「1つの物に正反対・相反する性質が、場所を変えて存在している状態」を意味します。
これこそ、これまで何度もお伝えしてきた、二元性・極性の原理です。
ハウスシステムは、星座の対極性と同様に、「主体(私)」と「客体(他者)」のテーマを分けて、それぞれ学びを深めていくように設計されています。
これは第1~6ハウス(室)と第7~12ハウス(室)が鏡合わせになっている、という風に理解していただければ問題ありません。
向かい合うサインやハウスは、同じ仕組みや役割を持っていて、私たちに立場や場所、環境を変えて、同じテーマを学ばせるのです。
「私」に起こることは、「あなた」にも起こる。
ハウスと星座のシステムには、この自然の摂理が組み込まれている、ということですね。
ハウスカスプという境界線
ハウスの始まりを「ハウスカスプ」と呼びます。
「何事も始まりが肝心」ですので、ハウスのテーマを読み解く上で、ハウスカスプがどの星座の度数にあるか、を知ることは非常に重要です。
あまり一般的な表現ではないかもしれませんが、「始まり(起点)」には、莫大なパワーが宿ります。
「原因と結果」がセットで語られるように、原因が無ければ、過程(プロセス)も結果も存在し得ません。
ですからハウスの定義において、「始まり」という境界線であるハウスカスプは、大変重要なのです。
カスプ(Cusp)という言葉は、「先端」を意味し、占星術においては「境界線」という意味で使われます。
それぞれのハウスカスプに対応する星座は、その星座の特徴や性質によって、物質面と精神面の成長と変化の擦り合わせを行う、という風に捉えてください。
これまでの講座で、実は既に別の表現で、ハウスカスプを解説させていただいています。
それは、アセンダント(ASC/AC)・IC・ディセンダント(DSC/DC)・MCの4つの点星点です。
これらは別名「アングル」と呼ぶと同時に、ハウスカスプでもあります。
少々占星術用語が飛び交い、混乱してしまうかもしれませんが、次第になれていきますので、ご安心ください。
ホロスコープのハウスカスプ表で、第1~12ハウス(室)のハウスカスプに対応している星座のうち、連続している星座・抜けている星座はありませんか?
ハウスは星座と違い、30度の度数に縛られず、必ずしも星座と一致しません。
ハウスという内側の円と、星座という外側の円が、天体の通り道を作り、外壁と屋内の内装が異なる、という表現ができます。
ハウスカスプに対応する星座は、その星座の度数の力(エネルギー)によって、ハウスのテーマに取り組む、と考えてください。
何事にも「枠」や「境界線」があることで、何が、どこから始まり、どこまで続くのか、ということが分かります。
ホロスコープの度数は、時間と空間の目印であり、変化と過程(プロセス)の目盛です。
ハウスカスプを知ることは、そのハウスのテーマに対して、対応する星座の状態・環境を知ることであり、何をどのように体験するのかを教えてくれます。
インターセプト(狭在星座:きょうざい星座)
「1つの星座が、まるまる1つのハウスに収まっていること」を、占星術用語で「インターセプトしている」といいます。
インターセプト(intercept)という言葉は、「妨害」や「阻止」という意味です。
占星術的に意訳すると、インターセプトしている星座(ハウスカスプを持たない星座)の性質は弱まる、となります。
ここで注意点ですが、「弱まる(弱い)こと」は、「悪いこと」や「不運」を表しません。
もちろん物事には両面性・裏表がありますから、その星座の星座が活かされないことで、起こり得る出来事は異なります。
ただその出来事に対する解釈は、私たち次第であることを覚えておいてください。
ハウスは、星座のように、30度の均一のスペースを持ちません。
そのためホロスコープによっては、1つのハウスの幅(領域)が狭かったり、広かったりします。
12ハウスは円を作っていますので、どこかのハウスが広ければ、どこかのハウスが狭くなる、ということが同時に起こるのです。
先ほど解説したポラリティの働きにより、1つのハウスに星座がインターセプトしていると、対向のハウスにも星座がインターセプトします。
先ほどハウスカスプの説明をしましたが、星座がインターセプトすると、その星座はハウスカスプを持たないことになりますね。
インターセプトしている星座の前後の星座が、ハウスカスプとなるからです。
インターセプトの星座は、始まりと終わり(ハウスカスプ)を他の星座に明け渡しているため、ハウスのテーマを体験する中で、なかなかその星座らしさが発揮されないのですね。
ハウスにインターセプトしている星座が持つ意味は、「時間をかけて学ぶ」です。
なぜならハウスカスプ(始まり)を持たない星座は、前の星座に「始まり」を取られているから。
そういう意味で、「ハウスのテーマを体験する際に、星座の影響力が弱まる」という表現をすることもできます。
そしてインターセプトの星座にある天体の力は、ストレートに発揮されない、とされていますので、ハウスと星座の関係性は、十分に検証する必要があるのでしょう。
広域星座
インターセプトの星座(狭在星座)の逆の星座のことを、「広域星座」と呼びます。
どのような状態かといいますと、「1つの星座が、2つのハウスにまたがっている状態」です。
つまり広域星座は、「2つのハウスカスプ(始まり)を持っている」ということなります。
インターセプトの星座は、前の星座のカラー(性質)を引き継がなければなりません。
それに対して広域星座は、2つのハウスを通して、同じカラーやスタンスを続けるため、広域星座の特徴や性質が色濃く出ることになります。
広域星座は、その名の通り「広い範囲で影響を及ぼす星座」ですから、人生においてその星座の特色が出る、ということですね。
インターセプトの星座と同様に、広域星座は対向のハウスにも適応されます。
ハウスカスプ表とともに、ホロスコープ上で、星座がどのようにハウスと重なっているかをチェックしてください。
ハウスカスプが重要な理由は、星座が持つハウスへの影響力にも表れているのですね。
ハウスシステムを理解する上で、最初はハウスカスプと、ハウスと星座の関係性につまずいてしまうかもしれませんが、少しずつ理解を進めていってください。
それではもう一度、ハウスカスプとインターセプトの星座、広域星座についてまとめますね。
- ハウスカスプは「始まり」・「初動」・「境界線」を意味する
- ハウスカスプの星座は、ハウスのテーマの体験に対するスタンス(性質)を意味する
- ハウスカスプの星座は、連続することがある(均等に12星座が振り分けられない)
- インターセプトの星座(狭在星座)は、ハウスカスプを持たない
- インターセプトの星座(狭在星座)は、対応するハウスにおいて、前の星座の影響を受け継ぐため、比較的影響力が小さくなる
- インターセプトの星座(狭在星座)は、その星座の力を発揮するために時間がかかる
- インターセプトの星座(狭在星座)にある天体は、ストレートに力を発揮できない
- 広域星座は、ハウスカスプを2つ持つ
- 広域星座は、12ハウスの流れ(ホロスコープ)を通して、大きな影響力を持つ
ハウスが示す成長段階
ハウスは、第1ハウス(室)であるアセンダント(ASC/AC)から始まり、左周りに成長の体験を進めていくように設計されています。
アセンダント(ASC/AC)は、生命が物質に宿り、物質性が始まった瞬間であり、生命の日の出です。
12星座の成長物語は、男性性と女性性の学びを交互に繰り返し、物質性を極めていくのに対し、ハウスの成長は、一貫して物質的な結果に表される、という対比があります。
ハウスが進むにつれ、私たちは行動範囲を広げるとともに、他者や社会との関わり、また年齢的・社会的に相応する課題を与えられていく、それが物質的な現実。
ハウスの物質的な成長・変化の物語(段階)は、「普遍的」で、誰もが通る体験ですので、共有がされやすいことが多いでしょう。
出くわすテーマ・課題に対して、どのように振る舞い、どのような行動パターンを持ち、精神構造を持つのか、ということを、天体・星座・ハウスで読み解くことになります。
以下に、12ハウスの成長段階の4つの要素をまとめました。
【ホロスコープを縦と横に分割する】
- 第1~6ハウス(室):私生活、プライベートの充実、個人の満足感
= アセンダント(ASC/AC)からディセンダント(DSC/DC)の軸・北半球 - 第7~12ハウス(室):社会生活、社会貢献、社会的成功と豊かさの実現(挑戦)
= アセンダント(ASC/AC)からディセンダント(DSC/DC)の軸・南半球 - 第10~3ハウス(室):自発的、選択と決定権を持っている、他者に働きかける意識
= ICからMCの軸・東半球 - 第4~9ハウス(室):受動的、他者との関わり、自分1人では決められない状況
= ICからMCの軸・西半球
ホロスコープの区分を知ることで、12ハウスが示す成長の段階が分かります。
物質的な成長・変化は、精神的な成長・変化と同じ原理で働き、私たちは人生経験を通して、物質性と精神性の認識と自覚を獲得するのです。
この経験的な認識や自覚は、すべて「私」という意識に還元されます。
どういうことかと言いますと、私たちはどんなに頑張っても、自分の身体から出ることはできませんし、心を誰かに明け渡すこともできません。
「私」という意識を知り、他者に知ってもらい、社会に見せるなどして、私たちは「自分」という存在を知っていくことが、人生であり、意識の変化・成長・進化です。
私たちは幼い頃から「自己表現」と「自己実現」を試み、他者に評価・認知してもらうことで、内的な自覚と、客観的な認識を合わせることで、「自分像」を確立させていきます。
これはまるで、心理学で有名な「ジョハリの窓」ですね。
- 自分だけが認識している「私」
- 自分も他者も認識している「私」
- 他者だけが認識している「私」
- 誰も知らない「私」
ホロスコープや心は、決して平面(2次元)の世界ではありません。
それをよく表しているのが、陰陽説の「太極図」です。
- 陽気:主体性・自発性、自分から働きかける純粋な要素
- 陰気:受容性・消極性、他者・外部からの働きかけに応じる要素
- 陰中陽:主体・自意識に他者を受け入れ、感情を体験させる要素
- 陽中陰:客体・他者の意識に自分自身を見出し、感情を体験させる要素
上記の4つの要素は、「私」と「あなた」の関係性を分かりやすくするために、簡略化して表現しました。
私たちは自分自身にとって日向の部分しか認識することができず、他者を通して、自分自身の日陰の部分を確認し、他者にも対しても同じ役割を果たす、ということです。
「陽(陰)が極まれば陰(陽)に転ずる」という変化は、自分に対する他者、また他者に対する自分が存在することで体験されます。
ホロスコープのハウスは、こういった体験を、12つのハウスに分けて、私たちに段階的に体験させている、という風に解釈してください。
それぞれのハウスのテーマについては、次回の講座から詳しく解説させていただきますね!
ハウスの種類
ホロスコープは出生情報に基づいて算出されますが、複数の方式があり、同じ出生情報でも、方式によっては、ハウスが大きく異なってホロスコープが作られます。
結論から言いますと、ホロスコープ作成時に選択すべきハウス方式は、「プラシーダス方式」です。
近年では、プラシーダス方式と併用して、「コッホ方式」を使う人も多いそうですが、最初の内は、一般的に普及しているプラシーダス方式を使うことをおススメします。
ホロスコープリーディングにある程度慣れてきたら、複数の方式を使い、色んな角度からご自分のホロスコープを読み解いてみましょう。
ハウスの種類は沢山ありますが、この講座では、主に以下の6つの方式をご紹介します。
【プラシーダス方式】
- 日本で標準的に使われる方式です。
- 時間によってハウスを分割します。
- 高緯度の地方では、日照時間が極端になり、ハウスが歪になることが弱点です。
【コッホ方式】
- プラシーダス方式の弱点を補うとされる方式です。
- 天空を時間で等分して分割します、
- 北緯40度を超える出生地の場合に推奨される方式です。
*プラシーダス方式とコッホ方式は、4つの点星点によって4分割したエリア(空間)を、時間を基準にして、更に3分割することで、12ハウスに分ける手法とされています。
【イコールハウス方式】
- アセンダント(ASC/AC)を起点とし、すべてのハウスを30度ずつに分ける方式です。
- 占星術の初心者向けとされています。
- 第10ハウス(室)のカスプがMCにならない、という弱点があります。
【ホールサインハウス方式】
- アセンダント(ASC/AC)の星座を、第1ハウス(室)のハウスカスプ(起点)とする方式です。
= 星座の度数をそのまま採用せず、その星座を0度と考えます(切り替えます)。 - 自然現象に沿ってホロスコープを作ろうとする態度が見受けられます。
- インド占星術では、現在でもホールサインハウス方式を採用しています。
【ソーラーサイン・ハウスシステム】
- 太陽が位置する星座をアセンダント(ASC/AC)と定める方式です。
- 12ハウスを30度で区切り、全ての星座がハウスカスプを持ちます。
- 短期的・トランジットのリーディングに推奨されています。
【ソーラーハウス 】
- 太陽の星座の度数を、アセンダント(ASC/AC)と定める方式です。
- 正確な出生時間が分からない時に採用されることが多いようです。
- 太陽を主軸に置き、主体的な人生の流れを見る時に用いられます。
*ソーラーとは太陽のことで、アセンダント(ASC/AC)という日の出の瞬間ではなく、太陽そのものに焦点を当てる方式が、ソーラーサイン・ハウスシステムとソーラーハウスです。
以上、複数の方式をご紹介しましたが、何を重要視し、どこに起点を置くかで、ホロスコープの状態が様変わりすることが分かりいただけたでしょうか?
どの方式を使っても、「絶対的な答え」を導き出すことはできません。
ホロスコープ自体、人為的な設計図です。
多角的に人生を捉えるという意味では、色んな方式を試し、目的や条件によって方式を変えてみると、違った景色が見えてくるでしょう。
ただ手始めとして、プラシーダス方式でホロスコープリーディングをすることをおススメします。
次第に慣れてきたら、コッホ方式、その他の方式を試してください。
そして「龍頭図(天のチャート)」も活用することをおススメします。
龍頭図については、ハウスの講座の後に解説させていただきますので、楽しみにしていてくださいね!
ハウスのナチュラルサイン
天体・星座・ハウスの3つの要素は、それぞれ糸で編まれるタペストリーのように、直接的・間接的な繋がりを持っています。
天体は支配星として、星座と繋がり、星座はハウスと繋がり、天体のエネルギーを供給する、といった具合です。
天体が直接的に支配する星座、また、星座が対応し、間接的に天体が支配するハウスとの繋がりを見出すことで、よりホロスコープの中で起こっている繋がりが見えてくるでしょう。
ホロスコープは360度の宇宙空間です。
天体は動き回り、星座とハウスは部屋や領域と考えると、天体が現実にもたらす影響を無視することはできませんね。
12ハウスと12星座は、それぞれの世界観や特徴が重なっていますので、ハウスが対応する星座は、「ナチュラルサイン」と呼ばれます。
以下に、ハウスのナチュラルサインと支配星の関係性をまとめました。
- 第1ハウス(室)のナチュラルサイン = 牡羊座:支配星 = 火星
- 第2ハウス(室)のナチュラルサイン = 牡牛座:支配星 = 金星
- 第3ハウス(室)のナチュラルサイン = 双子座:支配星 = 水星
- 第4ハウス(室)のナチュラルサイン = 蟹座:支配星 = 月
- 第5ハウス(室)のナチュラルサイン = 獅子座:支配星 = 太陽
- 第6ハウス(室)のナチュラルサイン = 乙女座:支配星 = 水星
- 第7ハウス(室)のナチュラルサイン = 天秤座:支配星 = 金星
- 第8ハウス(室)のナチュラルサイン = 蠍座:支配星 = 冥王星
- 第9ハウス(室)のナチュラルサイン = 射手座:支配星 = 木星
- 第10ハウス(室)のナチュラルサイン = 山羊座:支配星 = 土星
- 第11ハウス(室)のナチュラルサイン = 水瓶座:支配星 = 天王星
- 第12ハウス(室)のナチュラルサイン = 魚座:支配星 = 海王星
天体が無いハウス(室)の解釈
天体の数は限られますから、天体が無いハウス(室)があっても不思議ではありません。
天体が集中しているハウスは、それだけ課題を体験する必要があるということになりますので、天体が無いことで、それほど大きな課題は待ち受けていない、と考えられます。
天体は星座よりも強い影響力を持ちますが、天体が無い場合のハウスは、以下の要素を参考にしてください。
- ハウスカスプの星座の範囲
ハウスの中に天体が無くても、ハウスに対応する星座が広域星座であれば、ハウスカスプの星座はもちろん、その星座の支配星の状態(影響力)を探ってください。 - 天体が無いハウスのナチュラルサイン
ハウスと対応しているナチュラルサインを辿り、その星座に天体が無いか探してください。
またその星座の支配星が位置する星座や、その天体と感受点との関係性、他の天体とのアスペクトを探ってみましょう。 - 天体が無いハウスとチャートルーラー
天体が無いハウスのナチュラルサインの支配星が、チャートルーラーである場合、更に深くその天体を読む必要があります。 - その他の感受点の影響を検討する
天体だけでなく、その他の感受点がハウスに入っていないかを探ってください。
・ノード軸(ドラゴンヘッド / テイル)
・バーテックス・アンチバーテックス
・パート・オブ・フォーチュン / スピリット / フェイタリティ - 対向のハウス
ポラリティを働きを考えると、天体の無いハウスの向かいのハウスの状態も探ってみましょう。
また対向のハウスのハウスカスプの星座と、その支配星が持つ状況などを考えて、「補完」や「休息」、「強み」などの意味が無いかを考えてみてください。
1つのホロスコープに対して、すべての人が同じ答えを見出すことはありません。
それは「観測者」が持つ意識、概念、経験値など、すべてが異なるからです。
この「違い」とは何かと言いますと、個性であることは間違いないのですが、それ以上に「可能性」を秘めている、という見方をすることができます。
天体が入っていないハウスは、直接的な天体の影響力が無かったり、他のハウスのテーマが強調されていたりと、様々な可能性を見出すことができますから。
ホロスコープは、最初から「決まり切った答え」を探し出すものではなく、様々な解釈によって、「納得感」や「手応え」を感じるためのツールです。
ですからハウスの状況をじっくり検証し、分かりにくく、間接的な星々のメッセージを探ってみてください。
ホロスコープリーディングに長けている人でさえ、毎年、半年、毎月という風に、ご自分のネイタルチャートを定期的に見る人は少なくありません。
穴が開くほどに、ホロスコープを見つめ、立体的な宇宙空間が見られるようになっていってくださいね!
【まとめ】ハウスは時間と空間を定義する空間!
今回はハウス別の講座の前に、ハウスシステム全般について解説させていただきました。
これまで星座や天体、小惑星、感受点などを解説し、占星術の世界観に慣れていただけているかと思います。
ハウスシステムについては、ややこしく、すんなりと理解が進まないことを想定していましたので、まずは、占星術の世界観に浸かっていただこうと考えました。
ハウスは、ホロスコープの作成時に採用する方式次第で、ホロスコープの世界観が様変わりします。
この講座で、プラシーダス方式を推奨させていただいた理由は、日本の地理に合っていることと、空間だけでなく、時間の影響がよく表されるからです。
確かにハウスシステムは人為的な側面がありますが、「不確かさ」や「未知の部分」があるからこそ、私たちは想像力を駆使しようと思い立つもの。
次回の講座から、それぞれのハウスのテーマを解説していきますので、ハウスシステムを確認しながら、徐々に慣れていってくださいね!
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
それでは、次回の「第1ハウス(室)」の講座でお会いしましょう!
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